姤卦:金の止め具から角まで
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姤は六十四卦の第四十四卦で、上が乾、下が巽、卦全体で陰爻はいちばん下の一本だけです。卦辞の「女は盛ん」、彖伝が「遇う」を狭く読み、のち広く読み直す仕方、爻辞の縛る・包む・角と、小象の牽くという動作から読みます。
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姤の陰爻は、いちばん下の一本だけです。卦名の「姤」が爻辞に出るのは上九だけで、ほかの爻はおもに、遇ったあとどう押さえるかを書きます。縛る、包む、小象では牽く、そして最後は角で遇う。
- 姤は乾(天)の下に巽(風)を重ねた卦で、陰爻が最下に一本、陽爻が上に五本。説卦伝は巽を長女と呼び、この一本の陰爻に合う。
- 彖伝はまず「遇うこと、柔が剛に遇う」と言い、「女を娶るな」は今回の出会い一つについてだとする。続けて「天地が遇い、物がみな現れる」と、遇うを万物へ広げる。
- 「包む」は三回(二・四・五)、「牽」は初六と九三の小象に出る。最上の爻では「角で遇う」に変わる。

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天の下に風:五本の陽爻の下に陰爻が一本
姤は、上に乾(天)、下に巽(風)を置いた卦です。下から数えて、最初の一本が陰爻、あとの五本はすべて陽爻。卦全体で陰爻は一本だけで、その上に五本の陽爻が乗っています。説卦伝は乾に「力強い」、巽に「入る」の一字を与え、さらに巽を「長女」と呼びます。巽の三本のうち、いちばん下が陰爻だからです。そこで、この卦象は次のように読むこともできます。五本の陽爻の足元に、長女が一人いる形です。
姤と綜卦の夬:綜卦は全体を上下逆にしたもので、姤のいちばん下の陰爻は、夬ではいちばん上に来ます。
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姤を読む前の三つの語
- 姤
- 彖伝が最初の一文で名を説明していて、姤は遇うこと。序卦伝も「姤は遇うこと」と言うので、この卦の主題は出会いです。
- 柔と剛
- 陰の爻を柔、陽の爻を剛と呼ぶ。「柔が剛に遇う」は卦の形そのもので、一本の陰爻が五本の陽爻に遇っている。
- 女壮
- 卦辞の最初の二字で、字面は「女は盛んである」。すぐあとに「女を娶ってはならない」が続き、原文の「取」は「娶る」と同じ。
卦辞と彖伝:狭く読み、広く読み直す
卦辞は短く、「女は盛んである。この女を娶ってはならない」。彖伝はこれを前半と後半に分けて扱います。
姤とは遇うこと、柔が剛に遇うことである。「女を娶るな」とは、長くつき合ってはいられないということ。天地が遇って、さまざまな物がみな現れる。剛が中正の位に遇って、天下に大いに行われる。姤の時の意義は大きい。
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前半は事柄に即しています。柔が剛に遇うのは一つの出会いで、「長くつき合えない」とは、そういう出会いは長続きしないということです。後半はぐっと視野を広げます。天地が遇うと、さまざまな物がそれぞれの姿を現し(「章」は、はっきり現れること)、剛が中正の位に遇うと、天下の事が大いに行われる。同じ「遇う」でも、一方の端は長居してはならない出会いで、もう一方の端は天地が出会って物が形をとること。最後の「姤の時の意義は大きい」は、姤という時の意義をたたえる一句です。
大象:風は天下を巡り、君主は命令を四方へ
姤の大象は「天の下に風がある。それが姤。君主はこれにならい、命令を出して四方に告げ知らせる」です。この卦で行いの主語になるのは「后」、つまり君主です。大象には「君子」「先王」「后」などがあり、卦ごとに違うので、原文に従います。
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説卦伝は「風は物を散らす」と言います。風の働きは、物をあちこちへ送り届けることです。大象もこの点と照らして読めます。天の下の風はどこへでも入り込むから、命令も風のように出して四方へ告げる。女のことにも「遇う」ことにも触れず、風の通り道だけを取っています。
六つの爻:縛る・包む・牽く・角
姤の爻辞と小象には、小さな動作の組があります。縛る、包む(爻辞に三回)、牽く(小象だけ)。
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初六はいちばん下で、唯一の陰爻です。「金の止め具に縛る」は、伝統的には、荷車の車輪を止める金属の止め具につなぐことと読まれます。爻辞は続けて「正しくあれば吉」と言いますが、どこかへ行こうとすれば「凶を見る」。その次の句が生々しく、痩せた豚はきっと落ち着きなく地面を踏みならす。小象の評は「柔の道は牽く」です。
九二は初六のすぐ上で、「包みに魚がある」。咎めはないが「客には利がない」。小象は「道理として客には及ばない」と説明します。九四は離れていて、「包みに魚がなく、事を起こせば凶」、小象は「民から遠い」と評します。魚が何かは原文に書かれていません。伝統的には、いちばん下の初六に当てて読むのが一般的です。
九三は真ん中に挟まれ、「尻に皮がなく、歩みは滞り」、危ういが大きな咎めはありません。その小象は「進むことがまだ牽かれていない」。「牽」の字は、初六の小象と九三の小象に一度ずつ出ます。前者は陰の道は牽くこと、後者はこの爻はまだ牽かれていないことを言います。
九五になると、包むものが瓜に変わります。「杞の枝で瓜を包み」、「章を含み」、「天から降ってくるものがある」。「章」の字は彖伝にも出てきました。彖伝は「物がみな章(現れる)」と言い、九五はそれを内に含んでいます。
いちばん上の上九では、もう包みも縛りもありません。「角で遇う」。角はいちばん上に出るもの。小象は「上で行き詰まり、悔いがある」と評します。縛る、包むから角へ。押さえる仕方がだんだん硬くなると読むこともでき、最上では角で遇います。
夬・復・乾:隣の卦と序卦
姤の綜卦は夬です。夬は下に陽爻五本、いちばん上に陰爻一本で、上下を逆にすると姤になります。錯卦は復で、いちばん下だけが陽爻、上は陰爻五本。姤とはすべての爻で陰陽が反対です。互卦は乾で、姤の第二〜四爻も第三〜五爻もすべて陽爻なので、重ねると乾になります。
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序卦伝は姤を夬のあとに置きます。夬は決すること、決したあとには必ず何かに遇うので、次が姤。姤のあとは萃で、遇ったあとに集まる、という続きです。夬は五本の陽爻が一本の陰爻を押し出す卦、姤はその同じ陰爻がいちばん下から再び現れる卦。隣り合う二つは、一本の陰爻の両端と見ることもできます。
読んだあとの疑問
「女は盛ん、この女を娶るな」は、気の強い女性を娶るなという意味ですか。
字面は「女は盛んである。この女を娶ってはならない」。彖伝が説明するのは「長くつき合えない」で、今回の出会いについての言葉です。同じ彖伝は後半で「遇う」を天地の出会いとして読み、特定の種類の人への評価には広げていません。
「包みに魚がある」の魚は何ですか。
原文は言いません。伝統的には、唯一の陰爻である初六に当てて読むのが一般的です。九二はそのすぐ上にあるので魚があり、九四は離れているので魚がない、という読みですが、原文にある説明ではありません。
姤と夬はどういう関係ですか。
互いに綜卦です。夬は下に陽爻五本、いちばん上に陰爻一本で、上下を逆にすると姤になります。序卦伝は、夬は決することで、決したあとに遇うものが姤、と二つを続けて説明します。
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夬卦:天の上に沢、「王の庭で宣言する」から「叫びなし、終わりに凶」まで ↗


