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HEX-041 / 共通の方法

損卦:二つの簋、三人、損せず益す

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損卦:減らすにも時がある

損は六十四卦の第四十一卦で、上が艮(山)、下が兌(沢)、山の下に沢があります。卦辞の「二つの簋」、彖伝の「下を損して上を益す」、爻辞に出る数と、「益」を言う三つの爻から、「減らす」の書かれ方を読みます。

要点を先に約6分で読めます

損卦はずっと数えています。二つの簋、三人が行く、一人が行く、十朋の亀。数えるうちに、六つの爻辞のうち三つに「益」が出てきて、最後は「損せずこれを益す」で終わります。

  • 損は艮(山)の下に兌(沢)を置いた卦。泰と比べると第三爻と上爻だけが入れ替わり、下卦は陽が一本減り上卦は一本増える。彖伝の「下を損して上を益す」に合う。
  • 卦辞は自問自答で、「何を用いるか。二つの簋を祭りに用いてよい」。彖伝は簋にも時があると補う。大象は二つの動詞に二つの対象で、怒りを抑え、欲をふさぐ。
  • 六三は「三人が行けば一人を損じ、一人が行けば友を得る」。九二・六五・上九の三つに「益」があり、上九は「損せずこれを益す」で結ぶ。
18秒で、損卦の山の下の沢、爻辞の数と「益」、読む前の三つの問いを持ち帰ります。

先に読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

山の下に沢:上は止まり、下は悦ぶ

損は、上卦が艮(山)、下卦が兌(沢)。説卦伝では、艮は「止」、兌は「説」(悦ぶ)。陽爻は最下の二つと最上の一つで、そのあいだに陰爻が三本続きます。

損とその綜卦の益を並べる:左は損で、下から陽・陽・陰・陰・陰・陽、下卦は兌(沢)、上卦は艮(山)。右は益で、下から陽・陰・陰・陰・陽・陽、下卦は震(雷)、上卦は巽(風)。益は損を上下逆にしたもの。線は下から数える。元の図を開いて拡大する

損と綜卦の益:上下逆にすると、損の上卦の艮は益の下卦の震になり、損の下卦の兌は益の上卦の巽になります。

上卦:艮陰・陰・陽、山、止まる下卦:兌陽・陽・陰、沢、悦ぶ
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上卦:艮陰・陰・陽、山、止まる下卦:兌陽・陽・陰、沢、悦ぶ
損は二つの層:山が上、沢が下。上卦の止まるが、下卦の悦ぶの上に載っている。

三つの語:損・簋・孚

損
字面は減らすこと、失うこと。六十四卦の並びでは、解の次、益の前に来る。
簋
祭りで黍や稷を盛った古い器。卦辞の「二つの簋」は、その器が二つということ。
孚
卦辞の頭にある「有孚」。字面は誠があること。「大いに吉」「咎めなし」はそのあとに続く。

卦辞と彖伝:「二つの簋を用いてよい」、減らすにも時がある

損の卦辞は自問自答です。「誠があり、大いに吉。咎めなし、正しさを守ってよく、行く所があるのによい。何を用いるか。二つの簋を祭りに用いてよい」。問いは何を用いるか、答えは器が二つで足りるということです。

損とは、下を損して上を益し、その道は上へ行くことだ。……二つの簋にも時がある。剛を損して柔を益すにも時がある。損と益、満ちると虚ろ、時とともに進む。

彖伝・損(抜粋訳)

「下を損して上を益す」は、卦の形で数えられます。損を泰(下が乾、上が坤)と並べると、違うのは第三爻と上爻だけです。泰の第三爻は陽で損では陰、泰の上爻は陰で損では陽。下卦は陽が一本減り、上卦は一本増えています。

泰123456損123456
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泰123456損123456
泰と損を並べる:損では第三爻が陽から陰に、上爻が陰から陽に変わり、下卦は陽が一本減り、上卦は一本増えて、「下を損して上を益す」に対応する。

彖伝の後半は、時に重心を置きます。「二つの簋にも時がある」、器が二つでも時機が要る。「剛を損して柔を益すにも時がある」、減らすことにも増すことにも時がある。最後の句は、損と益、満ちると虚ろを並べ、どれも時とともに進むと言います。

大象:怒りを抑え、欲をふさぐ

損の大象は、こうです。

山の下に沢がある、これが損。君子はこれにならい、怒りを抑え、欲をふさぐ。

象伝・損(訳)

「山の下に沢がある」は卦の形に沿った句です。君子の行いは二組に分かれ、抑えるは怒りに、ふさぐは欲に対応します。抑えるは行き過ぎないように押さえること、ふさぐは穴をふさいで通さないこと。怒りは腹立ち、欲はほしがる心です。

象:山の下に沢上の艮:山、止まる下の兌:沢、悦ぶ君子は:二つの動き抑える:怒りに対してふさぐ:欲に対して
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象:山の下に沢上の艮:山、止まる下の兌:沢、悦ぶ君子は:二つの動き抑える:怒りに対してふさぐ:欲に対して
損の大象:先に山の下の沢の象、次に君子の二つの動きと、それぞれの対象。怒りを抑え、欲をふさぐ。

艮の「止」と兌の「説」も、この二語と並べて見られます。上卦は止まること、下卦は悦ぶことをつかさどり、大象の「抑える」「ふさぐ」はどちらも止めることで、止められるのは怒りと欲です。

六本の爻:数と、損の中の「益」

損の卦辞と爻辞には、数が何か所か出てきます。卦辞の「二つの簋」、六三の「三人」と「一人」、六五の「十朋」。

爻位爻辞小象初九急いで行く、咎めなし、斟酌して損す志に合う九二守ってよい、行けば凶、損せず益す中を志とする六三三人行けば一人を損す三では疑いが生じる六四病を損し、早く喜びが来るこれも喜ばしい六五ある人が益す、十朋の亀上から助けが来る上九損せず益す、臣を得て家なし大いに志を得る
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爻位爻辞小象初九急いで行く、咎めなし、斟酌して損す志に合う九二守ってよい、行けば凶、損せず益す中を志とする六三三人行けば一人を損す三では疑いが生じる六四病を損し、早く喜びが来るこれも喜ばしい六五ある人が益す、十朋の亀上から助けが来る上九損せず益す、臣を得て家なし大いに志を得る
損の六つの爻辞と小象:数は六三と六五に、「益」は九二・六五・上九に出る。

初九の「斟酌してこれを損す」は、斟酌して、量りながら減らすということです。爻辞の「祀事」を「已事」とする版があり、小象もその読みで、「事が済めば速やかに往く」と書いています。九二の「損せず益す」は、減らさずにむしろ加えること、小象は「中を志とする」と言います。

六三の数がいちばん率直です。「三人が行けば、一人を損じ、一人が行けば、その友を得る」。三人なら一人減り、一人なら一人の仲間が増える。小象の評は「一人が行く、三では疑いが生じる」だけ。数えると、三から一を引いて二、一に友を足しても二で、卦辞の「二つの簋」と同じ数です。

六四の「その病を損す」は、減らされるのが病で、「早く喜びを得る」、小象も「これも喜ばしい」と言います。六本のうち、減らすことを素直に喜んでよいと書いたのは、ここだけです。

もう一つの筋が「益」です。六つの爻辞のうち三つが触れています。九二の「損せず益す」、六五の「ある人が益す」、上九の「損せず益す」。減らすという名の卦の最後の爻辞が、減らさずに増やす話で、小象は「大いに志を得る」と言います。上九の最後の「臣を得て家なし」は、伝統的に読み方が分かれます。

咸・復・益:損の隣の卦

損を上下逆にすると益になるので、損の綜卦は益です(冒頭の図)。序卦伝の筋道はこうです。解は緩むこと、緩めば必ず失うから損が来る。損が止まらなければ必ず益に至るから益が来る。雑卦伝は、損と益をひとまとめにして一句だけ言います。盛衰のはじまり、と。

錯卦は咸で、損と同じ二つの三爻卦、艮と兌を使い、上下を入れ替えた形です。損は艮が上、兌が下で、咸は兌が上、艮が下。互卦は内側の爻を二組に分けて取ります。下の組(第二〜第四)は陽・陰・陰で震、上の組(第三〜第五)は陰ばかりで坤、震の上に坤を載せた形が復です。

錯卦:咸123456互卦:復123456
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錯卦:咸123456互卦:復123456
咸と復を並べる:咸は損と同じ二つの三爻卦の上下を入れ替えた形で、復は一番下に陽が一本あるだけ。

読んだあとの疑問

損卦は、損をするほうがよいという意味ですか。

卦辞は「誠があれば、大いに吉」で始まり、「損」そのものを吉とも凶とも決めていません。彖伝は時に重心を置いていて、簋にも時があり、損も益も、満ちることも空になることも、時とともに進みます。

「簋」とは何ですか。なぜ二つなのですか。

簋は、祭りで黍や稷を盛る古い器です。原文は「二つの簋を祭りに用いてよい」と言うだけで、なぜ二つなのかは述べていません。彖伝が補うのは、簋にも時がある、ということです。

「ある人がこれを益す。十朋の亀も違えない」は、ほかの卦にもありますか。

あります。同じ一文が益の六二にも出てきます。一つは損に、一つは益にあり、二つの卦は互いに綜卦です。「朋」は、貝を貨幣としていた古い時代の数え方です。

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資料・出典

  1. 周易·損(Wikisource 中文版:卦辞、爻辞、彖、象) ↗
  2. 说卦传(Wikisource 中文版):艮止、兑说 ↗
  3. 序卦传(Wikisource 中文版) ↗
  4. 杂卦传(Wikisource 中文版) ↗

続けて読む

解卦:雷雨が起こり、「来れば吉」から「公が隼を射る」まで ↗

益卦:風と雷、「上から下へ」から「益す者なく、撃つ者あり」まで ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗