知識ライブラリー
HEX-049 / 共通の方法

革卦:牛の革から虎変・豹変へ

コンテンツ版 · · 資料・出典

革卦:変わるには、その日を待つ

革は六十四卦の第四十九卦で、上が兌、下が離、沢の中に火がある形です。彖伝が卦名を「二女が同居し、志が合わない」で説明すること、卦辞の「その日が来て信じられる」、大象の「暦を治め時を明らかにする」、牛の革から虎変・豹変まで進む六つの爻辞から読みます。

要点を先に約6分で読めます

革は変わる卦なのに、まず待つことを書きます。卦辞は「その日が来て信じられる」、初九は黄牛の革で物をきつく縛り、「事を起こしてはならない」と言います。変わりの深さは、あとから一段ずつ書かれていきます。

  • 革は兌(沢)の下に離(火)を重ねた卦。彖伝は「変わる」で説明せず、「水と火が息づき合い、二女が同居して志が合わない」で名を説明する。説卦伝で離は中女、兌は少女。
  • 卦辞と六二は「已日」、卦辞と九三・九四・九五は「孚」を言う。大象は「暦を治め時を明らかにする」で結ぶ。変わるには、時と信が先にいる。
  • 爻辞の変わりは、牛の革、日が来て革める、革の言葉が三度成る、命を革める、虎変、豹変、面を革めると具体的になる。小象は虎変を「文が炳か」、豹変を「文が蔚か」と評する。
18秒で、沢の中に火がある革卦、牛の革から虎豹へ進む変わりの深さ、読む前の三つの問いを持ち帰ります。

先に読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

沢の中に火:上が兌、下が離

革は、上が兌(沢)、下が離(火)の卦です。沢は水で、水の中の火は、水とは相いれません。彖伝はまさにこれを使って卦名を説明します。説卦伝で離は火であり「中女」、兌は沢であり「少女」です。中女と少女が、一つの卦に同居している。これが彖伝の言う「二女が同居する」の出どころです。下から数えると、陽・陰・陽・陽・陽・陰。

革とその綜卦の鼎を並べる:左は革で、下から陽・陰・陽・陽・陽・陰、下卦は離(火)、上卦は兌(沢)。右は鼎で、下から陰・陽・陽・陽・陰・陽、下卦は巽(風・木)、上卦は離(火)。鼎は革を上下逆にしたもの。線は下から数える。元の図を開いて拡大する

革と綜卦の鼎:綜卦は全体を上下逆にしたもので、革の上卦の兌(沢)は逆さになって巽となり、いちばん下に落ち、下卦の離(火)は逆さにしても離のまま、いちばん上に上がります。

上卦:兌下に陽二本、上に陰一本、沢、喜び、少女下卦:離陽・陰・陽、火、明るさ、中女
図を拡大 · 横にスクロールして読む
上卦:兌下に陽二本、上に陰一本、沢、喜び、少女下卦:離陽・陰・陽、火、明るさ、中女
上が兌、下が離。火は沢の下にあり、二人の娘の卦が重なっている。

革を読む前の三つの語

革
本来の意味は、毛を取り去った獣の皮。初九はこの意味で使い、彖伝は「変わる」の意味で使う。天地が革まって四季が成る。
已日
卦辞と六二が「已日乃…」と書く。伝統的には、時が満ちた日、その時が来たとき、と読むのが一般的。
孚
誠、人に信じられること。卦辞と九三・九四・九五に出てくる。

卦辞と彖伝:まず食い違い、次に信、そして大きな話

卦辞は短い四句です。字面は、その日が来てはじめて信じられ、大いに通り、正しくあるのがよく、悔いは消える。彖伝はこれを一層ずつ広げます。

革とは、水と火が互いに息づき(あるいは消し合い)、二人の娘が同居して、その志が合わないこと、それを革という。「その日が来て信じられる」とは、革めて信じられるということ。文明にして喜び、大いに通って正しく、革めて当を得れば、悔いはなくなる。天地が革まって四季が成り、湯・武が命を革めたのは、天に従い人に応じたのである。革の時の意義は大きい。

彖伝・革(訳)
まず食い違い水と火沢と火二女の同居中女と少女志が合わないそれが革そして信日が来て信革めて信じられる文明で喜ぶ離は明、兌は喜当を得る悔いが消えるそのあとに大きな話天地が革まる四季が成る湯武の革命天に従い人に応ず
図を拡大 · 横にスクロールして読む
まず食い違い水と火沢と火二女の同居中女と少女志が合わないそれが革そして信日が来て信革めて信じられる文明で喜ぶ離は明、兌は喜当を得る悔いが消えるそのあとに大きな話天地が革まる四季が成る湯武の革命天に従い人に応ず
彖伝はまず水と火が合わないことで名を説明し、次にその日が来て信じられること、文明で喜ぶ、当を得る、最後に天地が革まって四季が成ること、湯武の革命を述べる。

彖伝は「革」を「変わる」で説明しません。合わない状態から入ります。「水と火が息づき合う」の「息」には、消える、という読みと、生まれ育つ、という読みの両方があります。「二女が同居し、志が合わない」。二人の娘が一つの家にいて、志が噛み合わない。名前は食い違いから出ています。

それから卦辞に戻ります。「その日が来て、はじめて信じられる」。彖伝は「革めて信じられる」と添えます。変わるなら、人が信じるように変わる。「文明にして喜ぶ」は、卦象に合わせて確かめられます。説卦伝は「離は明らか」と言い、兌は「喜び」です。「革めて当を得れば、悔いはなくなる」。当を得て、悔いは消えます。

最後の一段がいちばん大きい。天地が革まって四季が成り、湯・武は、天に従い人に応じて命を革めた。彖伝は、食い違いから信、天地と王朝の交代へと、小さいほうから大きいほうへ並べています。

大象:沢の中に火、暦を治め、時を明らかにする

革の大象は「沢の中に火がある。それが革。君子はこれにならい、暦を治め、時を明らかにする」です。

象:沢の中に火兌が上:沢、水離が下:火、明るさ君子は:二つの行い暦を治める時を明らかにする
図を拡大 · 横にスクロールして読む
象:沢の中に火兌が上:沢、水離が下:火、明るさ君子は:二つの行い暦を治める時を明らかにする
革の大象:沢の中に火があり、水と火が出会う。君子はそこから、暦を整え、時を明らかにする。

「暦を治める」は暦を整えること、「時を明らかにする」は時節をはっきりさせること。「治める」は、伝統的には「整える、改める」と読まれます。大象が選ぶのは、変革の激しさではなく、暦です。毎年めぐる四季の、規則正しい変わり目です。卦全体を振り返ると、「時」に関わる語は三つの層になっています。卦辞と六二の「已日」は一日、彖伝の「四時」は季節、大象の「暦」は時間の全体の組み立て。三つを並べると、変わることと時機の結びつきが見えてきます。

六つの爻:牛の革から虎変・豹変へ

六つの爻辞では、変わるものが一段ごとに具体的になります。

爻位爻辞小象初九黄牛の革で縛る事を起こせない六二日が来て革める行けば誉れあり九三革の言葉、三度何処へ行こう九四孚あり、命を革める志が信じられる九五大人は虎変す文が炳か上六君子は豹変す文が蔚か
図を拡大 · 横にスクロールして読む
爻位爻辞小象初九黄牛の革で縛る事を起こせない六二日が来て革める行けば誉れあり九三革の言葉、三度何処へ行こう九四孚あり、命を革める志が信じられる九五大人は虎変す文が炳か上六君子は豹変す文が蔚か
革の六つの爻辞と小象:牛の革、日が来る、三度、命を革める、虎変、豹変。

初九は「黄牛の革で、しっかり縛る」。黄牛の皮で物をきつく縛ります。この卦で「革」を皮の意味で使うのはここだけです。小象は「事を起こせない」。

六二は「その日が来て、これを革める。行けば吉、咎なし」。日が来てはじめて革める。小象は「行って誉れあり」。

九三は「行けば凶、正しくても危うい。革の言葉は三度成り、孚がある」。真ん中の句は、伝統的には「変革の言葉が三度まとめられた」と読まれ、そのあとで「孚あり」となります。小象は「また何処へ行こう」。

九四は「悔いは消え、孚があって、命を革める。吉」。小象の評は、志が人に信じられた、ということです。

九五は「大人は虎のように変わる。占わずとも孚がある」。小象は「その文が炳か」。

上六は「君子は豹のように変わり、小人は面を革める。進めば凶、正しく居れば吉」。小象は「その文が蔚か」、そして小人は「従って君に付く」。

いくつかを並べて見ると、変わりが及ぶ層はそれぞれ違います。初九は革、物を縛る材料。九五は虎、上六は豹で、変わるのは全身の模様。「小人は面を革める」では、顔だけが変わります。「孚」にも調子があり、九三・九四・九五と続く三本の陽爻に一度ずつ出てきます。

鼎・蒙・姤:隣の卦と序卦

革の綜卦は鼎です。革を上下逆にすると、兌は逆さになって巽となり、いちばん下に落ち、離は逆さにしても離のまま、いちばん上に上がります。錯卦は蒙で、革の陰陽が全部逆になったもの。互卦は姤で、革の中ほどの四本には巽と乾が入っていて、巽の上に乾が乗る形がちょうど姤です。

錯卦:蒙123456互卦:姤123456
図を拡大 · 横にスクロールして読む
錯卦:蒙123456互卦:姤123456
革の錯卦の蒙と互卦の姤を並べる:蒙は革の陰陽を全部反転したもの、姤は陰が一本下にあり、陽が五本上にある。

序卦伝は、井から革への流れを、井の道に改めが欠かせないからだと説明します。革のあとの鼎は、物を改める器として鼎が最もふさわしいから、という並びです。革の互卦は姤で、序卦伝は姤を「遇う」ことと説明します。これを彖伝の「二女が同居する」と結びつけるのは連想にすぎず、原文はそう言っていません。

読んだあとの疑問

革卦は、王朝を倒すことを勧めているのですか。

彖伝は湯武の革命にも触れますが、卦辞と前のほうの爻は、まず条件を書きます。卦辞はまず「その日が来て信じられる」ことを求め、初九はまず物を縛り、小象は「事を起こしてはならない」と言い、九三にもなお「進めば凶」とあります。変わることに、いくつもの前提を置く文です。

「その日が来て信じられる」はどう読みますか。

字面は、その日になって、はじめて信じられる。「已日」は、伝統的には、時が満ちたその日と読むのが一般的です。卦辞と六二がこの語を使います。彖伝の説明は「革めて信じられる」。変わるなら、人に信じられる形で変わる、ということです。

「革の言葉が三度成る」とは何ですか。

伝統的には、変革の言葉が三度まとめられた、と読まれます。「三就」の読みには幅があります。爻辞はこの句のあとに「孚がある」と続けます。小象の評「また何処へ行こう」は、ほかに行く先があるだろうか、という意味です。

この記事は役に立ちましたか?

資料・出典

  1. 周易·革(Wikisource 中文版:卦辞、爻辞、彖、象) ↗
  2. 说卦传(Wikisource 中文版):离为火、离也者明也、兑说、中女与少女 ↗
  3. 序卦传(Wikisource 中文版) ↗

続けて読む

井卦:木の上に水、「井の泥」から「井を覆わない」まで ↗

鼎卦:木の上に火、「足が逆さ」から「玉の鉉」まで ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗