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YJ-002 / 易経

経と伝:本文と解釈

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乾の一頁で、経と伝を見分ける

乾の頁を例に、卦の図形・卦辞・爻辞を経、彖伝・象伝・文言などを伝として見分けます。一文ごとに「経か伝か」を決める手順と、十翼の各篇を一言で概観し、解釈を本文と取り違えない読み方を示します。

要点を先に約8分で読めます

通行本『周易』の頁には二つの層の文があります。経は図形・卦辞・爻辞、伝は経を解き明かすために書かれた各篇の解釈です。一文を読む前に、まずどの層かを問います。

  • 経は図形・卦辞・爻辞でできています。伝は経をめぐる各篇の文で、伝統的に十翼とまとめられ、卦の頁では経のあとに部分ごとに分かれて並びます。
  • 「潜竜、用うる勿れ」は、爻辞にも象伝にも文言伝にも現れます。どの層かは、載っている部分で決まり、経に似ているかどうかでは決まりません。
  • 文言伝は乾と坤の二卦だけにあります。繋辞・説卦・序卦・雑卦は、特定の卦の頁には付かず、単独の篇として置かれます。
18秒で層を確認:経と伝を左右に並べ、乾の頁の並び順を見て、読む前に決めることを三つ確かめる。

先に読む

易経と周易:名称と範囲を分けてから原典へ ↗

乾の一頁、二つの層の文

乾の頁を開くと、性質の違う二種類の文が並んでいます。卦の図形・卦辞・爻辞は経(本文)で、解釈される側です。そのあとの「彖に曰く」や「象に曰く」、「文言に曰く」で始まる部分は伝(解釈)で、経を解き明かすために書かれた文です。

乾の頁の文を左右二欄で対照した図。左欄は経で、図形・卦辞・初九の爻辞。右欄は伝で、彖・象・文言から一文ずつ。元の図を開いて拡大する

経と伝の二欄対照(乾の頁):左欄は解釈される本文、右欄はそれを解釈する伝。抜き出した文はすべてウィキソース(中国語版)から取っています。

通行本を載せるウィキソース(中国語版)では、乾の頁がいくつかの部分に分かれています。最初は頁自身が「易経」と記した部分です(これはウィキソースの欄の見出しで、経文だけを含み、本シリーズでいう「易経」の使い方とは異なります。名称と範囲を参照)。ここに卦辞「元いに亨る、貞しきに利ろし」(元亨利貞)、六つの爻辞、そして乾にだけある「用九」(坤では「用六」)が入っています。そのあとに「彖に曰く」や「象に曰く」、「文言に曰く」の三つの部分が続きます。「易経」の部分が経、あとの三つが伝です。

だから読む最初の一歩は、文を理解することではなく、経か伝かを決めることです。

先に覚える三つの名

経
卦の図形(六本の線が重なった形)、卦辞、爻辞。解釈される本文です。
伝
経をめぐる各篇の文。卦ごとに解釈するものもあれば、『易』の道理を総じて述べるものもあります。伝は卦辞にも爻辞にも当たりません。
十翼
伝統的に、十篇の伝をまとめた呼び名です。『彖伝』の上下、『象伝』の上下、『繋辞伝』の上下、『文言伝』、『説卦伝』、『序卦伝』、『雑卦伝』をさします。第五節で各篇を一言で示します。

経:図形・卦辞・爻辞

乾の経は三つだけです。六本の陽の線が重なった図形、その図形全体に向かう卦辞、そして線ごとの爻辞。どれも解釈される本文で、自分で自分を説明することはありません。

乾 · 乾が下、乾が上123456乾乾
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乾 · 乾が下、乾が上123456乾乾
乾の六本の線は下から全部陽の線で、下の卦も上の卦も乾。この図形は経の一部で、卦辞と爻辞はその下に付く。

二つの三爻の卦がどう重なって図形になるかは、上下の卦の組み方を参照してください。図形の下に文が付きます。まず卦辞です。

乾は、元いに亨る、貞しきに利ろし。

『周易』乾・卦辞。出典はウィキソース(中国語版)乾の頁、書き下し

卦辞の全体は、四つの語だけです。なぜその順に並ぶのかを述べる文は、ここにはありません。初九も同じように短い文です。

経の二つの文

卦辞 · 卦全体

元いに亨る、貞しきに利ろし。

図形全体に向かい、四つの語を挙げるだけです。この四語をどう読むかは、経には書かれていません。

初九 · 第1爻

潜竜、用うる勿れ。

いちばん下の爻を名指しします。「潜竜」はたとえ、「用うる勿れ」は短い断定の語で、本文はここで終わります。

乾の頁の経は短く、この数句は理由を述べていません。そのため、この頁で理由づけがあり「なぜなら」の口調をもつ文に出会ったら、すでに経ではなく伝にいる可能性が高いと言えます。

伝:乾の頁で経に続く三つの部分

乾の頁では、経のあとに三つの伝の部分が順に並びます。「彖に曰く」で始まる『彖伝』、「象に曰く」で始まる『象伝』、「文言に曰く」で始まる『文言伝』です。どれも直前の経を解釈しています。

ウィキソース乾の頁の順易経経彖伝 · 彖伝象伝 · 象伝文言伝 · 文言伝先に経、そのあとに各伝の部分
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ウィキソース乾の頁の順易経経彖伝 · 彖伝象伝 · 象伝文言伝 · 文言伝先に経、そのあとに各伝の部分
乾の頁の順:まず「易経」と記された経、続いて「彖に曰く」(彖伝)、「象に曰く」(象伝)、「文言に曰く」(文言伝)。

それぞれから一文を取り、経にどう付いているかを見ます。

三つの部分、一文ずつ

彖に曰く · 彖伝

大和を保ち合わせて、乃ち貞しきに利ろし。

同じ部分の中の「乃ち貞しきに利ろし」の句は、卦辞の「利貞」の二字を用いており、卦辞を解釈しています。

象に曰く · 象伝

天の行いは健やかである。君子はこれにならい、自ら努めて休むことがない。

「象に曰く」の下の最初の一文で、図形全体に向かいます。そのあと、爻ごとに下から上へ一文ずつ続きます。初九に対応するのは「潜竜用うる勿れとは、陽が下にあるからである」です。

文言に曰く · 文言伝

「元」は善の長、「亨」は嘉(よいもの)の会、「利」は義の和、「貞」は事の幹である。

卦辞の四つの語を一つずつ取り上げ、それぞれに一句の解説を付けています。

文言には、もう一つの書き方があります。経の原句を挙げて、問い、答えるものです。

初九に曰く、「潜竜、用うる勿れ」とは、どういうことか。子曰く、「竜の徳をもちながら、隠れている者である。……」

『文言伝』乾文言。出典はウィキソース(中国語版)乾の頁、訳

「潜竜、用うる勿れ」は、経にある初九そのものの句で、文言が取り出して問いにしたものです。引用符の中の字は経から取られていても、段落全体は伝です。層を決めるのは、その句がどの部分にあり、誰が問い誰が答えているかで、字面が経に似ているかどうかではありません。

一文ずつ層を決める:どこの文か

卦の頁のどの文も、三段階で層を決められます。同じ「潜竜、用うる勿れ」が違う位置に現れ、層が違ってくるので、練習の材料として最適です。

文\層文属する層頁の根拠①元いに亨る…経 · 卦辞易経の部分の中②潜竜、用うる勿れ経 · 爻辞易経の部分の中③陽が下にある伝 · 象伝象の下④天を統ぶ伝 · 彖伝彖の下⑤竜の徳で隠れる伝 · 文言伝文言の下⑥初九に曰く…伝 · 文言伝文言の下⑥は経の字を引くが、置かれた場所は文言なので伝
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文\層文属する層頁の根拠①元いに亨る…経 · 卦辞易経の部分の中②潜竜、用うる勿れ経 · 爻辞易経の部分の中③陽が下にある伝 · 象伝象の下④天を統ぶ伝 · 彖伝彖の下⑤竜の徳で隠れる伝 · 文言伝文言の下⑥初九に曰く…伝 · 文言伝文言の下⑥は経の字を引くが、置かれた場所は文言なので伝
六つの文の居場所:卦辞と潜竜の爻辞は易経の部分の中で経。「陽が下にある」は象伝、「天を統ぶ」は彖伝。「竜の徳で隠れる」と「初九に曰く」は文言の下にあって伝で、最後の文は経の字を引いている。
  1. 見出しを見る

    その文は「易経」の部分にあるのか、「彖に曰く」や「象に曰く」、「文言に曰く」の下にあるのか。まずこれで分けます。

  2. 誰が解釈しているかを見る

    経は解釈される本文で、伝はそれを解釈する側です。伝は解釈の口調をもつか、「どういうことか」と問うことが多いです。口調は照合に使うもので、第一段階の代わりにはなりません。

  3. 引用にすぎないかを確かめる

    伝は経の原句を挙げてから解釈することがよくあります。引用符の中の経の字は、その文の層を変えません。外側の層で決めます。

この三段階で「潜竜、用うる勿れ」を見ます。「易経」の部分にあるときは初九の爻辞で、経です。「象に曰く」の下の「潜竜用うる勿れとは、陽が下にあるからである」は、それを解釈する象伝の一文です。「文言に曰く」の下では、もう一度取り出されて問われ、答えられ、やはり伝です。字面は同じで、位置は三つあります。経の内部が卦辞と爻辞にどう分かれ、それぞれ卦全体に向かうのか一本の線に向かうのかは、卦辞と爻辞の記事で扱います。

十翼:各篇が受け持つことを一言で

乾の頁に現れたのは、三種類の伝だけでした。伝統的に伝の各篇は「十翼」とまとめられ、ウィキソース(中国語版)で『易伝』の頁を見ると、十篇が挙がっています。卦の頁に付くものと、単独の篇として置かれるものがあります。

卦の頁に付く経のすぐ後ろ彖伝象伝文言伝(乾・坤)単独の篇特定の卦に付かない繋辞上伝・下伝説卦伝序卦伝雑卦伝ウィキソースの配置による区分。全部で十篇
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卦の頁に付く経のすぐ後ろ彖伝象伝文言伝(乾・坤)単独の篇特定の卦に付かない繋辞上伝・下伝説卦伝序卦伝雑卦伝ウィキソースの配置による区分。全部で十篇
十翼を二つに分ける:彖伝・象伝・文言伝は卦の頁に付き、繋辞の上下・説卦・序卦・雑卦はウィキソースでは単独の篇として置かれる。

各篇を一言で

彖伝
卦辞と一つの卦の大意を解釈する。各卦に付いて現れる。
象伝
図形全体に向かう一文のあと、爻ごとの一文が続く。各卦に付いて現れる。
文言伝
乾と坤の二卦だけにあり、卦辞と爻辞を一句ずつ展開する。
繋辞上伝・下伝
特定の卦に付かず、卦・爻・辞・変化を総じて論じる。
説卦伝
主に、八卦がそれぞれどんな象をとるかを述べる。八卦の三爻構造と取象を参照。
序卦伝
六十四卦が、なぜ一つ次の一つへと続くのかを順に説明する。
雑卦伝
卦を二つずつ対にして並べ、違いを数語で言い当てる。

各篇がどう書かれ、どう読むかは別の記事の仕事です。ここでは、それぞれを「伝」の層に置けるようになれば十分です。

読んだあとの疑問

文言にも「潜竜、用うる勿れ」が出てきます。これは爻辞ですか。

爻辞ではありません。文言は初九のこの句を取り出して「どういうことか」と問い、それに答えています。引用符の中の字は経から取られていますが、段落全体は伝です。見分けるには、どの部分にあり、誰が問い誰が答えているかを見ます。字面では決まりません。

彖伝と象伝は、卦辞・爻辞の一部ですか。

一部ではありません。頁の上で経のすぐ後に続き、それぞれ「彖に曰く」「象に曰く」で始まる、経の解釈です。だから伝に入ります。引用するときは「卦辞に曰く」ではなく、『彖伝』『象伝』からと書きます。

経を読むには、伝を通して読まなければなりませんか。

必須ではありませんが、伝は早くからまとまって参照されてきた解釈の一群です。参照するときは、それが伝の読み方であり一つの見方だと明示します。乾の頁では、経そのものはとても短い文しか与えません。先に層を決め、そのあとで伝を借りるかどうかを選びます。

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この記事を含む学習ルート

資料・出典

  1. 維基文庫・周易・乾(易經、彖曰、象曰、文言曰各塊的排列與原文) ↗
  2. 維基文庫・周易・文言(僅有乾文言、坤文言兩節;坤頁亦同體例) ↗
  3. 維基文庫・易傳(《十翼》篇目列表) ↗
  4. 維基文庫・易傳・序卦(另核對雜卦、說卦、繫辭上的首章用語) ↗

続けて読む

易経と周易:名称と範囲を分けてから原典へ ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

八卦:三爻の構造と基本の象――八つの小さな卦を『説卦伝』で読む ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗