知識ライブラリー
HEX-037 / 共通の方法

家人卦:風が火から出る、言葉に中身を

コンテンツ版 · · 資料・出典

家人卦:一つの家、それぞれの位置

家人は六十四卦の第三十七卦で、上が巽(風)、下が離(火)、風が火から出ます。彖伝の位置と呼び名、大象の「言葉に中身があり、行いに一貫性がある」、六つの爻辞が垣根から自省へ進む様子から、一つの家がどう書かれているかを読みます。

要点を先に約7分で読めます

家人は「家」を位置の連なりとして書きます。内にいるのは誰か、外にいるのは誰か、厳しい君は誰か、厳しく叱るのは誰か、笑うのは誰か。六つの爻辞は、初めの垣根から、最後の「わが身に立ち返る」まで進みます。

  • 家人は巽(風)の下に離(火)を重ねた卦。六本の爻のうち、初・三・五の陽爻と二・四の陰爻はどれも位に適い、一番上の陽爻だけが例外。
  • 彖伝は「女は内に、男は外に正しい位置を得る」から「父は父らしく、子は子らしく」へ、さらに「家を正せば天下が定まる」へ進む。家の中の呼び名には、それぞれの務めがある。
  • 大象の「行いに一貫性がある」の「恒」は、第三十二卦の恒と同じ字。上九の小象「わが身に立ち返ることをいう」は、卦全体を自分に引き戻す。
18秒で、家人の位に適う五本の爻、垣根から自省までの四つの停留所、読む前の三つの問いを持ち帰ります。

先に読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

風が火から出る:離が下、巽が上

家人は、上が巽(風)、下が離(火)の卦です。説卦伝では、離は「寄り添う」、巽は「入る」。大象の最初の一句が、この象です。風が火から出る。

家人とその綜卦の睽を並べる:左は家人で、下から陽・陰・陽・陰・陽・陽、下卦は離(火)、上卦は巽(風)。右は睽で、家人を上下逆にしたもの、下卦は兌(沢)、上卦は離(火)。線は下から数える。元の図を開いて拡大する

家人と綜卦の睽:綜卦は全体を上下逆にしたもので、家人で下にある離は、睽では上に上がります。

それぞれの位には陰陽の性格があります。奇数の位(初・三・五)は陽、偶数の位(二・四・上)は陰で、爻の性質が位と合っていれば「位に適う」と言います。家人を数えると、最初の五本は合い、一番上の陽爻だけが合いません。

爻位陰陽座っている位初九陽爻陽の位・適う六二陰爻陰の位・適う九三陽爻陽の位・適う六四陰爻陰の位・適う九五陽爻陽の位・適う上九陽爻陰の位・適わない
図を拡大 · 横にスクロールして読む
爻位陰陽座っている位初九陽爻陽の位・適う六二陰爻陰の位・適う九三陽爻陽の位・適う六四陰爻陰の位・適う九五陽爻陽の位・適う上九陽爻陰の位・適わない
家人の六本の爻とその位:初九・六二・九三・六四・九五は位に適い、上九は陽爻なのに第六位、つまり陰の位にある。

本文の前に知っておく三つの語

家人
卦名は家の中の人を指し、「家」という場所だけではない。彖伝の「家人には厳しい君がいる」も、この意味で使う。
正位
彖伝は「女は内に、男は外に正しい位置を得る」と言う。内(下卦)と外(上卦)をそれぞれ一つの位置とみなし、伝統的には六二と九五に当てる。どちらも位に適い、それぞれの三爻の卦の真ん中にある。
厳しい君
「家人には厳しい君がいる。父母のことである」。家の中で畏れ敬われる「君」は父母。

卦辞と彖伝:呼び名を務めとして書く

卦辞は三字(利女貞)、「女性が正しさを守るのによい」。彖伝は一字ずつ説明することはせず、位置と呼び名の話に向かい、長い一節を書きます。

家人は、女は内に正しい位置を得、男は外に正しい位置を得る。男女がそれぞれ正しいのは、天地の大いなる道理である。家人には厳しい君がいる。父母のことである。父は父らしく、子は子らしく、兄は兄らしく、弟は弟らしく、夫は夫らしく、妻は妻らしくあれば、家の道は正しい。家が正しくなれば、天下は定まる。

彖伝・家人(訳)
まず位置女は内に内(下卦)男は外に外(上卦)男女が正しい天地の大義次に呼び名父は父父らしく子は子子らしく兄と弟兄らしく、弟らしく夫と妻それぞれ呼び名通り
図を拡大 · 横にスクロールして読む
まず位置女は内に内(下卦)男は外に外(上卦)男女が正しい天地の大義次に呼び名父は父父らしく子は子子らしく兄と弟兄らしく、弟らしく夫と妻それぞれ呼び名通り
彖伝は内と外の二つの位置を書き、次に呼び名を書く。同じ字を二度続け、最初が呼び名、次がその呼び名にふさわしく行うこと。

「父は父、子は子……」では、各組の最初の字が呼び名で、あとの字は動詞にあたります。伝統的には、父である者は父らしく、子である者は子らしく、ほかも同様に、と読みます。呼び名とふるまいが合えば、「家の道は正しい」。最後の一句は、範囲を家から広げます。「家が正しくなれば、天下は定まる」。

この一節の性質に注意してください。書かれているのは、それぞれの位置と呼び名のあるべき形であり、特定の家のできごとではありません。内と外の分け方も、文章が属する時代のもので、ここでは書き方だけを読みます。

大象:言葉に中身があり、行いに一貫性がある

家人の大象には、並んだ二つの短い句があります。

風が火から出る、これが家人。君子はこれにならい、言葉に中身があり、行いに一貫性がある。

象伝・家人(訳)
象:風が火から出る下の離:火上の巽:風君子は:二つの句言に中身がある行いが続く
図を拡大 · 横にスクロールして読む
象:風が火から出る下の離:火上の巽:風君子は:二つの句言に中身がある行いが続く
家人の大象:先に象、風が火から出ること、次に君子の行いを二つの句で言う。言に中身があり、行いに一貫性がある。

「言葉に中身がある」とは、話に実のある内容があること、「行いに一貫性がある」とは、行いが続くことです。「恒」の字は、第三十二卦の恒と同じです。恒の大象は「立って方向を変えない」と言い、家人の大象は日々の「行い」に落ちます。話すことと行うこと。それぞれ一句ずつを、この家人の卦に置くと、家の中で毎日語られ、なされることを言っているのだと分かります。

六つの爻辞:垣根から自省へ

家人の六つの爻辞は、初めの爻の垣根から最後の爻の自省まで、外から内へ進む一本の線と読めます。

爻位爻辞小象初九家に垣根を設ける心はまだ変わらない六二成すことなく食事を整える従順で穏やか九三厳しく叱る、笑う失っていない・節度を失う六四家を富ませる従順にその位にいる九五王が家に至る互いに愛し合う上九誠があり威厳があるわが身に立ち返る
図を拡大 · 横にスクロールして読む
爻位爻辞小象初九家に垣根を設ける心はまだ変わらない六二成すことなく食事を整える従順で穏やか九三厳しく叱る、笑う失っていない・節度を失う六四家を富ませる従順にその位にいる九五王が家に至る互いに愛し合う上九誠があり威厳があるわが身に立ち返る
家人の六つの爻辞と小象:初九は垣根、九三は厳しいと笑いの対比、上九はわが身に立ち返ること。

初九の「家に垣根を設ける」は、囲いや備えを意味する字で、初めから家に決まりを設けるので「悔いは消える」。小象は、まだ心が変わらないうちにだ、と言います。六二は「成し遂げようとするものはなく、家の中で食事を整える」、そして「守って吉」。小象は従順で穏やかだからだと言います。

九三は、この卦でいちばん声の大きな爻です。「家人が厳しく叱る。悔いと危うさはあるが吉。妻や子がへらへら笑えば、最後は惜しいことになる。」一つは厳しい声、もう一つは笑い声で、二つの様子が一つの爻に並びます。厳しければ悔いも危うさもあるが最後は吉。笑えば最後は惜しい。小象は、厳しいのは「まだ失っていない」、笑うのは「家の節度を失う」と評します。

六四の「家を富ませる。大いに吉」は、従順にその位にいる、と評されます。六四は陰爻で、第四位、陰の位に座ります。九五の「王が家に至る。憂えるな。吉」の「至る」は伝統的に到るという意味で読まれ、小象は互いに愛し合うからだと言います。上九は「誠があり威厳がある。最後は吉」で、最後の小象は「威厳の吉とは、わが身に立ち返ることをいう」です。

初九の垣根から上九の自省へ。外から内へ進む一本の線と読めます。まず家の周りに境界を引き、最後に見つめるのは自分自身になります。

睽・解・未済:家人の隣の卦と、序卦での位置

家人を上下逆にすると睽になります。だから家人の綜卦は睽です(上の図)。錯卦は解、互卦は未済です。互卦は面白く、未済の六本の爻はどれも位に適いませんが、それがまさに家人の中ほどから取り出されています。家人自身は五本が位に適っているのです。

錯卦:解123456互卦:未済123456
図を拡大 · 横にスクロールして読む
錯卦:解123456互卦:未済123456
家人の錯卦の解と互卦の未済を並べる:解は全爻の陰陽を入れ替えたもの、未済は下が坎、上が離で、六本とも位に適わない。

序卦伝は家人を明夷の次に置き、こう述べます。

外で傷ついた者は、必ず自分の家に帰る。だから次に家人を受ける。

序卦伝(訳)

世の中で傷ついた人は家に戻らなければならない。そこで明夷の次が家人です。家人の次は睽で、序卦伝は、家の道が尽きると、必ず互いにそむき合うと言います。こう見ると、家人は「外での傷」と「家の中のそむき合い」の間にあり、帰ったあと家をどう支えるかが書かれているのです。

読んだあとの疑問

「父は父、子は子」とはどういう意味ですか。

伝統的には、父は父らしく、子は子らしく、と読みます。同じ字を二度続けて書き、最初が呼び名、二番目がその呼び名にふさわしく行うことです。兄弟、夫婦も同じ書き方です。

「厳しく叱る」と「笑う」はどちらがよいのですか。

九三は二つの様子を一つの爻に置きます。家人が厳しければ悔いも危うさもあるが最後は吉、妻子がへらへら笑えば最後は惜しいことになる。小象は、厳しいのは「まだ失っていない」、笑うのは「家の節度を失う」と評します。

家人と睽はどういう関係ですか。

互いに綜卦です。家人を逆さにすると睽になります。序卦伝は、家の道が行き詰まると必ず互いに背き合うと述べ、それで家人の次に睽が来ます。

この記事は役に立ちましたか?

資料・出典

  1. 周易·家人(Wikisource 中文版:卦辞、爻辞、彖、象) ↗
  2. 说卦传(Wikisource 中文版):离丽、巽入 ↗
  3. 序卦传(Wikisource 中文版) ↗

続けて読む

明夷卦:明るさが地に入る、「翼を垂れる」から「のちに地に入る」まで ↗

睽卦:沢の上に火、六つの爻辞のうち五つが「見る」「会う」 ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗