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AS-009 / 西洋占星術

逆行は方向を読む

コンテンツ版 · · 資料・出典

逆行は方向を読む

逆行のRは何が逆向きなのかを示す記号です。自作の位置と速度の表、0度をまたぐ反例、本命とトランジットの区別から、解釈の前提を確かめます。

要点を先に約5分で読めます

Rは指定した座標での変化方向です。黄経は位置、黄経速度はその場所をどう通るかを示します。二つを分けると逆行・留・零度境界の見かけの誤差を見分けられます。

  • 地心黄経の変化率が負なら逆行です。太陽の周りの公転が突然反転する意味ではありません。
  • 同じ100.15°の二標本でも速度は正と負に分かれ、位置だけでは方向を決められません。
  • 360°の折り返しと丸めを確かめ、速度を出生時か観測時かの正しい層に結び付けます。
Rの前に速度の符号を読む

先に読む

出生図の四つの部品:天体・サイン・ハウス・アスペクトを読む ↗

なぜ見かけの方向が変わるのか

観察している地球自身も動いているため、天体の背景に対する方向には相対運動が現れます。天文学教材OpenStaxの第二章第四節は、逆行を日心モデルで説明する経緯を紹介しています。惑星が太陽の周りを回る方向を突然反転させた、という説明ではありません。

「見かけ」は虚偽という意味ではなく、観測する場所と座標を含む関係を指します。正確に計算できる現象であることと、それが人生の出来事を起こすという主張は別です。天文学的な説明が、そのまま占星術の象徴解釈を証明するわけではありません。

黄経減少黄経増加0°/day逆行仮の留順行速度例の単位は度/日。符号は地心黄経の変化を示す
-0.20.2123

0°/day · 0

黄経減少 ↔ 黄経増加

  1. 逆行 · -0.1
  2. 仮の留 · 0
  3. 順行 · 0.1

速度例の単位は度/日。符号は地心黄経の変化を示す

速度例が零のどちら側かで黄経の変化方向を区別します。

同じ角度を二度通る例

下の図では五つの時刻(T 0〜T 4)を一日おきに設定しています。黄経はT 0から順に100.00、100.15、100.20、100.15、100.00度です。速度は順に+0.20、+0.10、0、−0.10、−0.20度/日とし、各時刻の間は速度が直線的に変わると仮定します。これは特定の天体や日付を計算した星暦ではありません。

仮の黄経は100度から100.20度まで増え、その後100度へ戻ります。中点で速度ゼロ、前側で正、後側で負です。元の図を開いて拡大する

BaZiFlowオリジナル図解。位置と速度は説明用に設定した値で、実際の星暦ではありません。

最初の一日は平均速度が(0.20+0.10)/2=0.15度/日なので、位置が0.15度増えます。次の一日は0.05度増え、その後は0.05度、0.15度と減ります。位置の表と速度の表が対応するように作った練習です。実際の天体の速度が常にこの仮定に従うわけではありません。

100.15度は増える途中にも減る途中にも現れます。一つの位置だけでは方向が分からない、という点が重要です。参照資料のスイス・エフェメリスでは、速度フラグ(SEFLG_SPEED)を指定すると、返り値に黄経とその速度が別々に入ります。速度の単位は度/日であり、位置の度数と取り違えないようにします。

この練習の位置100.20°は系列内の最大値ですが、角度が大きいほど逆行が強いという尺度ではありません。T 2の前後を比べると、速度の符号が正から負へ変わり、増加から減少への転換を確認できます。逆に、同じ場所を再訪したというだけでは、間にどの時刻で留があったかまでは求められません。対象と時間間隔を固定して差を読むことが必要です。

停滞と丸めを見分けます

表示や条件 そこから言える範囲 追加で確かめること
図の中点で速度0 仮定した黄経変化率がゼロ 実天体の停止ではない
実画面で0.00 表示精度内で小さい値 丸める前の符号と近隣時刻
100.15度のみ その位置にある 速度または前後の系列

黄経速度のゼロは、空間内の運動がすべて止まったという意味ではありません。実際の数値が小さな正や負であるのに、画面上で0.00と表示される場合もあります。厳密な留の時刻を調べるには、十分な精度と近隣の変化を確認します。

さらに、円周の継ぎ目にも注意します。359.9度から0.1度へ進んだ場合、単純な引き算は−359.8度ですが、短い区間として連続させると+0.2度です。負の数を見ただけで逆行とするのは誤りです。円周上の角距離でも、この種の折り返し処理を扱います。

単純な差0.1° − 359.9°−359.8°短い区間を連続化0.1° + 360°360.1°− 359.9°+0.2°

単純な差

0.1° − 359.9°
−359.8°

短い区間を連続化

0.1° + 360°
360.1° − 359.9°
+0.2°
零度を越える短い順方向の例では、次周へつないでから符号付き変化量を求めます。

Rだけを書き写さないようにします

逆行をノートへ残すときは、天体名、時刻、図の種類、座標も一緒に書きます。出生時のRと今日のRは別の記録です。後で順行へ戻っても出生時の状態は書き換わりません。「この人が逆行している」という書き方では、誰の何の時点か分からなくなります。

よく使われる地心黄経の図では、黄経の変化率が負なら逆行、正なら順行と読みます。日心など別の設定へ変えた場合、同じ比較をそのまま続けてはいけません。まず何を測っているかを確認することが、解釈より先に必要です。

出生時時刻は固定当時の速度を保持観測時時刻が変わる速度を再確認

出生時

  • 時刻は固定
  • 当時の速度を保持

観測時

  • 時刻が変わる
  • 速度を再確認
同じ天体でも二つの時間層を別保存し、後の反転で出生時を変更しません。

個人の説明には別の根拠が要ります

逆行を見直しや内面化などに結び付ける著者もいますが、速度の負号からそれらの性格や経験を直接読み取ることはできません。同じ逆行期間は多くの人に共通するので、その条件だけでは一人に固有の説明になりません。機器の不調や会話のすれ違いを自動的に逆行のせいとすることも避けます。

生活を記録するなら、問題があった日だけでなく通常どおり進んだ日も残します。後から都合のよい出来事だけ選ぶと比較になりません。出生図との具体的な関係を調べる場合にも、天体、時刻、アスペクトなどを明示し、共通の天象と個別の証拠を分けます。トランジットと出生図では、その続きの読み方を扱います。

  1. 測定項目を確認

    天体、地心黄経、速度単位、観測時刻を記録します。

  2. 短い区間を再確認

    連続位置と速度を照合し、零度境界と丸めを処理します。

  3. 解釈の根拠を分ける

    伝統的象徴、実際の観察、計算事実を区別します。

読んだあとの疑問

表示速度0.00で厳密な留と分かりますか?

小さな正値も負値も0.00に丸められる場合があります。十分な精度と近隣時刻を調べます。黄経速度が本当にゼロでも、空間内の運動全てが停止した意味ではありません。

359.9°から0.1°へ進むと逆行ではないのですか?

短い順方向の区間なら、0.1°を次周の360.1°としてつなぎ、差は+0.2°になります。単純な差の−359.8°は座標の継ぎ目による値で、方向反転とは限りません。

今日順行に戻れば出生時の逆行も消えますか?

消えません。出生時の記録はその瞬間の状態を固定し、今日の記録は別時刻を扱います。天体・座標・時間層を明示すれば、二つの異なる状態を正確に保存できます。

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資料・出典

  1. Astronomy 2e, 2.4: The Birth of Modern Astronomy ↗
  2. Swiss Ephemeris Programmer’s Manual, 3.4: Position and Speed ↗

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アスペクトの角距離とオーブ:二つの位置から一本の線を計算する ↗

トランジットの表示日と、正確に重なる時刻は別です ↗

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