八卦取象は特徴を選んでから
コンテンツ版 · · 資料・出典
陶碗の形と材質を分け、文献の象類と観察の関係を確かめます。借り物の古典例も読み、結果に合わせて基準を変えない記録を考えます。
要点を先に約5分で読めます
取象は、対象のある特徴を伝統的な卦の類へ結び付ける作業です。丸い陶碗なら形から乾、陶土から坤が候補になります。方形の陶片へ替える練習では、材質を同じにして形だけを変え、二つの分類経路の違いを確かめられます。
- 説卦の乾と円形、梅花易数の坤と瓦器は異なる特徴の類比です。文献だけで具体物の採用基準が自動決定するわけではありません。
- 丸い陶碗を方形の陶片に替えると、形による候補は乾から坤へ変わりますが、陶土を採る候補は両方とも坤です。
- 象の候補と完全な起卦は別です。物卦起例には対象・方位・時数の指定があり、二特徴だけで全手順を作れません。

先に読む
先に選択の基準を書いておく練習
陶製の丸い碗を一つ用意し、「今回は材質だけを用いて分類する」と先に決めてみます。『梅花易数』巻一では坤の類に瓦器が挙げられているため、陶土という観察から坤を候補にできます。しかし、この碗には丸いという形の特徴もあり、『易伝』説卦には乾と円形を結びつける記述があります。
後から結果を見て、材質では都合が悪いので形へ切り替えるなら、最初に決めた分類とは別の作業になります。八卦の取象を学ぶ際には、どれほど多く連想できるかより、どの特徴を採用したかを記録することが大切です。本例では卦を立てず、吉凶も判断しません。
象類は観察を置き換えるものではありません
『説卦』第七章は乾の健、坤の順などの性質を述べ、第十一章は自然、動物、器物などを並べます。『梅花易数』巻一の八卦万物属類や「取諸其物」にも、円い物や土瓦などが出てきます。これらは類比の手掛かりであって、文中に同じ字があれば事実として採用する辞書ではありません。
たとえば陶碗を比喩的に「金のように価値がある」と呼んでも、材質が金属に変わるわけではありません。言葉の金を拾って五行の金が実在すると数えるのは、対象の観察と言語表現を混同しています。短い専門語が普通の単語に含まれているだけの場合も同様です。
| 記録するもの | この例で分かっていること | 取象への使い方 |
|---|---|---|
| 形 | 口縁が丸い | 形を採る場合の乾の候補 |
| 材質 | 陶土で作られている | 材質を採る場合の坤の候補 |
| 金に関する比喩 | 誰かの言い方 | 金属の観察にはしない |
表の最初の二行でも、自動的にどちらか一つが正解になるのではありません。実際の起例がどの特性を使うかを指定しているなら、その指定を優先します。指定が不十分なら、候補が複数あるという状態を残します。
実際の材質は陶土
- 材質の経路に使える
金に関する比喩
- 金属の観察ではない
図の分岐に、判断の理由があります
BaZiFlowの学習図です。取象の候補を比較し、起卦や出来事の予測は行っていません。
左は対象、中央は観察した特徴、右は文献に根拠のある類比です。「乾を得た」とだけ書くと、どの特徴を選んだのかが見えなくなります。先に乾を選び、後から円形を根拠として探すことと、形を採ると決めてから候補を選ぶことは、同じ結果になっても証拠の順序が異なります。
冒頭の材質限定の練習では、円形という観察を消さず、「今回は不採用」と記します。別の授業で形だけを使えば乾が候補になります。この二つは分類規則を比べる練習であって、好ましい占断を選ぶために切り替えるものではありません。理由が定まらない場合に未定を残すことも、記録の一部です。
また、乾と坤という二候補があるだけで上下卦を作ってはいけません。巻一の物卦起例には対象、方位、時数についての手順があります。取象の候補選択と完全な起卦手順は別であり、詳細は観察した象から起卦する条件で扱います。
丸い陶碗を方形の陶片へ替え、陶土という材質は同じにしてみます。巻一の「取諸其物」は円い物を乾、土瓦や方形の物を坤に対応させます。事前に形だけを採るなら候補は乾から坤へ変わり、材質だけなら両方とも坤です。一特徴だけを変えることで分類を左右する規則が見えます。後の結果に合う卦を選ぶ練習ではありません。
丸い陶碗
- 形だけを採る
- 乾の候補
- 陶土だけを採る
- 坤の候補
方形の陶片
- 形だけを採る
- 坤の候補
- 陶土だけを採る
- 坤の候補
借り物の物語が示す、象だけでは決まらない部分
『梅花易数』巻一の夜間に道具を借りる話では、金と木の関係から鍬と斧が候補となり、夜という状況と用途を考えて斧を選ぶ筋になっています。ここから「金木なら必ず斧」という一対一の表は作れません。むしろ、象だけでは候補が一つにならず、生活の状況を追加していることが分かります。
ただし、状況の説明には後知恵が入り込む余地もあります。結果が出た後で知った事情を、最初から分かっていた根拠として書き直すと、何が選択の理由だったのか確認できません。現代の記録では、事前に知っていた情報と事後に得た情報を分けると、この違いが見やすくなります。
これは物語を検討するための記録方法で、古人が同じ実験手順を用いたと断定するものではありません。古典の成功談は論証の仕方を学ぶ資料ですが、一件の記述から広い対象への的中率を計算することもできません。
象による候補
- 短い金・長い木
- 鍬または斧
夜という状況
- 物語が用途を加える
- 薪割りの斧を選ぶ
現代の物に当てはめる場合
教本によって象類の項目や拡張の範囲は異なります。古典にそのまま載っていないスマートフォンを、通信、音、光のどれから考えるかは現代の類比です。原文を示せないのに、ある一つを古典の唯一の決まりとして紹介すべきではありません。連想が鮮やかであることと根拠が強いことも別です。
取象は観察を整理できますが、それだけで動爻や体用、最終結果まで定まるわけではありません。採用した特徴、基準を決めた時点、別の候補を退ける理由が説明できる範囲に留めます。梅花の事例を振り返る方法では、後の出来事に合わせて根拠を入れ替えない記録へ進みます。
古典の記載項目
- 円い物・土瓦
- 該当段落を示せる
現代の類比
- 携帯の音や光
- 採用属性を説明する
読んだあとの疑問
取象は物の中に唯一の卦を探すことですか?
観察した特徴を選び、伝統の象類へ結び付けることです。丸い陶碗には形と材質の両方があります。どちらを採るかは実際の起例と明示した基準によって決まり、物が自動的に唯一の名を選ぶわけではありません。
方形の陶片へ替えると候補はどう変わりますか?
形だけを採るなら円形の乾から方形の坤へ変わります。陶土という材質だけを採るなら両方とも坤の候補です。一特徴だけを変える分類の練習で、完全な起卦の資料ではありません。
金という比喩を金属の取象に使えますか?
言葉だけでは使えません。比喩で呼んでも陶土が金属に変わったり、現場に金属が存在したりするわけではありません。対象の観察と文献の対応を確かめ、同じ一字を物の事実に替えないことが必要です。
この記事は役に立ちましたか?


