知識ライブラリー
YJ-008 / 易経

爻位:初と上、二と五

コンテンツ版 · · 資料・出典

六つの位と、九・六の爻題

六本の線は下から初・二・三・四・五・上と呼び、陽は九、陰は六と記します。乾と需で爻題を確かめ、「二は誉れ多し」や中・当位・応・比を、それぞれの出典の層に戻して整理します。

要点を先に約9分で読めます

六本の線は下から初・二・三・四・五・上と呼びます。陽爻は「九」、陰爻は「六」と記し、位の名に九か六を添えたものが、その爻の名前です。

  • 爻題は位の名と九か六でできています。初と上は数字の前、二から五は数字の後に置き、初九・九二・六四・上六のようになります。
  • 「二は誉れ多く、四は懼れ多く、三は凶多く、五は功多し」は『繋辞下伝』にあり、原文が直接挙げる理由は「近いから」と「貴賤の等級」で、柔の線が中に居ることに触れた一句もあります。
  • 中・当位・応・比は彖伝・象伝と後世の注釈者の用語で、注釈者ごとに使い方が揃わないため、出典を添えて扱う必要があります。
18秒で確認:六つの位と爻題、『繋辞下伝』の四つの言葉、そして位の説を使う前の三つの確認。

先に読む

陰爻と陽爻:二種類の線を覚え、下から上へ六本を読む ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

六つの位、下から数える

一つの卦には六本の線(爻、こう)があり、位ごとに名前があります。いちばん下が「初」、その上が二・三・四・五、いちばん上が「上」です。この呼び名が爻位です。

六つの位が下から上へ階段のように並ぶ図。初・二・三・四・五・上の順で、下の三つが下卦、上の三つが上卦に属する。元の図を開いて拡大する

位の図:下から数え、初が第1位、上が第6位。位の表であり、吉凶の表ではありません。

下の三つの位が下卦(内卦)、上の三つが上卦(外卦)で、二と五はそれぞれの三本の真ん中にあたります。二つの三画の卦が重なって六十四卦になるしくみは、六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方で扱います。

いちばん下をなぜ「一」と呼ばず、いちばん上をなぜ「六」と呼ばないのでしょうか。唐の孔穎達は『周易正義』の乾・初九の疏でこの問いに触れ、荘氏の説を引きます。下を「初」と呼べば上には「末」の意が生まれるというものです。さらに象伝の「陽、下に在るなり」を挙げ、「初」にも「下」の意があるので二つの名が呼応すると述べます。そのうえで、それぞれの理由を示します。

第一の位を「初」と言うのは、物事が少しずつ積み重なり、無から有へ入ることを示したいからで、だから「一」や「下」とは言わない。第六を「上」と言うのは、位が卦の上にあることを示したいからで、だから「六」や「末」とは言わない。

孔穎達『周易正義』乾・初九の疏(ウィキソース(中国語版)の本文による)

九と六:位に線の形を添えて爻題にする

爻題は二つの部分でできています。位の名と、線の形を表す数字です。陽爻は「九」、陰爻は「六」と記すので、同じ第二の位でも、陽なら九二、陰なら六二です。

位乾需上上九上六五九五九五四九四六四三九三九三二九二九二初初九初九色付きのマスが陰爻:需の第四位と最上位
図を拡大 · 横にスクロールして読む
位乾需上上九上六五九五九五四九四六四三九三九三二九二九二初初九初九色付きのマスが陰爻:需の第四位と最上位
乾は六本とも陽爻で、爻題は初九から上九まで。需は第四位と最上位が陰爻(六四・上六)で、ほかは乾と同じ。

読むときの注意が二つあります。

  • 初と上は数字の前(初九・上六)、二から五は数字の後(九二・六四)に置く。
  • 爻題が見ているのは線が陽か陰かだけなので、乾は六つの名すべてに九が付き、需で六が付くのは第四位と最上位だけ。

乾には上九の後に「用九」という別の文がありますが、この文は別の記事卦辞と爻辞で扱います。

陽を九、陰を六と記す理由について、『周易正義』は二つの説を挙げています。

陽を九、陰を六と記す理由

説一

乾は三画、坤は六画

乾は三画、坤は六画。陽は陰を兼ねられるので数は九、陰は陽を兼ねられないので数は六にとどまる。

説二

蓍の数えでの老陽と老陰

蓍で数えると、九が出れば老陽、六が出れば老陰。この二つは変じ、『周易』は変じるものを占うので、爻題に九と六を使う。少陽は七、少陰は八。

孔穎達はこの二説の後に張氏の別の説も引き、「義或然也」(そう説明できるかもしれない)で議論をまとめています。伝統的な説明で、爻辞にこうした言葉はありません。蓍による数え方と他の起卦法の違いは、易経・梅花・六爻:共通の卦と異なる方法を見てください。

『繋辞下伝』の原文:二は誉れ多く、四は懼れ多く、三は凶多く、五は功多し

位についての言葉でいちばん広く知られているのは『繋辞下伝』にあり、二と四、三と五を組にして述べています。

二と四は働きが同じで位が異なる……二は誉れが多く、四は懼れが多い。それは近いからである。……三と五は働きが同じで位が異なる……三は凶が多く、五は功が多い。それは貴賤の等級があるからである。その柔は危うく、その剛は勝つであろうか。

『繋辞下伝』(ウィキソース(中国語版)の本文による。省略したのは「その善さは同じでない」「柔の道は……その用は柔にして中なり」「その遇は同じでない」などの句)
二四と同功誉れ多し四二と同功懼れ多し近いから三五と同功凶多し五三と同功功多し貴賤の等二と四、三と五は、それぞれ「同功で位が異なる」
図を拡大 · 横にスクロールして読む
二四と同功誉れ多し四二と同功懼れ多し近いから三五と同功凶多し五三と同功功多し貴賤の等二と四、三と五は、それぞれ「同功で位が異なる」
二は誉れ多し、四は懼れ多し(近いから)、三は凶多し、五は功多し(貴賤の等)。

「同功」とは何でしょうか。『周易正義』が収める注は、二と四を「同じ陰の功」、三と五を「同じ陽の功」とします。偶数の位が一組、奇数の位が一組ということです。「位が異なる」とは、二は内卦、四は外卦にあり、三と五には貴賤の違いがあるという意味です。「四は懼れ多し」について原文が直接挙げる理由は「近いから」だけで、三と五は「貴賤の等級」、省略した句は二が柔の線として中に居ることに触れています。この一節は初と上には触れていません。

後世の注釈は、理由をもっと具体的に述べます。

二は中和の位にあるから誉れが多い。……四は位が君に迫るから懼れが多い。……三は下卦の極にあるから凶が多い。五は中に居て尊い位にあるから功が多い。

『周易正義』所収の『繋辞下伝』の注と疏(ウィキソース(中国語版)の本文による)

ここでは「近い」を君の位に迫ることと読み、「貴賤」を位の高低と読んでいます。「四は懼れ多し」について、原文の直接の理由は「近いから」だけで、これは後の読み方です。最後の問いにも条件があります。疏は三と五を陽の位とみなし、陰の線ならそこで危うく、陽の線ならその務めに耐えると説明します。位のほかに、線の形も結果を左右する要素なのです。

中・当位・応・比:後の解釈の用語

位を論じるときには、さらに四つの言葉が出てきます。中・当位・応・比です。これらは卦辞や爻辞の文ではなく、彖伝・象伝と後世の注釈者の用語です。

初と四初下卦の第1位応じうる四上卦の第1位二と五二下卦の第2位応じうる五上卦の第2位三と上三下卦の第3位応じうる上上卦の第3位剛と柔の組なら「応」、同じ性質どうしは「敵応」
図を拡大 · 横にスクロールして読む
初と四初下卦の第1位応じうる四上卦の第1位二と五二下卦の第2位応じうる五上卦の第2位三と上三下卦の第3位応じうる上上卦の第3位剛と柔の組なら「応」、同じ性質どうしは「敵応」
応じる位は三組:初と四、二と五、三と上。

四つの用語と出典

中
二と五で、それぞれ下卦・上卦の真ん中です。『師』の彖伝に「剛中にして応ず」、『需』九二の象伝に「衍、中に在るなり」、九五の象伝に「中正を以てなり」とあります。
当位
陽爻が奇数の位、陰爻が偶数の位にあることを言うのが通例です。『既済』の彖伝に「剛柔正しくして位当たるなり」、『需』上六の象伝に「位に当たらずと雖も、未だ大いには失わざるなり」とあります(需の上六は第六位の陰爻ですが、伝は位に当たらずと言います。下の王弼の議論を参照)。
応
下卦と上卦で番号の同じ位が呼応し、一剛一柔の組が応です。『未済』の彖伝に「位に当たらずと雖も、剛柔応ずるなり」、『艮』の彖伝に「上下、敵応して、相与にせざるなり」とあります。この規則で確かめると、未済の三組はどれも陽と陰の組で、艮の三組はどれも同性です。組み合わせは、唐の邢璹が『周易略例』に付けた注に「初・四・二・五・三・上」と書かれています。
比
もとは『比』の卦の名で、その彖伝に「比は輔くるなり」とあります。隣り合う爻の親しさを言う用例は、王弼『周易略例』の明爻通変にあり、「近きは必ずしも比ならず、遠きは必ずしも乖かず」。

中・当位・応には彖伝・象伝に用例があり、「比」は王弼の用法を引きました。使い方は注釈者ごとに揃わず、「当位」は初と上でとくに揺れます。王弼は『周易略例』の辯位で、象伝は初と上について位を得た、失ったとは言わず、繋辞も「同功にして位を異にす」を論じるときは二・三・四・五しか挙げていないと指摘しました。乾の上九の文言伝は「貴くして位無し」、需の上六の象伝は「位に当たらず」と言います。上が陰の位なら需の上六を位に当たらずとは言えず、上が陽の位なら乾の上九を位無しとは言えない。そこから出した彼の結論はこうです。

初と上は、事の終わりと始まりであって、陰陽の定まった位がない。

王弼『周易略例』辯位(ウィキソース(中国語版)の本文による)

位を使ってみる:需を例に、爻辞へ戻る

位の説は、爻辞のどの言葉に目を向けるかの手がかりであって、結論ではありません。需で練習してみましょう。各爻の爻題を書き、まず爻辞を読み、伝がその位に触れているかを確かめます。触れていなければ何も補いません。

需 · 乾が下、坎が上123456坎乾
図を拡大 · 横にスクロールして読む
需 · 乾が下、坎が上123456坎乾
需は下から陽・陽・陽・陰・陽・陰、下卦が乾、上卦が坎。

需で確かめられる三か所

九二

象伝が「中」と結ぶ

爻辞は「沙に需つ。小しく言有り、終に吉」。象伝は「衍、中に在るなり」と言い、二は下卦の中の位です。

九五

彖伝も象伝も位に触れる

爻辞は「酒食に需つ。貞にして吉」。彖伝は卦辞を説くところで「天位に位して、正中なればなり」と言い、伝統的には九五を指すとされます。象伝は「中正を以てなり」と言います。

上六

象伝が「位に当たらず」と言う

爻辞は「穴に入る。招かれざる客が三人来る。これを敬えば最後は吉」。第六位の陰爻ですが、象伝は「位に当たらずと雖も、未だ大いには失わざるなり」と言い、王弼が挙げた例そのものです。

『繋辞下伝』の別の章が、この行き先をあらかじめ述べています。

変動して一所に留まらず、六つの位(六虚)をめぐり流れ、上下に定まりがなく、剛と柔が互いに入れ替わる。決まった典則とすることはできず、ただ変化に従って適う。

『繋辞下伝』(ウィキソース(中国語版)の本文による)

読んだあとの疑問

なぜ「一九」「六六」ではなく「初九」「上六」と呼ぶのですか。

唐の孔穎達が疏で説明しています。「初」は物事が無から有へ少しずつ積み重なることを示し、「上」はその線が卦のいちばん上にあることを示すためです。これは注疏による命名の説明で、経文自身は述べていません。

陽爻はなぜ一や七ではなく九と記すのですか。

『周易正義』は二つの説を並べています。乾は三画、坤は六画で、陽は陰を兼ねられるので数は九だという説と、蓍の数えで老陽が九、老陰が六になるという説です。疏は二説の後に張氏の別説も引き、「義或然也」でまとめており、伝統的な説明として読みます。

五の位なら必ずうまくいき、三の位なら必ず危ういということですか。

いいえ。原文は「多し」という言い方で、同じ文の中で「柔なら危うく、剛なら勝つのか」と続けて問います。『繋辞下伝』の別の章には『易』は「典要とすべからず」とあり、位の説は固定の公式ではありません。

この記事は役に立ちましたか?

この記事を含む学習ルート

資料・出典

  1. 维基文库《易传·系辞下》 ↗
  2. 维基文库《周易》各卦页(需、乾、履、师、比、既济、未济、艮,含彖传、象传) ↗
  3. 维基文库《周易正义》乾卦“初九”疏、《系辞下》卷八之八“二与四同功”注疏(周易正義/08.8) ↗
  4. 维基文库《周易略例》辩位(本页)与明爻通变(周易略例/明爻通變)(王弼撰,邢璹注) ↗

続けて読む

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

易経・梅花・六爻:共通の卦と異なる方法 ↗

世爻と応爻の位置:動爻とは別に求める ↗