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HEX-042 / 共通の方法

益卦:上から下へ、そして一つの「或」

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益卦:増すものは下へ流れる

益は六十四卦の第四十二卦で、上が巽(風)、下が震(雷)。彖伝の「上を損して下を益す」、大象の「善を見れば移り、過ちがあれば改める」、そして小象が二度書く「外から来る」から、「増す」の書かれ方を読みます。

要点を先に約6分で読めます

益卦の増すものは、下へ向かって流れます。上は少し減り、下は少し増える。ところが同じ「或」の字が、六二では益を贈り、上九では撃ちに来て、小象はこの二つに同じ評を付けます。外から来る、と。

  • 益は巽(風)の下に震(雷)を置いた卦。否と比べると第一爻と第四爻だけが入れ替わり、上卦は陽が一本減り下卦は一本増える。彖伝の「上を損して下を益す」に合う。
  • 彖伝は「動いて入り、日に進んで限りなし」と言い、「大川を渡るによし」を「木の道が行く」へつなぐ。大象は二つに分かれ、善を見れば移り、過ちがあれば改める。
  • 小象は、贈られる六二も撃たれる上九も「外から来る」と評す。隣り合う六三と六四は中を行って公に告げ、九五は「恵」を二度言う。
18秒で、益卦の雷の上の風、爻辞の「或」と「公に告ぐ」と恵む心、読む前の三つの問いを持ち帰ります。

先に読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

風が上、雷が下:入ると動く

益は、上卦が巽(風)、下卦が震(雷)です。説卦伝で、巽は「入る」、震は「動く」。さらに、この二つを並べて言う一句があります。「雷と風はぶつかり合う」。爻の形では、陽爻は第一位と第五・第六位にあり、残る三つの位は陰爻です。

益とその綜卦の損を並べる:左は益で、下から陽・陰・陰・陰・陽・陽、下卦は震(雷)、上卦は巽(風)。右は損で、下から陽・陽・陰・陰・陰・陽、下卦は兌(沢)、上卦は艮(山)。損は益を上下逆にしたもの。線は下から数える。元の図を開いて拡大する

益と綜卦の損:上下逆にすると、益の上卦の巽は損の下卦の兌になり、益の下卦の震は損の上卦の艮になります。

上卦:巽陰・陽・陽、風、入る下卦:震陽・陰・陰、雷、動く
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上卦:巽陰・陽・陽、風、入る下卦:震陽・陰・陰、雷、動く
益の二つの層:風が上、雷が下。上卦は入ること、下卦は動くことをつかさどる。

三つの語:益・限りなし・木の道

益
字面は増すこと。彖伝は冒頭で、上を損して下を益す、と定義する。
限りなし・定まりなし
彖伝に続けて出る「ない」の語。民は悦んで限りなし、日に進んで限りなし、その益は定まる所なし。境がなく、決まった行き先もない。
木の道
「大川を渡るによし」のあとに、彖伝は「木の道が行く」と言う。説卦伝で巽は木で、伝統的には舟が水の上を行くことと読まれる。

卦辞と彖伝:上を損して下を益す

益の卦辞は二句だけです。「行く所があるのによい。大川を渡るのによい」。彖伝はまず、益がどちらへ向かって流れるかを言い、それから二句を説明します。

益とは、上を損して下を益し、民は悦んで限りなく、上から下へ降り、その道は大いに光る。「行く所があるのによい」とは、中正で慶びがあるということ。「大川を渡るのによい」とは、木の道が行くということ。益は動いて入り、日に進んで限りない。天が施し地が生み、その益は定まる所がない。およそ益の道は、時とともに行く。

彖伝・益(訳)
彖伝:益の向き上を損す上卦は陽が減る下を益す下卦は陽が増える民は悦ぶ限りなく彖伝:益の用い所行く所あり中正で慶び大川を渡る木の道時とともにおよそ益の道
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彖伝:益の向き上を損す上卦は陽が減る下を益す下卦は陽が増える民は悦ぶ限りなく彖伝:益の用い所行く所あり中正で慶び大川を渡る木の道時とともにおよそ益の道
彖伝はまず益の向きを言う。上を損し、下を益し、民が悦ぶ。続けて卦辞を説明する。往けば慶びがあり、川を渡れ、益の道は時とともに進む。

「上を損して下を益す」は、卦の形で確かめられます。否(下が坤、上が乾)と比べると、益は第一爻が陰から陽へ、第四爻が陽から陰へ変わっています。上卦は陽が一本減り、下卦は一本増えました。「上から下へ降る」とは、益が上卦から下卦へ移ることです。

「中正で慶びがある」も、伝統的には卦の形に当てて読まれます。六二は第二位の陰爻、九五は第五位の陽爻で、それぞれ自分の卦の真ん中にあって位も正しく、陰と陽で応じ合います。「動いて入り」は、下の震が動き、上の巽が入ること。「日に進んで限りない」は、進みが止まないこと。「天が施し地が生み、その益は定まる所がない」は、天が与え、地が生み、益に決まった行き先がないということです。最後の一句は「時とともに行く」で結ばれ、損の彖伝を結ぶ四字と同じです。

大象:善を見れば移り、過ちがあれば改める

益の大象は次のとおりです。

風と雷、これが益。君子はこれにならい、善を見ればそちらへ移り、過ちがあれば改める。

象伝・益(訳)

「風と雷」は上下二つの卦の象で、この一句の中の象にあたります。君子の行いは二つに分かれ、どちらも条件と動作の組です。

善を見る条件:善が目に入る動作:そちらへ移る過ちがある条件:自分に過ちがある動作:改める
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善を見る条件:善が目に入る動作:そちらへ移る過ちがある条件:自分に過ちがある動作:改める
益の大象は二つに分かれる。善を見れば移り、過ちがあれば改める。どちらも条件と動作の組。

「移る」と「改める」は、向きの違いとして読めます。移るのは外へ向かって善に近づくこと、改めるのは内に向かって自分の過ちを直すこと。「移る」の字は爻辞にも現れます。六四に「国を移すのに頼るのによい」とあります。

六本の爻:同じ「或」、一度は与え、一度は撃つ

益卦の六つの爻辞は、増すことの行き来を、違う人に割り振っています。

爻位爻辞小象初九大事を起こすのによい、大いに吉下は重い事を負わない六二或いはこれを益す、十朋の亀外から来る六三凶事に益す、公に告ぐ元から持つもの六四中行、公に告げ公が従う志を益す九五誠あり恵む心、問うなかれ大いに志を得る上九益す者なし、或いは撃つ偏った言い方、外から来る
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爻位爻辞小象初九大事を起こすのによい、大いに吉下は重い事を負わない六二或いはこれを益す、十朋の亀外から来る六三凶事に益す、公に告ぐ元から持つもの六四中行、公に告げ公が従う志を益す九五誠あり恵む心、問うなかれ大いに志を得る上九益す者なし、或いは撃つ偏った言い方、外から来る
益の六つの爻辞と小象:六二の「或いは益す」と上九の「或いは撃つ」は、小象がどちらも「外から来る」と評す。六三と六四は「中行」と「公に告ぐ」を共有する。

初九の「大事を起こすのによい」は、「大いに吉、咎めなし」と評されます。小象の「下は重い事を負わない」は、伝統的には、低い位にある者は重い事を担うべきでない、と読まれます。

六二と上九は、同じ「或」の字を使います。六二は「或いは益す」、ある人が益を与え、十朋の亀でさえ断れない(朋は、貝を貨幣としていた古い時代の数え方です)。小象は「外から来る」。上九は「益す者はなく、或いは撃つ」、誰も益さず、ある人が撃つ。小象の評も「外から来る」です。同じ「或」に同じ評。一度は与え、一度は撃つ。上九にはさらに「心の立て方が一定しない」とあり、そのあとに「凶」が来ます。

六三と六四は隣り合い、同じ語を使います。六三は「誠があり、中を行き、公に告げて圭を用いる」、六四は「中を行き、公に告げ、公が従う」。どちらも中を行き、どちらも公に告げます。六三で用いる圭は、玉でできた儀礼の器。六四では公が従い、小象は「志を益す」と言います。

九五は「誠があり、恵む心」と「わが徳を恵みとする」で、一つの爻に「恵」の字が二度出ます。まず心に恵みがあり、次に徳が恵みとして受け取られる。後ろの句は、伝統的には、人々が私の徳を恵みと見る、と読まれます。「問うなかれ、大いに吉」、小象の評は「志を大きく遂げる」です。

恒・剥・夬:益の隣の卦

益を上下逆にすると損になるので、益の綜卦は損です(冒頭の図)。錯卦は恒で、益の全爻を反対にすると現れます。恒は益と同じ二つの三爻卦、震と巽でできていますが、震が上、巽が下です。互卦は真ん中の四本を、重なる三本ずつで読みます。第二・三・四の爻は陰ばかりで坤、第三・四・五の爻は陰・陰・陽で艮。坤の上に艮を載せた形が剥です。

錯卦:恒123456互卦:剥123456
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錯卦:恒123456互卦:剥123456
恒と剥を並べる:恒は益の二つの三爻卦が場所を替えた形、剥は五本の陰の上に陽が一本だけ載る形。

序卦伝は益を損の後ろに置き、益の次は夬です。益してやまなければ必ず決壊するから、夬が益のあとに来ます。

読んだあとの疑問

益卦は、良いことばかりが書かれた卦ですか。

いいえ。上九は「益す者なく、或いはこれを撃つ。心の立て方が一定せず、凶」と書き、六三にも「凶事に益を用いる」とあります。卦辞は「行く所があるのによい」ですが、六つの爻辞には、益を受ける者も受けない者もいます。

「上を損して下を益す」は、上が損をするという意味ですか。

字面は、上卦が一本手放し、下卦が一本増えるということで、彖伝はすぐ「民は悦んで限りなし」「その道は大いに光る」と続けます。綜卦の損の「下を損して上を益す」とは正反対で、二つの卦は互いを上下逆にしたものです。

「大川を渡るによし」と「木の道」は、どうつながりますか。

説卦伝で巽は木です。伝統的には舟で水を渡ることと読まれますが、原文は詳しく述べていません。彖伝は、卦辞の川を渡る話を、巽の取象に結びつけているだけです。

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資料・出典

  1. 周易·益(Wikisource 中文版:卦辞、爻辞、彖、象) ↗
  2. 说卦传(Wikisource 中文版):巽入、震动、雷风相薄、巽为木 ↗
  3. 序卦传(Wikisource 中文版) ↗

続けて読む

損卦:山の下に沢、「二つの簋を用いてよい」から「損せずこれを益す」まで ↗

夬卦:天の上に沢、「王の庭で宣言する」から「叫びなし、終わりに凶」まで ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗