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YJ-009 / 易経

十翼を読む

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十翼は七種類、問いも七通り

復の卦を例に、十翼の各篇がどんな文体で何に答えるかを整理します。彖伝は卦辞を解き、象伝は象をとり、繋辞伝は通論、説卦・序卦・雑卦は調べる道具です。伝統的な帰属と成立の議論は分けて記します。

要点を先に約9分で読めます

十翼は十篇ですが、書き方は七種類です。卦辞を解くもの、象をとるもの、乾と坤だけを一句ずつ広げるもの、『易』全体を論じるもの、そして象・順序・対を調べる三つの道具があります。読む前に、その篇が何に答えているかを問います。

  • 十翼の十篇は七種類の文でできていて、問いがそれぞれ違うため、すべてを「爻辞の解釈」とひとまとめにはできません。
  • 復の卦を例にすると、卦辞がなぜそう言うか、象が何を行いに結びつけるか、なぜ剝の次か、誰と対か、は別々の篇が受け持ちます。
  • 古書にある伝統的な帰属と、作者・年代についての現代の議論は、別の種類の資料です。分けて記し、互いの代わりにはしません。
18秒で十翼:三つの組、復の卦が四篇で問われる四通り、引用の前に問う三つのこと。

先に読む

経と伝:乾の一頁で、本文と解釈を見分ける ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

十篇は三つの組:何に答える文かを先に問う

十翼とは伝統的な十篇の伝の総称で、文の種類は七つです。同じ種類の注釈ではなく、卦ごとに付くもの、『易』全体を論じるもの、調べるための道具に分かれます。十翼の一覧は経と伝:本文と解釈で見られます。

十翼の読書地図:経を解く彖伝・象伝・文言伝、『易』全体を論じる繋辞伝、そして説卦伝・序卦伝・雑卦伝の三つの道具。三つの組はそれぞれ別の問いに答える。元の図を開いて拡大する

十翼を、各篇が答える問いで三つの組に分けた図。篇目はウィキソース(中国語版)の『易伝』の頁に従う。

下の表は、七種類の文が答える問いと、それが現れる範囲です。伝の一句に出会ったら、まず表でその篇を見つけます。読むときの問いは、それで決まります。

篇\問い答える問い現れる範囲彖伝この卦辞は、卦全体の何を言うのか各卦象伝象は何の行いに対応し、爻は何を言うか各卦文言伝乾と坤の言葉を一句ずつ広げられるか乾・坤繋辞伝『易』は全体としてどういう書物か単独の篇説卦伝この八卦はどんな象をとるか単独の篇序卦伝この卦はなぜあの卦の次か単独の篇雑卦伝この卦は誰と対で、何が違うか単独の篇
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篇\問い答える問い現れる範囲彖伝この卦辞は、卦全体の何を言うのか各卦象伝象は何の行いに対応し、爻は何を言うか各卦文言伝乾と坤の言葉を一句ずつ広げられるか乾・坤繋辞伝『易』は全体としてどういう書物か単独の篇説卦伝この八卦はどんな象をとるか単独の篇序卦伝この卦はなぜあの卦の次か単独の篇雑卦伝この卦は誰と対で、何が違うか単独の篇
まず篇を見つけ、その篇の問いで読む

彖伝・象伝・文言伝:同じ復の卦、三通りの問い

復は第24卦で、下の卦が震、上の卦が坤です。通行本の復の頁では、経のあとに「彖に曰く」と「象に曰く」の二つの部分があるだけで、「文言に曰く」はありません。

復 · 震が下、坤が上123456坤震
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復 · 震が下、坤が上123456坤震
一番下に陽の線が一本、その上に陰の線が五本

彖伝は、卦辞の語句を一つずつ取り上げ、それぞれに一句を足します。左は復の卦辞、右は「彖に曰く」がそのあとに言う言葉です。

卦辞の語句亨る出入りに疾なし、朋来たりて咎なし其の道に反復し、七日にして来復す往く攸有るに利ろし彖に曰く剛が反り、動いて順に行う前の句から導かれる天の行いである剛が長じるのである
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卦辞の語句亨る出入りに疾なし、朋来たりて咎なし其の道に反復し、七日にして来復す往く攸有るに利ろし彖に曰く剛が反り、動いて順に行う前の句から導かれる天の行いである剛が長じるのである
同じ行の二句が対応する

最後の「復はそれ天地の心を見るか」は卦辞に対応する句がなく、彖伝自身の結びです。つまり彖伝が答えるのは、この卦辞はなぜそう言うのか、卦全体は何を意味するのか、という問いです。

象伝は問い方が違います。最初の一句は卦の象全体を見て、そのあとは爻ごとに一句ずつです。

雷が地の中にあるのが、復である。先王はこれにならい、至日に関所を閉ざし、商人も旅人も動かず、君主も諸方を視察しなかった。

『象伝』大象・復(復の頁の本文から訳出)

大象の型は大体そろっています。上下二つの卦がとる象、多くは続けて卦の名、そして「君子は以て……」のような行いの順です。『大象』の頁では、64条のうち53条の主語が君子で、残りの多くは先王(7)です。小象は爻ごとに一条で、多くは「也」で結ばれます。

四つの文、どう読むか・どう読まないか

どう読むか

  • 彖伝:卦辞のどの語句を引くかを見つけ、足した句を見る。
  • 大象:三つに分けて読む。象、卦の名、君子の行い。
  • 小象:その爻の爻辞に戻ってから、一句を読む。
  • 文言伝:乾と坤の二節だけ。「どういうことか」の問答を爻辞に戻す。

どう読まないか

  • 彖伝:引かれた卦辞の語句を、彖伝自身の新しい言葉と受け取らない。
  • 大象:「君子は以て」のあとの行いを、読者への命令や結果の予告と受け取らない。
  • 小象:爻辞から離して一句だけで読まない。
  • 文言伝:ほかの卦の解釈に使わない。乾と坤にしかない。

繋辞伝:卦の頁に付かない通論

繋辞伝は、どの卦の頁にも付かず、『易』そのものを論じる文です。繋辞上伝は十二章、繋辞下伝は九章に分かれます(章立ては中国語版ウィキソースによる)。上伝の第十章に、『易』の用い方をまとめた一句があります。

『易』には聖人の道が四つある。言葉で用いる者はその辞を尊び、行動で用いる者はその変を尊び、器を作る者はその象を尊び、卜筮を行う者はその占を尊ぶ。

『繋辞上伝』第十章(訳)
誰\何を尊ぶ何に用いるか尊ぶのは言う者言葉辞動く者行動変器を作る者器の制作象卜筮する者卜筮占
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誰\何を尊ぶ何に用いるか尊ぶのは言う者言葉辞動く者行動変器を作る者器の制作象卜筮する者卜筮占
繋辞伝自身がまとめた四つの用い方

卦・爻・辞・占筮を一緒に論じるので、どの章も、まず何について語っているかを決めて読みます。もう一つよくある書き方は、爻辞と、「子曰く」と記された一段を組み合わせる形です。復の初九もそうして引かれています。

同じ爻辞、三つの場所

経 · 初九

遠くへ行かずに引き返す。大きな悔いはなく、大いに吉。

爻辞そのもの。原文だけで、解釈はない。

象伝 · 小象

「遠からずして復る」とは、身を修めることである。

一句だけで、この爻だけを解釈する。

繋辞下伝 · 第四章

顔氏の子は、道に近い人ではないか。よくないことがあれば知らずにいたことはなく、知ればもう二度と行わなかった。

先に一人の人のことを語り、そのあとでこの爻辞を引いて照らし合わせる。

繋辞伝、どう読むか・どう読まないか

どう読むか

  • その章が卦・爻・辞・占筮・道理のどれを語るかを決めてから読む。
  • 引かれた爻辞は卦の頁で原文を確かめ、なぜ引くのかを見る。

どう読まないか

  • 一つの章を、ある一つの卦の専用の注と受け取らない。
  • 「子曰く」のあとの言葉を、爻辞の原文と受け取らない。

説卦伝・序卦伝・雑卦伝:象・順序・対を調べる

この三篇も卦の頁には付かず、爻を一本ずつ解釈もしません。それぞれが一つの調べ方を提供します。復の卦で試します。まず序卦伝は、一つの連なりです。

序卦伝:剝から大畜まで剝物は終に尽くべからず受くるに復復れば妄ならず受くるに無妄無妄あれば畜うべし受くるに大畜
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序卦伝:剝から大畜まで剝物は終に尽くべからず受くるに復復れば妄ならず受くるに無妄無妄あれば畜うべし受くるに大畜
どの一歩も「これを受くるに」

ほとんどの一歩が同じ型で、前の卦の特徴を述べ、「これを受くるに」後の卦をもってします。序卦伝の本文で「これを受くる」にあたる語は、全部で61回出てきます。

三通りの調べ方、どれも復で

説卦伝 · 象

復の中の雷と地

大象は「雷が地の中にある」と書きます。雷と地は、下の卦の震と上の卦の坤がとる象で、項目は説卦伝の後ろの章にあります。

序卦伝 · 順序

剝の次がなぜ復か

「物は終に尽くべからず。剝は上に窮まって下に反る。故にこれを受くるに復をもってす。」隣り合う二つの卦のつなぎの理由です。

雑卦伝 · 対

剝は爛れること、復は反ること

二つの卦を並べ、違いを一字で言い当てる形が多くあります。

雑卦伝の並びは序卦伝とは別立てです。序卦伝は師を先、比をあとにしますが、雑卦伝は「比は楽しみ、師は憂い」と比を先に書きます。説卦伝は十一章で、初めの二章は『易』がどう卦を成すか、第三章から第六章は八卦の配対・方位・働き、あとの五章は一つの卦ごとの性質と象を述べます。項目は八卦の三爻構造と象にあります。

三つの道具、どう読むか・どう読まないか

どう読むか

  • 説卦伝:まず章を決め、引くときは第何章かを書く。
  • 序卦伝:「これを受くるに」を一つの理由として読み、前の卦のどの特徴が受け継がれたかを見る。
  • 雑卦伝:対にして読み、各卦の一字を卦の頁で確かめる。

どう読まないか

  • 説卦伝:一つの卦の象を一つの爻辞に詰め込まない。象を人やことへの予言と受け取らない。
  • 序卦伝:各卦の意味を言い尽くしたものとみなさず、次のできごとの予測にも使わない。
  • 雑卦伝:一字の断定を卦全体に広げず、序卦伝の順序で探さない。

伝統的な帰属と成立の議論:二種類の資料を分けて記す

十翼を「誰が、いつ作ったか」には、古書の記述と、後世の研究の概括という二種類の資料があります。問いが違うので分けて記します。まず古書の一句です。

孔子は晩年に『易』を好み、彖・繋・象・説卦・文言を序した。

『史記』孔子世家(ウィキソース(中国語版)巻四十七から訳出。「序」は原文のまま)

この一句が挙げる名目は五つで、序卦と雑卦はなく、「十翼」という語もありません。『漢書』『隋書』の名目はそれぞれ違います。易経と周易:名称と範囲を参照してください。

伝統的な説古書の記述『史記』は五つを挙げる『漢書』『隋書』は別の組成立の議論百科事典の項目 · 二次資料作者:意見が分かれる年代:多くは戦国、篇ごとに違う
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伝統的な説古書の記述『史記』は五つを挙げる『漢書』『隋書』は別の組成立の議論百科事典の項目 · 二次資料作者:意見が分かれる年代:多くは戦国、篇ごとに違う
左は古書の記述、右は二次資料の概括

次の三つは、中国語版ウィキペディアの項目と学者の概説が伝えるところで、二次資料です。原著は未読です。

百科事典の項目の書き方

項目 · 二次資料

作者

史書は孔子が十翼を作ったと書きますが、全部が一人の手とは限らず、集団の作にあたる篇もあるとする学者もいます。帛書『易伝』と郭店楚簡の出土後、李学勤ら一群の学者が孔子と『易』の密接な関係を改めて認め、反対する学者もいます(伝聞)。

項目 · 二次資料

時代ごとの意見

項目によれば、北宋の欧陽脩は彖・象とほかの五篇で見方を分けた。清の姚際恒と康有為は『易伝』を孔子の作ではないとした。馮友蘭は孔子が十翼を作ったことを否定し、その思想に戦国期のものが多いとした。

項目 · 二次資料

年代

『周易』の項目と概説によれば、多くは戦国時代とされ、序卦・雑卦など一部の篇は漢代まで下るかもしれません。成立は篇ごとに違います。

  1. どの篇か

    篇の名を書きます。象伝は大象か小象か、繋辞伝と説卦伝は章を添えます。

  2. その篇は何を問うか

    冒頭の表に戻り、その篇の問いで一句を読みます。

  3. 誰の説か

    伝統的な言い方、百科事典の項目の概括、自分の読みを、三つに分けて書きます。

読んだあとの疑問

繋辞伝・説卦伝・序卦伝・雑卦伝は、彖伝・象伝のように卦ごとに探すのですか。

いいえ。この四篇はそれぞれ一続きの文で、章や項目で引きます。繋辞伝と説卦伝は章に分かれ、序卦伝は隣り合う卦を「これを受くるに」の連なりにし、雑卦伝は多くが対になった短い文です。

説卦伝・序卦伝・雑卦伝で、ものごとの吉凶を判断できますか。

この三篇が与えるのは、象・順序・対という三通りの調べ方です。それぞれ自分の問いにしか答えず、個別のできごとへの断定は原文にありません。引いた字をそのまま結論にすると、原文の範囲を超えます。

十翼は孔子が書いたのですか。

二つの層に分けて答えます。古書には孔子と伝の各篇を結びつける記述があり、百科事典の項目が伝える現代の研究は意見が分かれています。二種類の資料は別に記し、引用では出典もそれぞれ書きます。

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この記事を含む学習ルート

資料・出典

  1. 維基文庫・周易・復(復卦的經文、彖曰、象曰;另核對周易/彖、周易/大象、周易/小象、周易/文言) ↗
  2. 維基文庫・易傳(十翼篇目列表;另核對繫辭上第十章、繫辭下第四章、說卦、序卦、雜卦) ↗
  3. 維基文庫・史記・卷四十七 孔子世家(「孔子晚而喜《易》」一句) ↗
  4. 維基百科・十翼(百科條目,二手;歐陽修、姚際恆、康有為、馮友蘭諸說均據條目轉述,未讀原著;另讀周易條目的《十翼》一節) ↗

続けて読む

経と伝:乾の一頁で、本文と解釈を見分ける ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

乾坤を並べて読む:本文から、さまざまな解釈まで ↗