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HEX-051 / 共通の方法

震卦:雷の届く距離と、手に残るもの

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震卦:雷はどれだけ近いか、手に何が残るか

震は六十四卦の第五十一卦で、上も下も震、雷が重なります。卦辞の「雷が来て恐れ、やがて笑う」、彖伝の「遠くを驚かし、近くを恐れさせる」、そして六つの爻辞が雷を置く距離から、雷の書き方を読みます。

要点を先に約7分で読めます

震卦の雷には、いつも距離がついています。来たところ、百里、隣の家。原文はもう一つのことにも目を向けます。雷の中で何を失い、手に何が残るか。

  • 震は震の上に震を重ねた卦。各卦は陽爻一本の上に陰爻二本なので、卦全体で陽爻は初九と九四の二本だけ。説卦伝は「震は動く」、大象はこれを重なる雷と呼ぶ。
  • 卦辞は先に「恐れる」、あとに「笑う」。彖伝は「恐れが福を招く」「あとに規則ができる」と読む。
  • 卦辞と爻辞に「喪」の字が三度出る。匕と香り酒を落とさない、貝を失う、失うものがない。六つの爻辞は雷を、来たところ・九つの丘・隣と、さまざまな距離に置く。
18秒で、震卦の二つの震、雷が落ちる四つの位置、そして読む前の三つの問いを持ち帰ります。

先に読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

雷の上に雷:同じ卦が二つ

震は『周易』の第五十一卦で、上卦も下卦も震です。各卦は陽爻一本の上に陰爻二本が載る形なので、六本のうち陽爻は初九と九四の二本だけ。上下それぞれの卦の一番下にあります。説卦伝は震の一字を「動」とし、象は雷、人でいえば長男にあてます。

震とその綜卦の艮を並べる:左は震で、下から陽・陰・陰・陽・陰・陰、上卦も下卦も震(雷)。右は艮で、震を上下逆さにしたもの、陰・陰・陽・陰・陰・陽、上卦も下卦も艮(山)。線は下から数える。元の図を開いて拡大する

震と綜卦の艮:震を上下逆さにすると艮になり、雷(動く)の鏡像は山(止まる)です。

上卦:震陽が下に一本、陰が上に二本、雷、動く下卦:震陽が下に一本、陰が上に二本、雷、動く
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上卦:震陽が下に一本、陰が上に二本、雷、動く下卦:震陽が下に一本、陰が上に二本、雷、動く
震の上下の卦はまったく同じで、どちらも陽爻一本の上に陰爻二本。だから卦全体で陽は第一と第四の爻だけ。

読む前に知る四つの語

恐れおののく(虩虩)
卦辞の「雷が来て」に続く擬態語。彖伝はこの句を「恐れが福を招く」と解くので、「恐れ」そのものを指す。
笑い声(啞啞)
卦辞は「笑い語らう」と書き、彖伝はこれを「あとに規則ができる」と読む。
匕と香り酒(匕鬯)
匕は供え物をすくうさじ、鬯は祭りに使う香り酒。「喪わない」とは、どちらも手から落とさないこと。
重なる(洊)
続けて来ること。大象の「重なる雷」は、雷が一つ鳴った直後にまた鳴ること。

卦辞と彖伝:恐れ、笑い、百里

震の卦辞は「通る。雷が来て恐れおののき、やがて笑い語らう。雷は百里を驚かせるが、匕(さじ)も香り酒も落とさない」。彖伝はその初めの三句を一句ずつ繰り返し、各句のあとに一つずつ説明を置きます。

震は通る。「雷が来て恐れおののく」とは、恐れが福を招くということ。「笑い語らう」とは、あとに規則ができるということ。「百里を驚かす」とは、遠くを驚かし、近くを恐れさせるということ。出て行っては宗廟と社稷を守り、祭りの主となることができる。

彖伝・震(訳)
恐れてから笑う雷が来る到着恐れる虩虩笑う語らいあとに規則秩序が続く雷の届くところ百里音が伝わる遠いと近い驚く、恐れる落とさない匕と香り酒
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恐れてから笑う雷が来る到着恐れる虩虩笑う語らいあとに規則秩序が続く雷の届くところ百里音が伝わる遠いと近い驚く、恐れる落とさない匕と香り酒
彖伝の二つの組:雷は先に恐れ、あとで笑いを呼び、そのあとに規則が続く。音は百里に届き、遠い人は驚き、近い人は恐れ、祭りの道具は手に残る。

最初の「恐れが福を招く」は、恐れを先に置きます。二つ目の「あとに規則ができる」は、笑いをその後に置き、規則とは決まり、型のことです。三つ目には小さな区別があります。遠くの人は「驚き」、近くの人は「恐れる」。同じ雷でも、距離によって反応が違うのです。

彖伝は「匕と鬯を喪わない」だけを取り出して説明することはせず、最後に「祭りの主になる」と添えます。匕と鬯は祭りの道具なので、二つの句は同じ場面を指しています。雷がどれほど大きくても、祭りを主る人は何も落とさない。

大象:重なる雷、恐れて身を修め省みる

雷が重なる、これが震。君子はこれにならい、恐れ慎んで身を修め、自らを省みる。

象伝・震(訳)
象:重なる雷上も震、下も震雷が一つずつ続く君子は:三つの行い恐れる:畏れ慎む修める:自分を整える省みる:自分を調べる
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象:重なる雷上も震、下も震雷が一つずつ続く君子は:三つの行い恐れる:畏れ慎む修める:自分を整える省みる:自分を調べる
震の大象:先に続けて鳴る雷の象、次に君子の三つの行い。恐れる、身を修める、省みる。

「洊」は重なること。雷のすぐあとにまた雷が来るので、息をつく間がありません。君子の行いは短い動詞の連なりで、恐れる、そして整える、そして調べる。

この「恐れ」は、卦辞の「虩虩」と並べて読むことができます。卦辞は(彖伝の解釈では)恐れが福を招くと言い、大象はそこに二つの行いを足します。恐れを、卦辞は行き着く先で語り、大象はそれをどう使うかで語っています。

六つの爻辞:雷はどこに落ち、何を失うか

六つの爻辞では、雷が落ちる場所がそれぞれ違い、どの爻も一つのことに目を向けます。その場所で、人の手に何が残っているか。

爻位爻辞小象初九恐れ、のち笑う恐れが福を招く六二危うい、貝を失い丘へ剛に乗る六三雷にぼんやり、災いなし位がふさわしくない九四雷が泥にはまるまだ明るくない六五往き来、失うものなし危うい中を行く上六震え、隣に落ちる隣を見て戒める
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爻位爻辞小象初九恐れ、のち笑う恐れが福を招く六二危うい、貝を失い丘へ剛に乗る六三雷にぼんやり、災いなし位がふさわしくない九四雷が泥にはまるまだ明るくない六五往き来、失うものなし危うい中を行く上六震え、隣に落ちる隣を見て戒める
震の六つの爻辞と小象:雷は来たところから隣に落ちるところまで進み、いちばん短いのは九四の三字。

初九は卦辞にいちばん近く、「雷が来て恐れおののき、のちに笑い語らう、吉」。卦辞より「のちに」にあたる一字が増え、末尾に判断の「吉」が加わっています。その小象は、彖伝の二つの説明をそのまま持ってきます。「恐れが福を招く、あとに規則ができる」。同じ二つの文が、卦辞・彖伝・初九・その小象と四度も出てきます。

六二の雷はもう危険を連れてきます。「雷が来て危うい」。貝を失い(「失う」の前の字の読みには、伝統的にいくつかの説があります)、人は九つの丘に登って避けます。「追わなくてよい、七日で戻る」。小象は卦の形で説明します。「剛に乗る」。六二は陰爻で、初九の陽爻のすぐ上に載っているからです。六三の「雷にぼんやり」は、伝統的には落ち着かない様子と読み、続いて「雷の中を行けば災いなし」。小象は「位がふさわしくない」で、陰爻でありながら第三位、つまり陽の位に立っているからです。

九四は上卦の震でただ一つの陽爻で、二つ目の雷の出だしにあたります。その爻辞はただ三字、「雷が泥にはまる」。小象の評は「まだ明るくない」です。

六五は「雷が往き来して危うい」が、「失うものはなく、すべき事がある」。小象は初めに「危うい中を行く」と言い、続けて「その事は真ん中にあり、大いに失うものはない」と添えます。上六で、雷は初めて自分の身に落ちません。「雷が自分の身ではなく隣に落ちる、咎めなし」。人はそれでも震え、きょろきょろと見回し、伝統的には恐れおののくさまと読みます。軽く出て行けば凶ですが、小象の結びは「隣を見て戒める」。隣に落ちた雷を見て、自分への戒めにするのです。

ここで「喪う」の字を数えてみます。卦辞に「匕と鬯を喪わない」、六二に「貝を失う」、六五に「失うものはない」。貝は七日後に戻ります。卦辞が手放さないものは、匕と鬯です。

艮・巽・蹇:震の隣の卦と、鼎のあとにある理由

艮は震を上下ひっくり返した卦で、これが震の綜卦にあたります(図は冒頭)。震は「動く」、艮は「止まる」で、雑卦伝は二つを一文にまとめます。震は起こり、艮は止まる。錯卦は巽です。互卦の蹇は、震の第二〜第四爻を下卦に、第三〜第五爻を上卦に組み直したものです。下は陰・陰・陽の艮、上は陰・陽・陰の坎になります。

錯卦:巽123456互卦:蹇123456
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錯卦:巽123456互卦:蹇123456
巽と蹇を並べる:巽は震の六爻をすべて反対にしたもの、蹇は震の真ん中の四爻から作った下が艮、上が坎の卦。

序卦伝が鼎の次に震を置く理由は、祭器を取り仕切るのは長男が一番だから、というものです。鼎が器なら、震はそれを預かる人。説卦伝では長男であり、彖伝の最後の句では「祭りの主」でもあります。震のあとは、物はいつまでも動き続けられず、止めなければならないので、艮が続くと序卦伝は言います。

読んだあとの疑問

震卦は雷の危険を言っているのですか。

字面は雷で、説卦伝も雷を震の象とします。ただ原文の重心は、雷を聞いた人がどうするかにあります。恐れる、笑う、逃げる、はまる、隣を見る。雷そのものの恐ろしさではありません。

「匕と鬯を喪わない」とはどういう意味ですか。

匕は供え物をすくうさじ、鬯は祭りに使う香り酒です。雷が百里を驚かせても、祭りを主る人はさじも酒も落としません。彖伝は一語ずつ解かず、最後に「祭主になる」と添えるだけです。

九四はなぜ三字しかないのですか。

卦の中で最も短い爻辞で、字面は雷が泥にはまる、小象の評は「まだ明るくない」です。原文はそれ以上書いていません。伝統的には動けない様子と読むのが一般的で、それ以外のことは補えません。

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資料・出典

  1. 周易·震(Wikisource 中文版:卦辞、爻辞、彖、象) ↗
  2. 说卦传(Wikisource 中文版):震动、震为雷、震为长男 ↗
  3. 序卦传(Wikisource 中文版) ↗
  4. 杂卦传(Wikisource 中文版) ↗

続けて読む

鼎卦:木の上に火、「足が逆さ」から「玉の鉉」まで ↗

艮卦:「止まる」は体のどこか、足の指からあごまで ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗