蹇卦:往けば蹇、来る先はそれぞれ
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蹇は六十四卦の第三十九卦で、上が坎、下が艮、山の上に水があります。彖伝の「険を見て止まれる」、大象の「身にかえる」、そして四つの爻辞で「往けば蹇」のあとに続く、それぞれ違う「来る」から、難の書かれ方を読みます。
要点を先に約6分で読めます
蹇の卦では、「往けば蹇」が四度出てきて、そのあとに続く語は毎回変わります。来れば誉れ、来れば戻る、来ればつながる、来れば大きい。原文はこの「往く」と「来る」の組で、同じ種類の難がそれぞれの位置で見つける出口を書きます。
- 蹇は坎(水)の下に艮(山)を置いた卦。説卦伝で艮は「止まる」、坎は「陥る」。彖伝は「険が前にあり、険を見て止まれる」と読む。
- 卦辞の「西南によし、東北によくない」を、彖伝は「往けば中を得る」「その道は窮まる」と説明する。大象の「身にかえる」と九三の「来れば戻る」は、「反」の字を共有する。
- 六つの爻辞のうち四つが「往けば蹇」で、来る先は誉れ・戻る・つながる・大きい。六二の「蹇蹇」と九五の「大蹇」は、「往く」のない、強められた蹇。

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山の上に水:足元は止まり、前は険
蹇は、足元に艮(山)、その上に坎(水)を重ねた形です。説卦伝は艮に「止」、坎に「陥」という一語を当てています。爻は下から順に、初・二が陰、三が陽、四が陰、五が陽、上が陰。陽爻は三と五の二本だけです。
蹇と綜卦の解:上下逆にすると、蹇の上卦の坎は解の下卦に移り、蹇の下卦の艮は解の上卦の震になります。
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三つの語:蹇・往来・西南東北
- 蹇
- 序卦伝は「蹇とは難である」と言う。字面は、歩くのが難しいこと。卦名は第五十三卦の漸と中国語のピンインが近い(jiǎn / jiàn、声調が違う)ので、原字で見分ける。
- 往く・来る
- 爻辞に何度も現れる一対の動詞。伝統的には、「往く」は前へ、外へ向かうこと、「来る」は振り返って内へ戻ることと読まれる。
- 西南・東北
- 卦辞の二つの方角。説卦伝は艮を東北の卦と明言していて、艮は蹇の下卦にあたる。
卦辞と彖伝:険が前にあり、見て止まる
蹇の卦辞は「西南によし、東北によくない。大人に会うのによい。正しさを守って吉」。彖伝は初めに卦名を定義し、そのあとで句ごとに説明を加えます。
蹇とは難である。険が前にある。険を見て止まれるのは、知というものだ。
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「険が前にある」は上の坎、「険を見て止まれる」は下の艮を指します。足元では止まり、前方は陥る。彖伝はこれを「知」と呼び、伝統的には「智」と読みます。険を見て、そこで止まれること。
方角の二句は一対です。「西南によし」の説明は「往けば中を得る」、「東北によくない」の説明は「その道は窮まる」。卦辞の説明の最後は「位が正しく、正しさを守って吉、それで邦を正す」で、彖伝はその後「蹇の時と用は大きい」と結ばれます。形に当てて数えてみましょう。位を外れているのは初六(陽の位にある陰)の一本だけで、残る五本は正しい位に座っています。彖伝と六四の小象にある「位に当たる」とも合います。
大象:「身にかえる」、九三の「来れば戻る」と同じ字
蹇の大象は次のとおりです。
山の上に水がある、これが蹇。君子はこれにならい、わが身にかえって徳を修める。
「山の上に水がある」は、卦の姿を見たままに言った句です。君子がそこから引き出す行いは二つ、わが身にかえることと、徳を修めること。
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この「反」の字は爻辞にも出てきます。九三は「往けば蹇、来れば戻る」で、小象は「内の者が喜ぶ」と評します。上六の小象にも「志は内にある」とあります。大象の「身にかえる」、九三の「来れば戻る」、小象の「内」。三つとも、内側を指しています。
六本の爻:往けば蹇、来る先はそれぞれ
蹇の六つの爻辞のうち、四つが「往けば蹇」で始まります。どの爻でも、そのあとに続く「来る」の先は、違う語になっています。
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初六は「往けば蹇、来れば誉れ」。前へ行けば阻まれ、戻れば誉れを得る、小象は「待つのがよい」と言います。九三の「往けば蹇、来れば戻る」には、小象が「内の者がこれを喜ぶ」と評します。六四の「往けば蹇、来ればつながる」には、小象が「位が正しく、しっかりしている」。「つながる」は伝統的には人とつながると読まれますが、難が続くと読む人もいて、説は分かれます。上六の「往けば蹇、来れば大」は吉で、「大人に会うのによい」、小象は「志は内にある」と言い、さらに「尊い人に従う」とも言います。
六二と九五には「往く」がありません。六二は「王の臣は蹇に蹇」と、字を重ねて強め、その理由を「自分のためではない」と言います。九五の「大蹇、友が来る」は、難が大きくなり、友が来ます。小象は「中にあるので節度に合う」。この二つは、ちょうど第二位と第五位です。一つは王の臣、一つは五位にある人で、それぞれの立場でこの大難に立っています。
睽・解・未済:蹇の隣の卦
蹇を上下逆にすると解になるので、蹇の綜卦は解です(上の図)。蹇の上卦の坎は解の下卦へ下り、蹇の下卦の艮は解の上卦の震に変わります。彖伝の言い方もそれに伴って変わり、蹇は「険が前にある」、解は「険にいて動く」です。
六本すべての陰陽を逆にした形が睽で、蹇の錯卦にあたります。真ん中の四本を組み直すと、第二〜第四の爻(陰・陽・陰)が坎、第三〜第五の爻(陽・陰・陽)が離になり、下坎・上離の未済が互卦です。
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蹇の前にあるのは睽で、序卦伝は「背き合えば困難が起こる」と理由を付けます。後ろにあるのは解で、困難は果てしなく続くものではないから、と述べます。
読んだあとの疑問
蹇卦の「蹇」と漸卦の「漸」は、音が似ていますか。
中国語のピンインは声調だけが違い(jiǎn / jiàn)、字も卦も別です。蹇は第三十九卦で、歩くのが難しいという意味。漸は第五十三卦で、少しずつ進むという意味です。上卦は違い(坎と巽)、下卦はどちらも艮で、原文はそれぞれ別のことを言うので、原字で見分けます。
「西南によし、東北によくない」は、実際の方角のことですか。
字面は方角ですが、彖伝は二つの状況として読み、西南は「往けば中を得る」、東北は「その道は窮まる」と言います。説卦伝は艮を東北の卦とも言い、艮は蹇の下卦です。解の卦辞も「西南によし」で始まります。
「来ればつながる」の「つながる」とは何ですか。
伝統的には人とつながると読まれますが、難が続くと読む人もいて、説は分かれます。小象の評は「位が正しく、しっかりしている」で、この爻を読むときは、その評に照らして見られます。
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