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HEX-003 / 共通の方法

屯卦:三度の「乗馬班如」

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屯卦:同じ句、三つの結び

屯は六十四卦の三番目で、下が震、上が坎です。卦辞「出向いてはならない。諸侯を立てるのがよい」、大象「雲雷」、そして同じ句で始まる三つの爻辞とその結びを読みます。

要点を先に約6分で読めます

屯卦には、同じ句が三度出てきます。馬に乗ってぐるぐる回って進まない、という句です。その後ろに、十年後に嫁ぐ、吉で利あり、血の涙、が順に続きます。

  • 屯は震(雷)の上に坎(水)を重ね、陽爻は初九と九五の二本だけ。『説卦伝』は「震は動(動く)、坎は陥(落ち込む)」と言い、『彖伝』は「険のなかで動く」とまとめる。
  • 卦辞は十二字で、前の四字は乾と同じ。そのあと「出向くな、侯を建てるのがよい」と転じる。大象では坎が雲になり、「雲と雷、君子は経綸する」と言う。
  • 「馬に乗ってぐるぐる回る」が六二・六四・上六に一度ずつ現れ、後ろに「十年で嫁ぐ」「吉で利あり」「血の涙」が続く。
18秒で、屯の二本の陽爻を見分け、「乗馬班如」の三つの結びを並べ、屯を読む三つの問いを持ち帰ります。

先に読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

雷が下、水が上:屯の字の二つの意味

屯は三番目の卦で、下が震(雷)、上が坎(水)です。六本の爻は下から陽・陰・陰・陰・陽・陰、陽爻は一番下の初九と、五番目の九五の二本だけです。『説卦伝』は二つの三爻の卦にそれぞれ一語を与えます。「震は動(動く)」「坎は陥(落ち込む)」。『彖伝』はそれを一句にまとめます。「険のなかで動く」。

屯とその綜卦の蒙:左は屯で、下卦は震(雷)、上卦は坎(水)、六本は下から陽・陰・陰・陰・陽・陰。右はそれを上下逆にした蒙。元の図を開いて拡大する

屯と綜卦の蒙:綜卦は図形全体を上下逆にしたものです。

上卦:坎・陥陽爻が一本、二本の陰爻にはさまれる下卦:震・動陽爻が一本、二本の陰爻の下から起こる
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上卦:坎・陥陽爻が一本、二本の陰爻にはさまれる下卦:震・動陽爻が一本、二本の陰爻の下から起こる
屯の二層:上卦の坎は陽が二つの陰にはさまれ、下卦の震は陽が二つの陰の下から起こる。

二つの三爻の卦には陽爻が一本ずつあります。震では一番下に、坎では二本の陰にはさまれて真ん中に。重ねると、屯の陽爻は初九と九五になります。

屯の字には二つの意味があり、『序卦伝』が両方を書いています。「屯とは満ちること。屯とは、物がはじめて生まれたときのこと」。盈は満ちること、始生は生まれたばかりのこと。生まれたばかりのものがひしめき合い、満ちていて、しかも難しい。だから『彖伝』は続けて「剛と柔がはじめて交わり、難が生まれる」と言います。

卦辞:元亨利貞なのに「用いて往くな」

屯の卦辞は十二字です。「はじまりから大いに通じ、貞しくあるのがよい。出向いてはならない。諸侯を立てるのがよい。」前の四字は乾の卦辞と同じで、すぐあとに向きが変わります。出向くなと言い、しかし侯を建てるのはよいと言うのです。

元亨、利貞乾の卦辞と同じすぐ転じて往ってはならない出向いてはならないさらに言う侯を建てる立てるのがよい
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元亨、利貞乾の卦辞と同じすぐ転じて往ってはならない出向いてはならないさらに言う侯を建てる立てるのがよい
屯の卦辞の三つの部分:出だしは乾と同じで、すぐ出向くなと転じ、さらに侯を建てるのがよいと言う。

『彖伝』はこれらの文に説明を付けています。

屯は、剛と柔がはじめて交わって難が生まれる。険のなかで動き、大いに通じ貞しい。雷と雨の動きが満ち、天の造りはまだ草創で暗い。諸侯を立てるのがよく、安んじてはいられない。

『彖伝』屯(訳)

前半は、剛と柔が交わり始めたところから難が生まれ、険のなかで動くから「大いに通じ貞しい」ということ。後半は、雷と雨の動きが満ち、世の造りはまだ草創で暗いので、諸侯を立てるのがよく、安んじてはいられない、ということです。

「出向くな」と「侯を建てよ」は、ちょっと見ると向きが逆です。一方は外へ出るなと言い、もう一方は人を立てよと言う。『彖伝』が説明するのは後者だけで、前者には別の言葉を付けていません。

雲と雷と経綸:大象

屯の「象」は「雲と雷が屯である。君子はこれにならい、経綸する」です。この大象では、上卦の坎が雲、下卦の震が雷と書かれ、『彖伝』や『説卦伝』の「険」「陥」とは別の絵になっています。君子が得る行いは「経綸」。もとは糸を整えることで、経は織物の縦糸、綸は糸を整えて撚ること、そこから、筋道を立てる、計画するという意味に広がりました。(彖と象がそれぞれ何を担うかは、十翼の読み方で見られます。)

象坎:雲、上震:雷、下君子は経綸する糸を整えて筋道を立てる
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象坎:雲、上震:雷、下君子は経綸する糸を整えて筋道を立てる
屯の大象:象は雲が上、雷が下。君子の行いは経綸、つまり糸を整えて筋道を立てること。

大象を卦辞の隣に置くと、二つを合わせて読めます。卦辞は「侯を建てる」、大象は「経綸する」。一方は人を立て、一方は糸の端を整える。どちらも、まず骨組みを作る動作です。

乗馬班如:同じ句、三つの結び

屯の六つの爻辞のなかに、三度出てくる句があります。「馬に乗ってぐるぐる回り、進まない」。六二・六四・上六に一度ずつ現れ、そのたびに後ろが違います。「班如」は、進まずにぐるぐる回る様子と読まれます。馬に乗っているのに、その場で回っているのです。

爻位爻辞小象初九ぐずぐず留まる行いは正しい六二馬に乗り回る剛に乗る六三鹿を追い山番なし獲物を追う六四馬に乗り回る求めて行く、明らか九五脂を溜め込む施しは光らない上六馬に乗り回るどうして長く
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爻位爻辞小象初九ぐずぐず留まる行いは正しい六二馬に乗り回る剛に乗る六三鹿を追い山番なし獲物を追う六四馬に乗り回る求めて行く、明らか九五脂を溜め込む施しは光らない上六馬に乗り回るどうして長く
屯の六つの爻辞と小象を並べる。六二・六四・上六は、いずれも馬に乗ってぐるぐる回る句で始まる。

三か所を並べると、違いがすぐ見えます。

六二馬に乗り回る賊でなく求婚者娘は貞しく嫁がず十年で嫁ぐ六四馬に乗り回る結婚を求め、行く吉で利あり上六馬に乗り回る血の涙
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六二馬に乗り回る賊でなく求婚者娘は貞しく嫁がず十年で嫁ぐ六四馬に乗り回る結婚を求め、行く吉で利あり上六馬に乗り回る血の涙
三か所の句のあとに続くもの:六二は十年で嫁ぐ、六四は吉で利あり、上六は血の涙。

六二は「賊ではなく、結婚を求める者だ。娘は貞しく守って嫁がず、十年たってやっと嫁ぐ」。来たのは強盗ではなく求婚者で、娘は守りを通して承知せず、十年後にやっと承知します。小象は難の原因を「剛に乗っているからだ」と言います。六二は陰爻で、陽爻の初九の上に載っています(位置の関係は爻位にあります)。さらに「十年でやっと嫁ぐのは、常の道に返ること」とも言います。

六四は「結婚を求めて出向けば、吉で利にならぬことはない」。同じ結婚の話ですが、今度は自分から求めに行き、行って吉です。小象は「求めて出向くのは、見通しが明らかだから」と評します。

上六は「血の涙が流れ続ける」。小象は問います。「どうして長く続けられよう」。

残りの三つの爻にこの句はありません。初九の「ぐずぐず留まる。じっと貞しく居るのがよい。侯を立てるのがよい」は、陽爻二本のうちの一本で、位置は一番下なのに、小象は「貴い者が賤しい者の下に身を置き、大いに民を得る」と言います。六三の「鹿を追うが山番がいない」は、山林を見る人もなく鹿を追うこと。「君子は見切って諦めるのがよい、進めば恥を見る」。九五の「その脂を溜め込む」では、最初の語は動詞で、集めて蓄えること、膏は脂です。小象は「施しがまだ光らない」と評し、爻辞は「小さな貞しさは吉、大きな貞しさは凶」と結びます。

屯と蒙:序卦・綜卦・互卦

『序卦伝』は、天地のあいだに満ちるのは万物だけで、だから次は屯だと言い、名前を説明します。「屯とは満ちること。屯とは、物がはじめて生まれたときのこと」。その次、生まれたばかりのものは必ず暗く幼いので、次の卦は蒙になります。

屯と蒙は互いの綜卦で、屯を上下逆にすると蒙になります。逆にすると、屯の初九は蒙の上九に、屯の九五は蒙の九二になります。屯の錯卦は鼎(六本の陰陽を入れ替える)、互卦は剝です。互卦とは、元の卦の中ほどの三本ずつの組を取り出して重ねた新しい卦のことで、求め方は上下の卦から一つの卦ができるまでにあります。

屯123456互卦:剝123456
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屯123456互卦:剝123456
屯とその互卦の剝を並べる:剝は屯の第二から第五の爻から作り、下卦は坤、上卦は艮。

読んだあとの疑問

「馬に乗ってぐるぐる回る」句が三度あるのは、なぜですか。

原文は繰り返しの理由を述べていません。句は同じで、後ろが違います。六二は求婚者と「十年でやっと嫁ぐ」、六四は「結婚を求めて出向けば吉」、上六は「血の涙」。三つを並べて読むほうが、一つだけ読むよりはっきりします。

「出向くな」と「侯を建てよ」は矛盾しませんか。

字面では、一方は行くなと言い、もう一方は侯を建てるのがよいと言います。『彖伝』は後者だけを「天の造りは草創で暗い」という背景で説明し、前者には別に言葉を付けていません。二つを並べて置けばよく、無理に一つの意味にまとめる必要はありません。

「屯」は、どう読みますか。

卦の名としては「ちゅん」、「屯所」「駐屯」の屯は「とん」と読みます。『序卦伝』は「屯とは満ちること」と書き、「満ちる」と「生まれたばかり」の二つの意味を一字に置いています。九五の「屯其膏」では、屯は「蓄える」という動詞です。

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資料・出典

  1. 周易·屯(Wikisource 中文版:卦辞、爻辞、彖、象) ↗
  2. 说卦传(Wikisource 中文版):震、动也;坎、陷也 ↗
  3. 序卦传(Wikisource 中文版) ↗

続けて読む

坤卦:六本の陰爻を、霜を踏むところから龍の戦いまで読む ↗

蒙卦:「私が幼く暗い者を求めるのではない」から、蒙を啓き、包み、撃つまで ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗