中孚卦:真ん中が空で、声はどこへ行くか
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中孚は六十四卦の第六十一卦で、上が巽、下が兌、沢の上に風があります。彖伝の「柔が内にある」「木の舟は空」、大象の「獄を論じ、死刑を緩める」、そして鶴の鳴き声、太鼓と歌、天に昇る声が出てくる六つの爻辞から、誠と声を読みます。
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中孚の形は真ん中が空いています。陰爻二本が真ん中にあり、陽爻四本が外を囲む。六つの爻辞のうち三つに声が出てきます。応えのある鶴の声、太鼓と涙と歌、そして最後に天へ昇る声。
- 中孚は巽(風)の下に兌(沢)を重ねた卦で、形は陽爻四本が陰爻二本を囲む。彖伝は「柔が内にあり、剛が中を得ている」と言い、「木の舟は空」とも言う。
- 卦辞は「豚と魚で吉」で、彖伝は「誠が豚や魚にまで及ぶ」と解く。大象の「獄を論じ、死刑を緩める」は、旅の「獄に滞らせない」と、刑獄の別の面を書いている。
- 爻辞には二つの声が目立つ。九二では鶴が陰で鳴き、その子が応える。上九では天に昇る声。小象はそれぞれ「心の中の願い」「どうして長く続こうか」と評する。

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沢の上に風:真ん中が空いた形
中孚は、巽(風)が上、兌(沢)が下の卦です。六つの線は下から陽・陽・陰・陰・陽・陽と並びます。六本を並べると、切れた二本の陰爻がちょうど真ん中に座り、その上と下を、切れない陽爻が二本ずつ囲みます。図の中心は空いています。
中孚と錯卦の小過:一方は陽四本が陰二本を囲み、他方は陰四本が陽二本を囲みます。
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読む前の三つの言葉
- 孚
- 誠。雑卦伝は卦名を「信」の一字で説明する。「中孚は信」。
- 中
- 卦名の「中」は、図に当てて読める。二本の陰爻は真ん中、つまり内側にあり、彖伝も「柔が内にある」と言う。
- 豚と魚
- 卦辞の「豚と魚で吉」。小さな豚と魚で、どちらも話せない。
卦辞と彖伝:柔が内にあり、舟は空
中孚の卦辞は「豚と魚で吉。大河を渡るのによい。正しくあるのがよい」。彖伝はまず形を述べ、それから一句ずつ説明します。
中孚は、柔が内にあって剛が中を得ている。悦んで従い、誠がある、それで国を感化する。「豚と魚で吉」とは、誠が豚や魚にまで及ぶということ。「大河を渡るのによい」とは、空っぽの木の舟に乗るということ。中孚は正しさを守るのがよく、天に応じる。
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「柔が内にある」は、数えればそのまま分かります。六三と六四の二本の陰爻が真ん中、内側にあります。「剛が中を得ている」は九二と九五で、それぞれの三爻の卦の真ん中です。「悦んで従う」は、上下の卦を並べた読み方。下の兌が悦び、上の巽が従うのです。そして「豚と魚で吉」は、誠が話せない小さなものにまで届くことと説明されます。最後は「木の舟は空」。巽は木で、舟は空っぽです。彖伝は卦の形が舟に似ているとは言いませんが、「舟が空」と「柔が内にある」を並べると、図の真ん中が空いていることとよく合います。
大象:獄を論じ、死刑を緩める
中孚の大象はこうです。
沢の上に風がある、これが中孚。君子はこれにならい、獄を論じ、死刑を緩める。
風が沢の上を吹き渡ります。君子はそこから二つの行いを得ます。獄を論じることと、死刑を緩めること。獄を論じるとは事件を論じ合うこと、死刑を緩めるとは、死の刑の執行を急がないことです。
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この象は、旅の象と同じ領域を書いています。旅の大象は、刑を用いるときの明るさと慎重さ、そして事件を溜めないことを語りました。ここで挙がるのは、論じ合うことと緩めることです。一方は事件を待たせないこと、他方は死を急がないこと。二つの卦が、同じ事柄の別の面を書いています。
六つの爻:三つの爻に声が出る
中孚の六つの爻辞には、何度も声が出てきます。
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初九は「安んじて吉。ほかの思いがあれば、落ち着かない」。古くからの読みでは、初めの語を自分の場を守ることと読み、ほかの思いがあるとそれが乱れる、と考えます。小象は「志がまだ変わらない」。九二は「鳴く鶴が陰にいて、その子が声を合わせる」。鶴が日陰で鳴き、その子が応えます。「私によい杯がある、あなたと分かち合おう」。杯は、飲む器と読む説と、よい爵位と読む説があり、最後の語は伝統的に「分かち合う」と読まれます。小象は「心の中の願いから出る」と評します。
六三は「敵に出会う。太鼓を打つかと思えばやめ、泣くかと思えば歌う」。四つの動作が行ったり来たりで、小象は「位が当たっていない」と言います。六四は「月は望を過ぎ(写本によっては「望に近い」)、馬の片割れを失う、咎めなし」。伝統的には、馬が連れ合いを失うと読まれ、小象は「同類との縁を絶って、上へ行く」。九五は「誠があって、つなぎとめる、咎めなし」。つなぎとは、人と結びつくこと。小象は「位が正しく当たっている」です。
いちばん上の上九は「羽ばたく声が天に昇る。守っても凶」。羽ばたく声は、伝統的には鶏の鳴き声と読まれます。小象の問いは一つ、どうして長く続こうか。説卦伝に当てて読むこともできます。兌は口で、下の三つの爻に、鳴き声、太鼓、歌があります。巽は鶏で、巽のいちばん上が、この「羽ばたく声」です。
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二つの声を並べます。一方は日陰にいて、応えがあり、よい杯を分かち合う。他方は天に昇り、小象が「どうして長く続こう」と問います。
小過・頤:中孚の隣の卦と、節のあとに置かれる理由
中孚は上下を逆さにしても中孚です。初と上、二と五、三と四が、どれも同じ種類の爻の組なので、綜卦は自分自身。錯卦は小過で、冒頭の図にあり、陰四本が陽二本を囲みます。互卦は頤で、第二〜五爻を二つの三爻の卦に分けると、下が震、上が艮になります。渙・節・中孚の三つの卦は、どれも互卦が頤です。
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序卦伝は中孚を節のあとに置きます。
節度が保たれて信じられる。だから中孚が続く。
節度が先、信じられるのはそのあと。中孚の次について、序卦伝は、信を持つ者は必ず行うと言って、小過につなぎます。
読んだあとの疑問
「豚と魚で吉」とは、どういうことですか。
字面は小さな豚と魚で、卦辞はそれが吉だと言います。彖伝は「誠が豚や魚にまで及ぶ」と説明します。どちらも話せないもので、伝統的には、いちばん目立たない存在と読まれます。
中孚の綜卦が自分自身なのはなぜですか。
図を上下逆にすると、初と上、二と五、三と四が入れ替わります。どの組も同じ種類の爻で、前の二組は陽、三組目は陰。逆さにしても形が変わらないので、綜卦は自分自身です。
中孚と小過はどういう関係ですか。
互いに錯卦で、すべての爻の陰陽が入れ替わります。中孚は陽四本が陰二本を囲み、小過は陰四本が陽二本を囲む。序卦伝は、信を持つ者は必ず行うので、中孚のあとに小過が続くと言います。
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