頤卦:両端が陽、間は陰四つ、誰が誰を養うか
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頤は第二十七卦で、上は艮、下は震、陽爻はいちばん下と上だけで、口の形に見えます。卦辞の「頤を観る」、言葉と飲食を慎む大象、六つの爻辞の「顛頤」「拂頤」から、最後の「由頤」まで、誰が誰を養うかを読みます。
要点を先に約6分で読めます
頤の字面は、ほおと顎。序卦伝は卦名を「養う」と説明します。同じ「頤」を、卦辞は観るものとし、大象は口から出る言葉と入る食べ物から語り、爻辞は養いの向きが逆になることを繰り返し書きます。
- 頤は艮(山)の下に震(雷)を重ね、陽爻は初九と上九だけ、間の四本は陰爻。この形は口に見立てられ、艮が上で止まり、震が下で動く。
- 卦辞「頤を観る、自分で口に入れるものを求める」を、彖伝は、何を養っているかと、どう自分を養っているかを観ることと読み、天地と聖人と万民にまで広げる。
- 六つの爻辞で、「顛頤」は六二と六四、「拂」は六三と六五に現れ、上九だけが「由頤」と言う。六二と六四は同じ二字なのに、評価は凶と吉に分かれる。

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口の形をした卦:両端が陽、間は陰四つ
頤は第二十七卦です。第四十二卦の「益」とは別の卦です。中国語の読みが近いため取り違えやすい点に注意してください。下卦は震(雷)、上卦は艮(山)。陽爻はいちばん下の初九といちばん上の上九だけで、間の四本はすべて陰爻。描くと、上と下に一本ずつ実線があり、間は切れた線が四つ。後の人はこの形をよく口に見立てます。上下に二列の顎があり、中は空いています。
説卦伝は二つの三爻の卦に一字ずつ与えます。震は動くこと、艮は止まること。ここから噛む様子を読む人もいます。下の顎は動き、それが下の震。上の顎は動かず、それが上の艮です。
頤と錯卦の大過:錯卦はすべての爻の陰陽を入れ替えたもので、両端の陽が陰に、間の陰が陽になる。
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頤を読む前に押さえる三語
- 頤
- 字面はほおと顎。序卦伝は卦名を「養う」と説明します。口は、人が養いを受ける場所です。
- 朵頤
- 初九の爻辞「私の朵頤を見る」に出る語で、ほおが垂れて動く、噛む様子。中国語で思う存分食べることを言う成語は、この一句から来ています。
- 口実
- 卦辞「自ら口実を求める」の「口実」は、字面では口に入れるもの。自分を養うために使うものです。
卦辞と彖伝:「頤を観る」は何を観るのか
頤の卦辞は短く、「貞しければ吉。頤を観る。自ら口実を求める」です。彖伝はまず「正しいものを養えば吉」と言い、続く二句にそれぞれ一つの「観る」を添えます。
頤「貞しければ吉」とは、正しいものを養えば吉ということである。「頤を観る」とは、何を養っているかを観ること。「自ら口実を求める」とは、自分をどう養っているかを観ること。天地は万物を養い、聖人は賢者を養って、万民にまで及ぶ。頤の時は、なんと大きいことか。
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卦辞の二句は、もともと食べ物の話のようですが、彖伝はそれを二つの問いとして読みます。「頤を観る」は、その人が何を養っているかを観ること。「自ら口実を求める」は、その人が自分をどう養っているかを観ること。結びでは、「養う」が段階を踏んで広がります。天地が万物を養い、聖人が賢者を養い、全ての人に及ぶ。一つの口の形をした卦が、口だけの話ではなくなります。
大象:言葉は口から出て、食べ物は口に入る
大象は卦の象から始まり、行きつく先は口のする二つのことです。
山の下に雷がある。これが頤。君子はこれにならい、言葉を慎み、飲食を節する。
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この大象で君子が学ぶのは、まさに口のことです。出ていく言葉と入ってくる食べ物、それぞれを「慎む」「節する」で整えます。彖伝と並べて読むと、彖伝は何をどう養うかを問い、大象はその問いをいちばん身近な所へ下ろします。毎日口にする言葉と、毎日口にする食べ物です。
六本の爻:同じ二字「顛頤」、吉凶は反対
六つの爻辞では、「頤」の前の語が変わり続けます。朵、顛、拂、顛、(拂経)、由です。
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初九はいちばん下で、爻辞は誰か別の人に語りかけるようです。「あなたの霊亀を捨てて、私が頬を動かして食べるのを見る。凶」。小象は「これも尊ぶに足りない」。霊亀の読みは二通りあり、占いに使う亀とも、食べなくてもよい亀とも言われます。
六二は「逆さまの養い、常道に逆らい、丘に養いを求める」、六四は「逆さまの養いで吉」。同じ二字を使いながら、評価は凶と吉に分かれます。
六二は「進めば凶」で、小象は「行いが仲間を失う」。六四は「吉」で、小象は「上が光を施す」。六三の「養いに逆らう」は「正しくても凶。十年は用いるな。利するところなし」、小象は「道が大きく背く」で、重い言葉づかいの爻です。六五は「常道に逆らう」のに「じっとして正しく守れば吉」で、同じ爻辞に「大きな川を渡ってはならない」ともあります。上九は「由頤」の二字から始まり、「危ういが吉。大河を渡るのがよい」、小象は「大いにめでたい」。隣り合う二つの爻辞が、川を渡るなと渡ってよいで、正反対です。
大過・坤と序卦:二つの接ぎ目
頤の錯卦は大過です。各爻の陰と陽を逆にすると、両端の陽は陰に、間の四本の陰は陽になります。頤を上下逆にしても頤なので、綜卦は自分自身。互卦は坤で、第二〜第四爻、第三〜第五爻は、どちらも陰爻が三本で、合わせて陰爻六本になります。
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序卦伝は頤の前後に隣を置きます。前は大畜で、蓄えがまずあり、後ろは大過で、養われなければ動けない、というつなぎ方です。並べると、蓄える、養う、動く、の順になります。
読んだあとの疑問
頤の卦と益の卦は同じものですか。
別の卦です。頤は第二十七卦で上艮・下震、益は第四十二卦で上巽・下震です。中国語の読みは近く、字形は関係がないので、引用するときは卦の番号を添えると取り違えを防げます。
中国語で「思う存分食べる」を表す成語は、もとは何を言った句ですか。
初九の「私の垂れた顎を見る」が出典です。朵頤は、ほおが垂れて動く、噛んでいる様子。爻辞ではこの句は凶と評され、小象は「尊ぶに足りない」と言います。成語は食べっぷりのよさだけを取っており、意味は変わっています。
頤は食事と健康の話ですか。
食事は一つの層にすぎません。大象は飲食を節するよう言いますが、卦辞と彖伝は、誰を、何を養うかへ話を移し、天地が万物を養い、聖人が賢者を養うところまで進みます。この本文での「養う」は、食事より広いものです。
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