帰妹卦:位が当たらないことと、空の籠
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帰妹は六十四卦の第五十四卦で、下が兌、上が震、沢の上に雷があります。彖伝が先にほめ、あとで戒める書き方と、六つの爻辞が付き添いの妹から空の籠まで嫁ぎの場面を追う様子から、帰妹を読みます。
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帰妹の彖伝は、前半が「天地の大きな道理」、後半が「位がふさわしくない」「柔が剛に乗る」。六つの爻辞は、嫁ぎを六つの場面に分けます。付き添いの妹、待つこと、期日を過ぎること、袖、籠。
- 帰妹は震(雷)の下に兌(沢)を重ねた卦。説卦伝で兌は「悦ぶ」、震は「動く」で、彖伝はこれを用いて「悦んで動く、それが妹を嫁がせること」と言う。
- 彖伝は前半で帰妹を「天地の大きな道理」「人の終わりと始まり」と呼び、後半で二度、卦の形の不具合を言う。第二から第五の爻に、本来の位に就いているものは一つもない。
- 初九の小象は「互いに支え合う」、上六の小象は「空の籠を捧げる」で、最初と最後が同じ「捧げ支える」の字。卦辞の結びの「利するところなし」も上六に戻ってくる。

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沢の上に雷:帰妹という名
帰妹は第五十四卦で、下卦が兌(沢)、上卦が震(雷)です。説卦伝で、兌は「悦ぶ」、震は「動く」。兌は少女、震は長男とも呼ばれます。名前の中で、帰は女が嫁ぐこと、妹は年若い女を指し、帰妹は伝統的には、若い女を嫁がせることと読みます。
帰妹と漸:漸は帰妹の錯卦であり、綜卦でもあります。陰陽を全部入れ替えても、上下を逆さにしても、同じ卦になるのです。
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帰妹を読むときの四つの語
- 娣
- 嫁ぐ人に付き添う若い女。伝統的には、付き添う妹と読むのが一般的。初九・六三・六五に出てくる。
- 須
- 六三「妹を須として嫁がせる」。この字には伝統的に複数の読みがあり、よく取られるのは「待つ」。
- 袂
- 袖。六五は、主人の袖が娣の袖ほど立派でない、と言う。
- 筐
- 竹の籠。上六では、女がそれを捧げているが、中は空。
彖伝:先に「天地の大きな道理」、そのあとで「位が当たらない」
帰妹は、天地の大きな道理である。天地が交わらなければ、万物は興らない。帰妹は人の終わりであり始まりである。悦んで動く、それが妹を嫁がせるということ。「進めば凶」とは、位がふさわしくないこと。「利するところなし」とは、柔が剛に乗っていること。
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彖伝の前半は、スケールの大きな言い方です。天地が交わらなければ万物は興らず、帰妹は「人の終わりと始まり」。「悦んで動く」とは、下卦の兌が悦び、上卦の震が動くことで、悦びから動き出す、それが帰妹です。
後半は急に冷たくなります。「進めば凶、位がふさわしくない。利するところなし、柔が剛に乗っている」。どちらも卦の形で確かめられます。「位がふさわしくない」。第二から第五の爻を見ると、九二は陽が陰の位、六三は陰が陽の位、九四と六五も同じで、四本とも本来の位にいません。位に就いているのは初九と上六だけです。「柔が剛に乗る」。陰爻が陽爻の真上に載っている形で、六三は九二の上、六五は九四の上です。同じ一つの彖伝の中に、ほめ言葉と戒めが並んでいます。
大象:沢の上に雷、終わりを永く保つ
沢の上に雷がある、これが帰妹。君子はこれにならい、終わりを永く保ち、そこに傷みがあることを知る。
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最初の動詞は、伝統的には、終わりを長く保つことと読みます。二つ目の語は、傷む、損なわれる意味で、「傷みを知る」とは、どこが壊れやすいかを見抜くことです。一つは長く保つ方へ、もう一つは欠けた所へ向かう二つの行いです。
よく見ると、三つの文が「終わり」の字に落ち着きます。彖伝は「人の終わりと始まり」、大象は「終わりを永く保つ」、雑卦伝も帰妹を「女の終わり」と言います。
六つの爻辞:嫁ぎの六つの場面
六つの爻辞は、嫁ぎを六つの場面に切り分けたようです。付き添い、歩くこと、待つこと、期日を過ぎること、袖、籠。
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初九「妹を嫁がせ、付き添いの妹を添える。足の不自由な者も歩ける。進めば吉」。付き添う妹がいて、足の悪い人でも歩ける。九二「片目でも見える。世を避けて静かに暮らす人が正しさを守るのによい」。どちらも「できる」の爻です。完全ではないが、できる。履卦の六三にもこの二句が逆の順で出てきて、その小象は「十分に明るくはない」「十分に連れ立てない」と言います。ここの初九の小象は「互いに支え合う」です。
六三「妹を、待つ身として嫁がせる。いったん戻り、付き添いの妹として改めて嫁ぐ」。「待つ身」と訳した字には伝統的に複数の読みがあり、よく取られるのが「待つ」です。小象は「まだふさわしくない」とだけ言います。九四「嫁ぎが期日を過ぎる。遅く嫁ぐのにも時がある」。期日を過ぎることですが、後の句は、遅く嫁ぐにもその時がある、と言い、小象は「待ってから行く」と読みます。期日を過ぎたのは待っていたから、待ち終えたときに行く、ということです。
六五「帝乙が妹を嫁がせる。主人の袖は、付き添いの妹の袖ほど美しくない。月は満ちる直前、吉」。主人の袖のほうが劣り、月は満ちる一歩手前。小象は「その位は中にあり、貴い身分で行う」と述べます。「帝乙が妹を嫁がせる」の句は、泰卦の六五にも出てきます。
上六「女は籠を捧げるが中身がなく、男は羊を裂くが血が出ない。利するところなし」。小象は一言、「空の籠を捧げる」。この「利するところなし」は、卦辞の結びと同じ言葉です。最初に戻ると、初九の「進めば吉」は卦辞の「進めば凶」と一字違いで、初九の小象は「支える」、上六の小象は「捧げる」と、最初と最後が同じ字を使っています。
漸・既済・未済:帰妹の隣の卦と、「帰するところを得る」
帰妹の錯卦と綜卦は同じ卦、漸です(冒頭の図)。帰妹の互卦は既済で、第二〜第四爻が陽・陰・陽で下卦の離、第三〜第五爻が陰・陽・陰で上卦の坎になります。一方、漸の互卦は未済です。この隣り合う一対の互卦は、六十四卦の最後の二つです。
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序卦伝が帰妹を漸の次に置くのは、進んだものには帰するところが要るからです。帰妹の次は豊で、序卦伝の理由は、帰するところを得たものは必ず大きくなる、というものです。
読んだあとの疑問
帰妹は、妹を嫁がせることですか。
字面では、帰は女が嫁ぐこと、妹は年若い女で、伝統的には若い女を嫁がせることと読みます。爻辞には付き添う「娣」もいれば「帝乙が妹を嫁がせる」という具体的な言い方もあります。この卦はそういう場面でのさまざまな様子を語るもので、ある一つの家の話ではありません。
「片目でも見える」「足が悪くても歩ける」は、ほかの卦にも出てきますか。
履卦の六三に、この二句が逆の順で出てきます。そこの小象は「十分に明るくはない」「十分に連れ立てない」と言いますが、帰妹の小象は「互いに支え合う」と言います。同じ言葉でも評が違います。
「愆期」は過ちのことですか。
愆は過ち、超えること。愆期は字面では日取りを過ぎることです。ただ九四はすぐ続けて「遅く嫁ぐのにも時がある」と言い、小象は「待ってから行く」と読みます。日取りを過ぎたのは、待っていたからと読むこともできます。
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