十翼を読む
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復の卦を例に、十翼の各篇がどんな文体で何に答えるかを整理します。彖伝は卦辞を解き、象伝は象をとり、繋辞伝は通論、説卦・序卦・雑卦は調べる道具です。伝統的な帰属と成立の議論は分けて記します。
要点を先に約9分で読めます
十翼は十篇ですが、書き方は七種類です。卦辞を解くもの、象をとるもの、乾と坤だけを一句ずつ広げるもの、『易』全体を論じるもの、そして象・順序・対を調べる三つの道具があります。読む前に、その篇が何に答えているかを問います。
- 十翼の十篇は七種類の文でできていて、問いがそれぞれ違うため、すべてを「爻辞の解釈」とひとまとめにはできません。
- 復の卦を例にすると、卦辞がなぜそう言うか、象が何を行いに結びつけるか、なぜ剝の次か、誰と対か、は別々の篇が受け持ちます。
- 古書にある伝統的な帰属と、作者・年代についての現代の議論は、別の種類の資料です。分けて記し、互いの代わりにはしません。

先に読む
十篇は三つの組:何に答える文かを先に問う
十翼とは伝統的な十篇の伝の総称で、文の種類は七つです。同じ種類の注釈ではなく、卦ごとに付くもの、『易』全体を論じるもの、調べるための道具に分かれます。十翼の一覧は経と伝:本文と解釈で見られます。
十翼を、各篇が答える問いで三つの組に分けた図。篇目はウィキソース(中国語版)の『易伝』の頁に従う。
下の表は、七種類の文が答える問いと、それが現れる範囲です。伝の一句に出会ったら、まず表でその篇を見つけます。読むときの問いは、それで決まります。
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彖伝・象伝・文言伝:同じ復の卦、三通りの問い
復は第24卦で、下の卦が震、上の卦が坤です。通行本の復の頁では、経のあとに「彖に曰く」と「象に曰く」の二つの部分があるだけで、「文言に曰く」はありません。
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彖伝は、卦辞の語句を一つずつ取り上げ、それぞれに一句を足します。左は復の卦辞、右は「彖に曰く」がそのあとに言う言葉です。
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最後の「復はそれ天地の心を見るか」は卦辞に対応する句がなく、彖伝自身の結びです。つまり彖伝が答えるのは、この卦辞はなぜそう言うのか、卦全体は何を意味するのか、という問いです。
象伝は問い方が違います。最初の一句は卦の象全体を見て、そのあとは爻ごとに一句ずつです。
雷が地の中にあるのが、復である。先王はこれにならい、至日に関所を閉ざし、商人も旅人も動かず、君主も諸方を視察しなかった。
大象の型は大体そろっています。上下二つの卦がとる象、多くは続けて卦の名、そして「君子は以て……」のような行いの順です。『大象』の頁では、64条のうち53条の主語が君子で、残りの多くは先王(7)です。小象は爻ごとに一条で、多くは「也」で結ばれます。
四つの文、どう読むか・どう読まないか
どう読むか
- 彖伝:卦辞のどの語句を引くかを見つけ、足した句を見る。
- 大象:三つに分けて読む。象、卦の名、君子の行い。
- 小象:その爻の爻辞に戻ってから、一句を読む。
- 文言伝:乾と坤の二節だけ。「どういうことか」の問答を爻辞に戻す。
どう読まないか
- 彖伝:引かれた卦辞の語句を、彖伝自身の新しい言葉と受け取らない。
- 大象:「君子は以て」のあとの行いを、読者への命令や結果の予告と受け取らない。
- 小象:爻辞から離して一句だけで読まない。
- 文言伝:ほかの卦の解釈に使わない。乾と坤にしかない。
繋辞伝:卦の頁に付かない通論
繋辞伝は、どの卦の頁にも付かず、『易』そのものを論じる文です。繋辞上伝は十二章、繋辞下伝は九章に分かれます(章立ては中国語版ウィキソースによる)。上伝の第十章に、『易』の用い方をまとめた一句があります。
『易』には聖人の道が四つある。言葉で用いる者はその辞を尊び、行動で用いる者はその変を尊び、器を作る者はその象を尊び、卜筮を行う者はその占を尊ぶ。
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卦・爻・辞・占筮を一緒に論じるので、どの章も、まず何について語っているかを決めて読みます。もう一つよくある書き方は、爻辞と、「子曰く」と記された一段を組み合わせる形です。復の初九もそうして引かれています。
同じ爻辞、三つの場所
遠くへ行かずに引き返す。大きな悔いはなく、大いに吉。
爻辞そのもの。原文だけで、解釈はない。
「遠からずして復る」とは、身を修めることである。
一句だけで、この爻だけを解釈する。
顔氏の子は、道に近い人ではないか。よくないことがあれば知らずにいたことはなく、知ればもう二度と行わなかった。
先に一人の人のことを語り、そのあとでこの爻辞を引いて照らし合わせる。
繋辞伝、どう読むか・どう読まないか
どう読むか
- その章が卦・爻・辞・占筮・道理のどれを語るかを決めてから読む。
- 引かれた爻辞は卦の頁で原文を確かめ、なぜ引くのかを見る。
どう読まないか
- 一つの章を、ある一つの卦の専用の注と受け取らない。
- 「子曰く」のあとの言葉を、爻辞の原文と受け取らない。
説卦伝・序卦伝・雑卦伝:象・順序・対を調べる
この三篇も卦の頁には付かず、爻を一本ずつ解釈もしません。それぞれが一つの調べ方を提供します。復の卦で試します。まず序卦伝は、一つの連なりです。
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ほとんどの一歩が同じ型で、前の卦の特徴を述べ、「これを受くるに」後の卦をもってします。序卦伝の本文で「これを受くる」にあたる語は、全部で61回出てきます。
三通りの調べ方、どれも復で
復の中の雷と地
大象は「雷が地の中にある」と書きます。雷と地は、下の卦の震と上の卦の坤がとる象で、項目は説卦伝の後ろの章にあります。
剝の次がなぜ復か
「物は終に尽くべからず。剝は上に窮まって下に反る。故にこれを受くるに復をもってす。」隣り合う二つの卦のつなぎの理由です。
剝は爛れること、復は反ること
二つの卦を並べ、違いを一字で言い当てる形が多くあります。
雑卦伝の並びは序卦伝とは別立てです。序卦伝は師を先、比をあとにしますが、雑卦伝は「比は楽しみ、師は憂い」と比を先に書きます。説卦伝は十一章で、初めの二章は『易』がどう卦を成すか、第三章から第六章は八卦の配対・方位・働き、あとの五章は一つの卦ごとの性質と象を述べます。項目は八卦の三爻構造と象にあります。
三つの道具、どう読むか・どう読まないか
どう読むか
- 説卦伝:まず章を決め、引くときは第何章かを書く。
- 序卦伝:「これを受くるに」を一つの理由として読み、前の卦のどの特徴が受け継がれたかを見る。
- 雑卦伝:対にして読み、各卦の一字を卦の頁で確かめる。
どう読まないか
- 説卦伝:一つの卦の象を一つの爻辞に詰め込まない。象を人やことへの予言と受け取らない。
- 序卦伝:各卦の意味を言い尽くしたものとみなさず、次のできごとの予測にも使わない。
- 雑卦伝:一字の断定を卦全体に広げず、序卦伝の順序で探さない。
伝統的な帰属と成立の議論:二種類の資料を分けて記す
十翼を「誰が、いつ作ったか」には、古書の記述と、後世の研究の概括という二種類の資料があります。問いが違うので分けて記します。まず古書の一句です。
孔子は晩年に『易』を好み、彖・繋・象・説卦・文言を序した。
この一句が挙げる名目は五つで、序卦と雑卦はなく、「十翼」という語もありません。『漢書』『隋書』の名目はそれぞれ違います。易経と周易:名称と範囲を参照してください。
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次の三つは、中国語版ウィキペディアの項目と学者の概説が伝えるところで、二次資料です。原著は未読です。
百科事典の項目の書き方
作者
史書は孔子が十翼を作ったと書きますが、全部が一人の手とは限らず、集団の作にあたる篇もあるとする学者もいます。帛書『易伝』と郭店楚簡の出土後、李学勤ら一群の学者が孔子と『易』の密接な関係を改めて認め、反対する学者もいます(伝聞)。
時代ごとの意見
項目によれば、北宋の欧陽脩は彖・象とほかの五篇で見方を分けた。清の姚際恒と康有為は『易伝』を孔子の作ではないとした。馮友蘭は孔子が十翼を作ったことを否定し、その思想に戦国期のものが多いとした。
年代
『周易』の項目と概説によれば、多くは戦国時代とされ、序卦・雑卦など一部の篇は漢代まで下るかもしれません。成立は篇ごとに違います。
どの篇か
篇の名を書きます。象伝は大象か小象か、繋辞伝と説卦伝は章を添えます。
その篇は何を問うか
冒頭の表に戻り、その篇の問いで一句を読みます。
誰の説か
伝統的な言い方、百科事典の項目の概括、自分の読みを、三つに分けて書きます。
読んだあとの疑問
繋辞伝・説卦伝・序卦伝・雑卦伝は、彖伝・象伝のように卦ごとに探すのですか。
いいえ。この四篇はそれぞれ一続きの文で、章や項目で引きます。繋辞伝と説卦伝は章に分かれ、序卦伝は隣り合う卦を「これを受くるに」の連なりにし、雑卦伝は多くが対になった短い文です。
説卦伝・序卦伝・雑卦伝で、ものごとの吉凶を判断できますか。
この三篇が与えるのは、象・順序・対という三通りの調べ方です。それぞれ自分の問いにしか答えず、個別のできごとへの断定は原文にありません。引いた字をそのまま結論にすると、原文の範囲を超えます。
十翼は孔子が書いたのですか。
二つの層に分けて答えます。古書には孔子と伝の各篇を結びつける記述があり、百科事典の項目が伝える現代の研究は意見が分かれています。二種類の資料は別に記し、引用では出典もそれぞれ書きます。
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