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HEX-055 / 共通の方法

豊卦:正午に北斗、覆いを大きく

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豊卦:正午に北斗を見る

豊は六十四卦の第五十五卦で、下が離、上が震、明るく動きます。彖伝の「正午がよい」と「日は中天で傾く」、そして六つの爻辞で「覆いを大きく」「幕を大きく」「屋根を大きく」と書かれる様子から、「大」と遮蔽を読みます。

要点を先に約7分で読めます

「豊」は大きいという意味です。ところが六つの爻辞で大きくされるのは、ほとんどが光を遮るもの、覆い、幕、屋根。それで正午にも、北斗が見えるのです。

  • 豊は離(明)の上に震(動)を重ねた卦。彖伝は「明るく動くので豊」と言い、卦辞の結びは「正午がふさわしい」、大象は「雷と稲妻がともに至る」。
  • 彖伝は「正午」を二度使う。まず「正午がふさわしい」、天下を照らすのがよいと言い、すぐ続けて「日は中天に来れば傾き、月は満ちれば欠ける」。
  • 四つの爻辞が「大きくする」と言う。覆い、幕、覆い、屋根と、どれも光を遮るもの。六二と九四は「正午に北斗が見える」が同じで、一方は「誠」、他方は「対等の主に出会う」で受ける。
18秒で、豊卦の六本の爻と、大きな覆い・大きな幕・輝き・大きな屋根の四か所、そして読む前の三つの問いを持ち帰ります。

先に読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

下は明るく、上は動く

豊は第五十五卦で、下が離、上が震です。説卦伝で離は「附く」であり、明るさでもあり、象は火・日・稲妻。震は「動く」で、象は雷です。彖伝は初めに定義を置きます。「豊は大きいこと」、続けて「明るく動くので豊」。下が明るく、上が動くこと、それが卦名の理由です。

豊とその綜卦の旅を並べる:左は豊で、下から陽・陰・陽・陽・陰・陰、下卦は離(火・日)、上卦は震(雷)。右は旅で、豊を上下逆さにしたもの、陰・陰・陽・陽・陰・陽、下卦は艮(山)、上卦は離(火)。線は下から数える。元の図を開いて拡大する

豊と綜卦の旅:豊を上下逆さにすると旅になり、豊で下にあった離(日)が、旅では上に来ます。

下卦:離、明火・日・稲妻附く、明るい上卦:震、動雷動く
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下卦:離、明火・日・稲妻附く、明るい上卦:震、動雷動く
豊の下卦は明(離)、上卦は動(震)。まず光があり、それから行動がある。

豊を読むための四つの語

覆いと幕(蔀・沛)
伝統的には、どちらも光を遮るものと読む。蔀は遮りに使う筵のようなもの、沛はさらに大きな幕。爻辞は、この二つを「大きくする」と言う。
北斗と小さな星
斗は北斗星。もう一方は、伝統的には斗より小さく暗い星と読む。「正午に斗が見える」「小さな星が見える」とは、正午に星が見えること。
正午と傾き(日中・昃)
日中は正午、昃は日が西に傾くこと。彖伝はこれを使って満ちることと欠けることを言う。
至る
伝統的には「至る、来る」と読む。卦辞の「王がここに至る」は、王がここに来ること。

卦辞と彖伝:「正午がよい」、そしてすぐ「日は中天で傾く」

豊の卦辞は「通る。王がここに至る。憂えるな、正午がふさわしい」。彖伝は一句ずつ応じ、その中で「正午」を二度使います。

豊は大きいこと。明るく動くので、豊となる。「王がここに至る」とは、大きさを尊ぶこと。「憂えるな、正午がふさわしい」とは、天下を照らすのがよいということ。日は中天に来れば傾き、月は満ちれば欠ける。天地の満ち欠けは、時とともに消え、また息づく。まして人はどうか。まして鬼神はどうか。

彖伝・豊(訳)
なぜ大きいか明るく動く離と震だから豊大きくなる王が至る大を尊ぶ正午のあと正午最も明るいそして傾く日が西へ満ちて欠ける月も同じ
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なぜ大きいか明るく動く離と震だから豊大きくなる王が至る大を尊ぶ正午のあと正午最も明るいそして傾く日が西へ満ちて欠ける月も同じ
彖伝の二つの組:まず豊がなぜ大きいか、明るく動くから。次に「正午」から「傾く」へ、「満ちる月」から「欠ける」へと転じる。

前半は卦辞に沿った言い方です。「明るく動く」とは、下卦が明るく上卦が動くので豊だ、ということ。「王がここに至る、大きさを尊ぶ」。「憂えるな、正午がよい」は、正午の太陽のように天下をあまねく照らすのがよい、という意味です。

後半で話が転じます。「日は中天に来れば傾き、月は満ちれば欠ける」。同じ「正午」が、今度は高みに着いたばかりで西へ傾き出す太陽を言い、満ちた月は欠けはじめます(「欠ける」の字を、伝統的には蝕む、損なわれる意味に読みます)。「天地の満ち欠けは、時とともに消え、また息づく」。天地でさえそうなのだから、まして人は、まして鬼神は、と続きます。

大象:雷と稲妻がともに至る

雷と稲妻がともに至る、これが豊。君子はこれにならい、訴えを裁き、刑を行う。

象伝・豊(訳)
上卦:震雷、動く、勢い下卦:離稲妻・日、明るい、照らす
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上卦:震雷、動く、勢い下卦:離稲妻・日、明るい、照らす
雷と稲妻が同時に来る:上は雷(震)、下は稲妻(離)。一方に勢いがあり、もう一方は照らし出せる。

「ともに至る」とは、雷と稲妻が同時に来ること。震の勢いと、離の光です。君子はここから、訴えを裁くこと、刑を行うことという行いを得ます。

噬嗑の大象にも雷と稲妻がありますが、そこでは先王が「罰を明らかにし、法を整える」とあり、先に罰と法を定めます。豊のこちらは、一件ごとの訴えを裁き、それから刑を行うほうです。同じ雷と稲妻が、一方では決まりを作ることに、他方では個々の裁きに落ちています。

六つの爻辞:大きくなるのは、光を遮るもの

六つの爻辞のうち、「大きくする」と書かれるのは四つ。覆い、幕、覆い、屋根。続くものはほとんど光を遮るもので、だから「正午に北斗が見える」のです。

爻位出てくるもの爻辞小象初九主ふさわしい主に出会う十日を過ぎれば災い六二覆い覆い大、正午に北斗信が志を発する九三幕幕大、正午に小星大事はできない九四覆い覆い大、正午に北斗暗くて明るくない六五輝き輝きが来る、誉れ祝い事がある上六屋根と家屋根大、家を覆う自ら身を隠す
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爻位出てくるもの爻辞小象初九主ふさわしい主に出会う十日を過ぎれば災い六二覆い覆い大、正午に北斗信が志を発する九三幕幕大、正午に小星大事はできない九四覆い覆い大、正午に北斗暗くて明るくない六五輝き輝きが来る、誉れ祝い事がある上六屋根と家屋根大、家を覆う自ら身を隠す
豊の六つの爻辞と小象:四つの爻が遮るものを大きくし、六五だけが輝きの来ることを言う。

初九「ふさわしい主に出会う。十日に及んでも咎めなし、進めば尊ばれる」。「十日」と訳した字には、伝統的に十日と読む説と、等しいと読む説があります。小象は「十日を過ぎれば災い」、その限度を過ぎると災いになる、と言います。

六二と九四には、一文がそっくり同じです。「覆いを大きくし、正午に北斗が見える」。覆いが大きく、正午でも星が見えるほど。そのあとで道が分かれます。六二は「行けば疑われて病む。誠があれば心が開く、吉」。小象は「信によって志が発せられる」。九四は「対等の主に出会う、吉」。小象はまず理由を二つ挙げます。位が合っていないこと(九四は陽爻で第四位、本来の位ではない)と、暗くて明るくないこと。そのあとでようやく「対等の主に出会い吉とは、そちらへ進むこと」と言います。初九は「ふさわしい主」、九四は「対等の主」。初と四は、上下の卦で向かい合う位置です。

九三「幕を大きくし、正午に小さな星が見える。右の腕を折る。咎めなし」。伝統的には幕は覆いより大きいものと読み、この爻で正午に見えるのは北斗ではなく小さな星です。右腕は折れても咎めなし。小象は「大きな事はできない」「最後まで使えない」と言います。

六五は初九と同じく、覆いも「正午」もない爻で、こちらは輝きが来ることを言います。「輝きが来る。祝いと誉れがあり、吉」。「輝き」は、伝統的には光彩、文彩と読み、小象は「祝い事がある」。

上六「屋根を大きくし、家を覆う。戸口からのぞくと、ひっそりと人がいない。三年、姿を見ない。凶」。小象は二つに分けて言います。「屋根を大きくするのは、天の際に舞い上がること」「戸口からのぞいてひっそりと人がいないのは、自ら身を隠したから」。「覆いを大きく」から「屋根を大きく」へ、遮るものが大きくなり続け、最後に覆い隠されるのは人自身です。

旅・渙・大過:豊の隣の卦と、「大を極めた者は居場所を失う」

豊を上下逆さにすると旅が現れます。旅は豊の綜卦で、冒頭の図に二つ並べてあります。錯卦は渙。互卦は大過です。豊の第二〜第四爻(陰・陽・陽)で巽、第三〜第五爻(陽・陽・陰)で兌を作り、巽を下に、兌を上に置くと大過になります。

錯卦:渙123456互卦:大過123456
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錯卦:渙123456互卦:大過123456
渙と大過を並べる:渙は豊の六爻をすべて反対にしたもの、大過は巽を下に兌を上に置いた卦で、豊の内側の二組の三爻を使う。

序卦伝が豊を帰妹の次に置くのは、行き着く先を得たものは大きくなる、という考えからです。豊のあとには旅が来ます。大きさを極めた者は住まいを失うから、というのが序卦伝の説明です。上六に戻ると、「屋根を大きくする」のに「ひっそりと人がいない」。大きな家に人がいない姿と、二つの箇所を並べて読めます。雑卦伝も豊と旅を一文に並べ、豊は「事が多い」、旅は「親しい者が少ない」と言います。

読んだあとの疑問

豊卦は、豊かで満ち足りていることですか。

彖伝はまず卦名を「大きい」と解きます。ただ爻辞で大きくされるのは覆い・幕・屋根のような遮るもので、昼に星が見えます。ここでの豊は「大きい」で、単なる豊かさではありません。

「正午に北斗が見える」のはなぜですか。

原文は原因を説明していません。覆いが正午でも星が見えるほど大きい、と言うだけで、小象は「暗くて明るくない」と評します。伝統的には覆いの字を光を遮るものと読みますが、それが何かまでは原文に書かれていません。

豊と旅はどういう関係ですか。

互いに綜卦で、豊を上下逆さにすると旅になります。序卦伝は「大を極めた者は居場所を失う」と言って豊のあとに旅を置き、雑卦伝は二つを一文に並べて、豊は「事が多い」、旅は「親しい者が少ない」と言います。

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資料・出典

  1. 周易·豐(Wikisource 中文版:卦辞、爻辞、彖、象) ↗
  2. 说卦传(Wikisource 中文版):离为火、为日、为电,震动 ↗
  3. 序卦传(Wikisource 中文版) ↗
  4. 杂卦传(Wikisource 中文版) ↗

続けて読む

帰妹卦:付き添いの妹から、空の籠まで ↗

旅卦:山の上の火、「こだわる旅人」から「巣を焼かれた鳥」まで ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗