知識ライブラリー
TA-CARD-063 / タロット

ソードのクイーン:剣を立て、手を伸ばす

コンテンツ版 · · 資料・出典

ソードのクイーン:厳しく、根拠を示す

ソードのクイーンは、片手で剣を立て、もう片手を横へ伸ばし、厳しくも抑えの利いた表情の札です。ウェイトの原文から図像、ほぼ「欠」だけの語義、逆位置を分け、朱を入れる作業で「根拠を示して厳しく、手は一つ残す」練習をします。

要点を先に約7分で読めます

ソードのクイーンは剣を身の脇にまっすぐ立て、もう一方の手を伸ばしています。ウェイトの描写の半分は「何でないか」で、語義はほとんどが「何が欠けているか」です。

  • ウェイトの描写:右手が剣を垂直に掲げ、柄は椅子の肘掛けにのり、左手は腕を上げて伸びる。表情は厳しいが抑えが利き、悲しみを知る人を思わせる。
  • 慈悲を表す顔ではなく、剣を持っても権力の象徴とはほとんど言えない、と明言。語義(寡居、悲しみと気まずさ、不在、不妊、喪、欠乏、別離)はほぼ「欠」の列。
  • 逆位置の語義は心根へ移る:悪意、偏狭、偽り、取り澄まし、災い、欺き。補足は「寡婦」と、逆位置の「悪意を持つ悪い女」だけで、どちらも古い言い回し。
18秒で、立てた剣と伸ばした手、「欠」の語義、手渡す前の三つの問いの順に見ます。

先に読む

タロットの七十八枚を構成から確かめる ↗

まず図像:片手で剣を立て、もう片手を横へ伸ばす

ウェイトはまず手を書きます。右手は武器を垂直に掲げ、柄は王座の肘掛けにのっている。左手は伸び、腕が上がっている。次に顔。厳しいが抑えが利いていて、悲しみを知る人を思わせる。そのあとに否定が二つ続きます。慈悲を表す顔ではなく、剣を持ちながら、権力の象徴とはほとんど言えない、と。

ソードのクイーン:冠をかぶった女王が背の高い椅子に座り、片手で剣を立て、もう片手を横へ伸ばし、周りに雲と数匹の蝶がいる。三つのラベルは「立てた剣と伸ばした手」「慈悲ではない」「尋ねる問い」。元の図を開いて拡大する

BaZiFlow原創のソードのクイーン

RWS版の絵では、女王は横向きに背の高い石の椅子に座り、冠をかぶり、まっすぐな剣は冠よりずっと高く伸びています。上げた左手は手のひらを外へ向けて開き、椅子の正面には子どもめいた顔の彫刻があり、背後には雲が重なり、左下に濃い色の木、空に小さな鳥がいます。三層で見ると、剣は動かず、手は伸び、顔は感情を収めています。

剣直立、柄は肘掛け手一つ伸び、腕は上顔厳しく、抑えが利く
図を拡大 · 横にスクロールして読む
剣直立、柄は肘掛け手一つ伸び、腕は上顔厳しく、抑えが利く
三つの層の見取り図:剣は動かず、もう一方の手が伸び、表情は厳しさを収めている。

原典の語義:ほとんどが「欠」で出来た一覧

占いの語義は、寡居、女性の悲しみと気まずさ、不在、不妊、喪、欠乏、別離の順です。分けてみると、ほぼすべての語が「何かが足りない」と言っています。人がいない、あるべきものがない、そして、そのあとに残る気持ち。

寡居、女性の悲しみと気まずさ、不在、不妊、喪、欠乏、別離。

ウェイト「ソードのクイーン」(英文の要約訳)
分類語重心人が寡居・不在・別離誰かがいない物が不妊・欠乏あるべきものがない気持ち悲しみ・気まずさ・喪喪失の後に残る
図を拡大 · 横にスクロールして読む
分類語重心人が寡居・不在・別離誰かがいない物が不妊・欠乏あるべきものがない気持ち悲しみ・気まずさ・喪喪失の後に残る
語義を三つの山に分けたもの:人の欠け、物の欠け、残った気持ち(分けたのは本記事で、原典の区分ではない)。

補足欄にこの札について載るのは二点だけです。正位置は「寡婦」、逆位置は「問う人に悪意を持つ悪い女」。どちらも札を人物として読む古い言い方で、対比のために置きます。

二つの否定と一つの表情:ウェイトが描いたもの

この女王についてのウェイトの描写は、半分が「何でないか」でできています。表情は「厳しいが、抑えが利いている(chastened)」。「慈悲を表さない」。「剣を持つが、権力の象徴とはほとんど言えない」。三つとも、読み手が真っ先に思い浮かべる二つの像、冷酷な裁き手と権力を握る女王を、先に脇へ退けています。

三つの描写と、その役割

厳しいが抑えが利く
ウェイトの言葉そのもの。chastened には、苦労で磨かれて抑えが利く、という含みがあり、顔は厳しいが険しくはありません。
慈悲でも権力でもない
ウェイトが明言します。慰めに来た人ではなく、命令を下す人としても書かれていません。ここでの剣は、手元にあるものにすぎません。
伸ばした手
ウェイトは「左手が伸び、腕が上がっている」と書くだけで、説明はしません。「選択を相手に差し出す」という読みは、現代の学びの場が借りてきた見立てです。
ウェイトの言葉厳しく抑えの利く顔慈悲ではない左手が伸び、腕が上伝統の通説剣は思考と判断に結びつく宮廷札で女王は三番目現代の借用「厳しいが節度がある」手は「決定を返す」
図を拡大 · 横にスクロールして読む
ウェイトの言葉厳しく抑えの利く顔慈悲ではない左手が伸び、腕が上伝統の通説剣は思考と判断に結びつく宮廷札で女王は三番目現代の借用「厳しいが節度がある」手は「決定を返す」
同じ女王を出どころ別に見る:原典に書かれた言葉、昔からの連想、現代の学びの場での借り方。

「厳しいが抑えが利く」を「厳格だが節度がある」、開いた手を「選択を返す」と読むと、札を一つの作業に向けた問いに変えられます。どちらも借りてきた見立てなので、次の節でも、そう断って使います。

読み方:朱ペンと、伸ばした一方の手

この札には三つの形があります。剣は立ち、顔は抑え、手は伸びる。校正や編集の仕事に置き換えると、他人の原稿に朱を入れるときの三つの癖になります。

  1. 剣を立てる:箇所を特定する

    剣は垂直で、振り回しません。頁、行、語まで指し、指せるところだけを扱います。「全体になんとなく違和感」は、まだ一つの箇所ではありません。

  2. 顔を抑える:厳しく、根拠を添える

    削るべきは容赦なく削りますが、どの箇所にも一言の根拠を添えます。表記の決まり、統計、前の段落など。口調は原稿に向け、書いた人には向けません。

  3. 手を伸ばす:決定を返す

    ウェイトはこの手を説明しません。学習では「選択を差し出す」と読めます。各メモに代案の書き方か問いを一つ添え、決めるのは書き手です。

例を一つ。ボランティアの編集者が、地域の読書会だよりの原稿を受け取りました。「当会の蔵書は十万冊」とありますが、年度の統計は八万冊です。彼女のメモが三つの動作をどう満たすかを見ます。

箇所修正と根拠書き手に残す2段落十万→八万冊(統計)統計の日付を書くか見出し「最大」を削る何と言い換えるか署名会の正式名を補うどの版の名か
図を拡大 · 横にスクロールして読む
箇所修正と根拠書き手に残す2段落十万→八万冊(統計)統計の日付を書くか見出し「最大」を削る何と言い換えるか署名会の正式名を補うどの版の名か
三つのメモ:どれも箇所を指し、修正と根拠を示し、書き手に問いを一つ残しています。

メモの書き方、二通り

根拠のあるメモ

  • 頁と行を指す
  • 根拠を書く

態度だけのメモ

  • 「ここはだめ」
  • 「くどい」

足すこと

  • 代案を一つ添える
  • 決めるのは書き手

逆位置と、同じ席の札:「欠」から「心根」へ

ウェイトがソードのクイーンの逆位置に挙げる語は、悪意、偏狭、偽り、取り澄まし(prudery)、災い(bale)、欺きです。正位置と並べると、重心が動きます。正位置は状況の中で何が欠けているかを述べ、逆位置は人の心根の歪みを述べます。

正位置:状況寡居・不在欠乏・別離悲しみ・喪逆位置:心根悪意・偏狭偽り・取り澄まし災い・欺き
図を拡大 · 横にスクロールして読む
正位置:状況寡居・不在欠乏・別離悲しみ・喪逆位置:心根悪意・偏狭偽り・取り澄まし災い・欺き
二つの語義の重心は違います。正位置は状況の欠落、逆位置は心根の歪みです。

悲しみと剣のそばにいる三枚

ソードの9

寝台で嘆く

寝台で嘆く女性の上に剣が掛かる図で、これほどの悲しみはないというほどの、徹底した荒廃の札だとウェイトは述べます。クイーンの表情は悲しみに「慣れた」もので、すでに抑えられています。

ソードの2

目隠しの女性と二本の剣

目隠しをした女性が剣二本を肩で釣り合わせる図で、語義に挙がるのは同調と均衡、勇気。RWS版のクイーンは横顔のまま前方を見据え、剣を脇に立て、一方の手を伸ばします。

カップのクイーン

同じ女王で、杯を見る人

ウェイトによれば、彼女は見るだけでなく行動もし、その行動が夢を養います。語義は誠実、知恵、親切な奉仕。同じく座っていても、ソードのクイーンの語義は喪失と別離に落ち着きます。

読んだあとの疑問

ソードのクイーンは「冷酷な札」ですか。

ウェイトが書くのは、厳しいが苦労で磨かれて抑えの利いた表情で、慈悲を表す顔ではないと言いますが、「悪意」「欺き」といった語は逆位置にだけ出ます。正位置の語義は喪失や欠落を述べるもので、人を傷つけようとする語は一つもありません。

補足の「寡婦」は、いまもそう読めますか。

札を身分のある人物として扱う古い言い方です。学習では、状況と姿勢として読むことが多く、喪失のあとで口数が少なく率直で、物事がよく見えている状態を指します。実在の誰かの婚姻状況を判じる根拠は、札の中にありません。

伸ばした手は何を表しますか。

ウェイトは「左手が伸び、腕が上がっている」と書くだけで、意味は説明していません。「決定を相手に返す」と読む人もいますが、これは学習上の借用なので、そう断って使います。

この記事は役に立ちましたか?

資料・出典

  1. The Pictorial Key to the Tarot, Part III §2: Queen of Swords (Waite, 1910) ↗
  2. The Pictorial Key to the Tarot, Part III §4: Some additional meanings of the Lesser Arcana ↗
  3. Rider–Waite–Smith Tarot, Queen of Swords, drawn by Pamela Colman Smith (Wikimedia Commons) ↗

続けて読む

ソードのナイト:全速の一撃。絵の中に相手はいない ↗

ソードのキング:剣を抜いて座す。ウェイトは力が「職位」から来ると言う ↗

逆位置を「悪い意味」に固定しないために ↗