知識ライブラリー
ZW-003 / 紫微斗数

紫微斗数の作盤に必要な出生情報と、各項目が入る安星の手順

コンテンツ版 · · 資料・出典

作盤フォームの入力欄を『紫微斗数全書』巻二の安星の順序に対応させ、旧暦の年・月・日・時辰、性別、出生地がそれぞれ命宮・五行局・紫微の位置・大限の向きのどこを決めるか、誤りが何を動かすかを整理します。

紫微の作盤に必要な出生情報

月と時辰で命宮・身宮、年干と命宮で五行局、局と日で紫微、性別で大限の向きが決まります。

シェアカードを保存 ↓

先に読む

紫微斗数とは?命盤の「宮」と「星」を最初に分ける ↗

入力欄は七つ、古法の入力は四つ

スマートフォンの紫微斗数アプリを開くと、入力欄にはおおむね、西暦の生年月日、出生時刻、性別、出生地、そして真太陽時の補正・閏月の扱い・子時の日付切替といった設定が並びます。ところが『紫微斗数全書』巻二の冒頭「安身命例」が使うのは、生年・生月・生日・生時の四つだけで、いずれも旧暦(太陰太陽暦)で数えます。フォームが古法より長いのは、私たちが西暦と時計の時刻を持っているからです。アプリはまずそれを古法の形式に換算し、換算で生じる曖昧さを設定に委ねています。

本稿で扱うのは一点だけです。各入力が安星のどの手順に入り、一つ誤ると何が動くのか。宮と星の基本は紫微斗数とは何か、命宮と身宮を手で数える練習は命宮と身宮にあります。

四つの入力はそれぞれ別の手順へ

巻二の順序に沿うと、安星は四段階に分かれ、各段階は決まった入力しか使いません。

入力 入る手順 この項目が誤ると
旧暦の月+時辰 命宮・身宮を置く。正月を寅に置いて生月まで進み、その枠を子時と見なして生時まで逆向きに数えた所が命宮、順向きに数えた所が身宮 命宮が変わる場合があり、その場合は十二宮の名称を付け直す
年干+命宮の地支 巻二「起五行寅例」で命宮の天干を求める(甲己の年は丙寅から、乙庚は戊寅、丙辛は庚寅、丁壬は壬寅、戊癸は甲寅)。その干支の納音から水二局・木三局・金四局・土五局・火六局が決まる 五行局が変わる可能性があり、紫微の位置と大限の開始年齢を再計算する
五行局+旧暦の日 その局の紫微表で生日を引き、紫微の地支を求める。残る十三の主星は「安南北斗諸星訣」で配置する 紫微の位置が変わる場合は両主星群を再確認する。異なる生日でも同じ主星配置になる場合がある
年干の陰陽+性別 巻二「安大限訣」。陽年の男性と陰年の女性は順行、陰年の男性と陽年の女性は逆行 陰陽と性別の組合せが順逆の条件を変えた場合、大限の向きが反転する

見落としやすい点が二つあります。第一に、旧暦の日は第三段階にしか現れません。命宮は決めないのに紫微を決めるので、一日の誤りで十四主星が総入れ替えになり得ます。第二に、年干は二度使われます。命宮の天干を導くときと、その陰陽を性別と組み合わせて大限の向きを決めるときです。年干は生年四化や禄存などの配置も決めますが、それは補助星と四化の記事に譲ります。

巻二に載っている計算例

「安身命例」の末尾には、最初の三段階をつなぐ例が載っています。甲年生まれで命宮が寅にある人は、甲己の年は丙寅から始まるので命宮の干支が丙寅。納音歌の「丙寅・丁卯は炉中の火」により火六局。初一(旧暦一日)の生まれなら、火六局の表で紫微は酉から起きる。原文はこの直後に「数に差遅なし、錯れば毫釐を失して千里を差う」と述べており、入力と手順が鎖のようにつながっていることを言っています。

条件を一つだけ変えると感度が分かります。命宮は寅のまま年干を乙にすると、乙庚の年は戊寅から始まり、「戊寅・己卯は城頭の土」で土五局になります。同じ初一の生まれでも、土五局の表では紫微は午です。月・日・時辰も命宮も動いていないのに、紫微は酉から午へ移りました。次の表は五局の初一の紫微の起点と、各局の歌訣が述べる開始年齢です。巻二の歌訣と表で照合できます。

五行局 大限の開始年齢(歌訣) 初一生まれの紫微
水二局 二歳(歌訣は「坎水の宮は二歳から行く」) 丑
木三局 三歳(歌訣は「木の宮に生まれれば三歳から起こる」) 辰
金四局 四歳(歌訣は「紫微が金の宮なら四歳で花開く」) 亥
土五局 五歳(表のみ) 午
火六局 六歳(歌訣は「離火の宮は六歳が奇」) 酉

旧暦の年・月・日・時辰という四つの古法の入力に性別を加え、命宮・身宮の配置、五行局の決定、紫微と十四主星の配置、大限の向きの決定という四つの手順へ流れ込む図。西暦の日付・時計の時刻・出生地は先に換算と設定を経て旧暦の日付と時辰になり、出生地は時辰と日付の判定を通してのみ後続に影響する。

BaZiFlowによる学習図。入力と安星の手順の対応だけを示し、個人の命盤ではありません。

性別は向きを、出生地は判定を変える

古法での性別の役割は一つです。年干の陰陽と組み合わせて、大限が順行か逆行かを決めます。巻二「安大限訣」の原文は「陽男陰女は命の前一宮より起こして順行、陰男陽女は命の後一宮より起こして逆行」です。現代の教え方では最初の大限を命宮そのものに置き、開始年齢を局数とし、以後は同じ向きに進めるのが一般的です。最初の大限が命宮か隣の宮かは版本と流派の違いなので、古い本を読むときは注意が必要です。どちらの起点でも向きの規則は同じで、同じ本命盤でも性別を取り違えると大限は逆向きに歩き、各宮に大限が重なる年代が全部ずれます。

出生地は『全書』には出てきません。現代の作盤に出生地が必要なのは、時計の時刻を換算するためです。まず出生地の時間帯で現地の標準時に戻し、次に真太陽時への補正を行うかを決め、その後でようやく、どの時辰か、日付の境界を越えているかを判定します。つまり出生地はどの星も直接置かず、「この瞬間はどの時辰・どの日か」という判定を通してだけ前段に効きます。真太陽時の補正を行うかどうかは流派やソフトによって異なります。時間帯と真太陽時の違いは真太陽時・時間帯・夏時間で説明しています。

境界と、よくある読み違い

  • 西暦の日付を旧暦の月日の代わりに使うことはできません。命宮は旧暦の月番号、紫微は旧暦の日で置くので、どちらも先に換算が必要です。フォームが西暦を受け付けるのは便宜のためで、古法が西暦を使うわけではありません。
  • 「時辰が不確かならとりあえず一つ選ぶ」と、命宮・身宮と時辰で置くすべての星が、未確認の仮定の上に固定されます。候補の命盤を残し、時辰で変わる構造を書き留める方が安全です。出生記録の確かめ方は出生時刻と記録の出所を確かめるを参照してください。
  • 性別が動かすのは大限の向きだけで、本命盤の星は一つも動きません。大限の向きだけが違う二枚の盤があれば、まず性別か年干の陰陽の入力を疑います。
  • 旧暦の年末近くの生まれでは、日付や年の境界によって年干そのものが変わり、五行局と四化も連動して変わります。こうした境界の問題は次の記事で扱います。

入力と手順の対応ができていれば、閏月の帰属、子時の区切り、日付の切替が命盤を変える理由は、この図に分岐を数本足すだけで理解できます。続きは閏月・時辰・日付切替の設定が命盤を変える理由へ。

資料・出典

  1. 紫微斗數全書・卷二:安身命例、起五行寅例、安大限訣 ↗
  2. 公曆與農曆對照表|香港天文台(HKO)|曆法 ↗
  3. Time zone – Wikipedia ↗

続けて読む