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YJ-007 / 易経

卦辞と爻辞

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一つの卦に七つの文、どれの言葉か

泰の卦を例に、卦全体に付く一つの卦辞と、一本ずつの線に付く六つの爻辞を見分けます。彖伝や象伝は解釈の層として別に置き、読む前に文の居場所を決める手順を示します。

要点を先に約8分で読めます

『周易』の卦には、卦全体に向かう卦辞が一つと、六本の線にそれぞれ向かう爻辞が付いています。文を読む最初の一歩は、その文がどの単位に属するかを決めることです。

  • 泰の卦の文は七つで、単位ごとに分かれます。最初の一つは図形全体に、残る六つは下から順に一本ずつの線に向かいます。
  • 同じ字が二か所に出ても、向かう範囲は同じではありません。卦辞の「往」は全体を見て、九三の「往」は第三爻にだけ当たります。
  • 『繋辞上伝』の「彖」は卦の下の文をさし、『彖伝』はそれを解釈する別の文です。名は同じでも層が違うので、前後を見て区別します。
18秒で居場所を確認:卦辞は卦全体、爻辞は一本の線、読む前の三つの問い。

先に読む

経と伝:乾の一頁で、本文と解釈を見分ける ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

一つの卦に七つの文:まず単位を数える

『周易』の泰の卦を開くと、卦名の後ろの文は一つの塊ではなく、七つに分かれています。最初の一つは卦全体に向かい、残る六つはそれぞれ一本の線に向かいます。読む前に、いま見ている文がどれなのかを見分けます。

泰の卦の文を七行に分けた図。いちばん上の行は図形全体に向かう卦辞で、その下の六行は第6爻から第1爻に向かう爻辞。元の図を開いて拡大する

泰を例にした文の構造図:卦辞一つと爻辞六つで七つ。爻辞は上から下に並べ、図形の下から数えた六本の線と一つずつ対応します。

七つの順は図形に対応します。卦辞は最初に置かれ、上下二つの三爻の卦が重なった図形全体に向かいます。爻辞は爻ごとに並び、どの爻かを冒頭で示します。たとえば「初九」「上六」です。「初」はいちばん下、「上」はいちばん上で、下から数える順と同じです。名前の中の「九」「六」の意味は、爻の位置と九・六の記事で扱います。

まず覚える三つの名

卦辞
卦全体に付く文。向かう先は、上下二つの卦が重なった図形全体です。一つの卦に一つあります。
爻辞
一本の爻に付く文。向かう先は、冒頭で名指しされたその線だけです。六十四卦のどれにも六つあります。
用九・用六
乾には六つの爻辞の後にもう一つ「用九」があり、坤には「用六」があります。ウィキソース(中国語版)の『周易』では、この二つの卦だけがそうなので、乾と坤は八つ、残りの六十二卦は七つです。

卦辞:図形全体に向かう一文

泰は乾が下、坤が上に重なった卦で、下から数えると陽の線が三本、陰の線が三本です。卦辞は一文だけで、卦名のすぐ後に置かれ、この図形全体に向かいます。

泰 · 乾が下、坤が上123456坤乾
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泰 · 乾が下、坤が上123456坤乾
泰の六本の線は下から陽三本、陰三本。下の卦が乾、上の卦が坤で、卦辞は図形全体に対応する。

泰は、小さいものが往き、大きいものが来る。吉であり、事は通じる。

『周易』泰・卦辞(ウィキソース(中国語版)の本文による。意味を取った訳)

この文には「初」「二」「上」のような位置を表す語がなく、どの線も名指ししていません。だから読むときは全体を見ます。下の卦は何か、上の卦は何か、二つがどう重なってこの卦になったか。上下の卦がどう重なって一つの卦になるかは、上下の卦の組み方にあります。「往」と「来」は向きを言う語で、注釈者によって説明が分かれます。ここで確かめるのは、この文がどの単位に属するかだけです。

孔穎達は『繋辞上伝』の疏を書くとき、まさにこの一文を例に引いています。

「彖とは象を言うもの」であり、象には大小がある。だから物の大小を分け整えることは卦にある。たとえば泰は「小は往き大は来る、吉にして亨る」、否は「大は往き小は来る」といった類がそれである。

孔穎達『周易正義』、『繋辞上伝』「小大を斉うる者は卦に存す」の疏(ウィキソースによる。訳)

彼は泰のこの文を「卦」の層に置いて、その句の例にしています。これは卦全体の小と大を分けるもので、ある一本の爻の得失を量るものではありません。

爻辞:一本の線だけに向かう

泰の六つの爻辞は、それぞれ一本の線に付いています。冒頭でまず名指しします。「初九」はいちばん下の第1爻、「上六」はいちばん上の第6爻です。

卦辞一つの卦に一つ向かう先:卦全体位置:卦名の後例:小往き大来る爻辞一本の爻に一つ向かう先:一本の線位置:爻ごとに並ぶ冒頭で名指し:初九単位を見分けてから字面を読む
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卦辞一つの卦に一つ向かう先:卦全体位置:卦名の後例:小往き大来る爻辞一本の爻に一つ向かう先:一本の線位置:爻ごとに並ぶ冒頭で名指し:初九単位を見分けてから字面を読む
卦辞と爻辞の比較:卦辞は卦全体に向かい卦名の後に置かれる。爻辞は一本の線に向かい、爻ごとに並び、冒頭でその爻を名指しする。

比べると、卦辞は名指しをせず、爻辞は必ず名指しをします。爻辞の内容は名指しされた爻に落ち、自動的に卦全体の言葉になることはありません。泰の二つを見ます。

二つの爻辞、それぞれの居場所

初九 · 第1爻

茅を引き抜くと、根が連なって仲間も一緒に抜ける。進んで行けば吉。

いちばん下の線だけに向かう文で、冒頭の「初」がすでに位置を示しています。

九三 · 第3爻

平らなだけで傾かないものはなく、去るだけで戻らないものもない。困難の中でも貞しければ咎はない。その誠を気に病むな。食には福がある。

ここにも「往」の字がありますが、第3爻に属し、卦辞の「往」とは別の単位です。互いに代わりにはなりません。

『繋辞上伝』の第三章は、この二種類の文を並べて述べています。孔穎達の疏が順に説明します。

彖とは、象を言うものである。爻とは、変を言うものである。……辞とは、それぞれが向かう先を指すものである。

『繋辞上伝』第三章(章の区切りはウィキソースによる。訳)
  • 「彖は象を言う」:疏は、彖を卦の下の辞とし、一つの卦の象を述べるものと説明します。だから卦全体に向かいます。
  • 「爻は変を言う」:疏は、爻の下の辞で、その爻の象の変化を述べるものと説明します。だから一本の爻に向かいます。
  • 「辞はそれぞれ向かう先を指す」:疏は、卦辞も爻辞も、それぞれの卦や爻の向かう先を指すと説明します。つまり、どの辞も自分の単位とともに動きます。

単位に従って読む:文をそれぞれの場所に戻す

卦や爻の文に出会ったら、すぐ説明しようとせず、三段階で居場所を決めます。どの層の文か、卦全体か一本の線か、そして字面は何を言っているか。

文\居場所文属する層向かう先①小は往き大は来る卦辞卦全体②茅を抜くと…爻辞第1爻③上六:城が堀に…爻辞第6爻④志は外にある象伝第1爻の解釈前の三つは原文、四つ目は解釈の層
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文\居場所文属する層向かう先①小は往き大は来る卦辞卦全体②茅を抜くと…爻辞第1爻③上六:城が堀に…爻辞第6爻④志は外にある象伝第1爻の解釈前の三つは原文、四つ目は解釈の層
四つの文の居場所:小は往き大は来るは卦辞で卦全体に向かう。茅を抜くは爻辞で第1爻。上六の城の文は爻辞で第6爻。志は外にあるは象伝に属し、第1爻を解釈する。
  1. 層を決める

    卦辞と爻辞は原文です。その後ろに「彖に曰く」「象に曰く」と続くものは、原文を解釈する別の層です。

  2. 向かう先を決める

    卦辞は卦全体。爻辞は冒頭で名指しされた爻を見て、下から数えます。初、二、三、四、五、上の順です。

  3. それから字面を読む

    向かう先が決まってから字面を読み、その場所に戻します。卦辞は図形全体に、爻辞は上下の卦の中のその一本の線に戻します。

上の表は、後ろの二列を隠して自分で判断してみてください。①には位置を表す語がなく、卦全体に向かいます。③には「上六」という名指しがあるので、いちばん上の第6爻だけに向かいます。④は「象に曰く」の下にあり、第1爻に対応していますが、爻辞そのものではなく、解釈の層の文です。

『繋辞上伝』の第二章は、君子は「居るときはその象を観て、その辞を玩ぶ」と言います。まず象を見て、それから辞をじっくり味わうということです。正しく味わうには、その辞が何に付いているかを知らなければなりません。だから居場所を先に決め、意味はその後で考えます。

解釈の層と六爻:七つの文に入らない言葉

同じ頁で、卦辞と爻辞の後に続く「彖に曰く」「象に曰く」は、別の層の文です。原文を解釈するもので、それ自体は卦辞でも爻辞でもありません。

一頁を読む順卦辞・爻辞まず原文次に彖伝・象伝原文の解釈その後注釈・講義諸家の読み層が違う。一つの文に混ぜない
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一頁を読む順卦辞・爻辞まず原文次に彖伝・象伝原文の解釈その後注釈・講義諸家の読み層が違う。一つの文に混ぜない
一頁を読む順:まず卦辞と爻辞の原文、次にそれを解釈する彖伝と象伝、その後に諸家の注釈と講義。

泰では、頁にまず卦辞と六つの爻辞が並び、続いて「彖に曰く」で始まる一節、さらに「象に曰く」で始まる一群があります。この二つは『易伝』に属し、伝統的に十翼にまとめられます。それぞれの構造と読み方は、十翼を専門に扱う別の記事に譲ります。ここでは、それらが原文にどう付いているかだけを見ます。

『彖伝』は、まず卦辞の原文をそのまま繰り返し(「泰は、小は往き大は来る、吉にして亨る」)、そのあとで解釈を広げます。『象伝』は、最初の一つが卦全体に向かい(泰では「天地が交わるのが泰である」という一文から始まります)、そのあとに爻ごとの文が一つずつ続きます。たとえば初九の「茅を引き抜くと、根が連なって仲間も一緒に抜ける。進んで行けば吉」に対応する象伝は、次の一文だけです。

「茅を抜いて進めば吉」とは、志が外にあるということである。

『象伝』泰・初九(ウィキソース(中国語版)『周易』泰による。訳)

「志が外にある」は一つの理由づけで、爻辞の外に書かれ、初九を解釈しています。爻辞のあとに書かれた一つの言い方で、参照する価値はありますが、爻辞そのものではありません。引用するときは出典が『象伝』だと明示します。

納甲六爻に移ると、同じ卦でも使う材料が違います。六爻には、納甲の干支、世と応、用神といった独自の取り方があり、卦辞・爻辞の文を読む読み方とは別です。二つが互いに代わりにならないための整理は、卦爻辞の読みと納甲六爻にあります。

読んだあとの疑問

卦辞と爻辞は、切り離して単独で読んでもよいですか。

分けて読んで構いません。ただし毎回どちらを読むのかを示し、向かう先に戻します。卦辞は図形全体に、爻辞は上下の卦の中のその一本の線に戻します。分けるのは層を混ぜないためで、文を卦から切り離すことではありません。

『彖伝』と、『繋辞上伝』にある「彖」は同じものですか。

同じ層ではありません。『繋辞上伝』の「彖」は、孔穎達の疏では卦の下の辞をさします。『彖伝』は原文のあとに置かれ、「彖に曰く」で始まる別の解釈文です。名が同じなので、出てくる位置と前後で判断します。

卦辞や爻辞を読めば、そのまま吉凶の結論が出ますか。

文中には「吉」「咎なし」といった語がありますが、それぞれ載っている辞の中だけのことで、その卦またはその爻について言うものです。具体的な問いに使うには、卦の立て方や読みの規則が間に入ります。それらは別の記事で説明します。

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この記事を含む学習ルート

資料・出典

  1. 維基文庫・周易・泰(卦辭、爻辭、彖、象) ↗
  2. 維基文庫・周易・乾(用九;坤頁同體例,為用六) ↗
  3. 維基文庫・易傳・繫辭上(第二、三章) ↗
  4. 維基文庫・周易正義・繫辭上卷七之三(孔穎達疏) ↗

続けて読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

爻位:初から上までの六つの位と、九・六の名づけを読む ↗

卦爻辞の読解と納甲六爻:同じ卦の資料を分ける ↗