大有卦:天の上に火、多くを持つとき
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大有は第十四卦で、火が天の上にあり、六爻のうち第五位だけが陰爻です。彖伝は数ではなく位置で卦名を説明し、六つの爻辞は「害に関わらない」から「天から助けられる」まで進みます。
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大有は「たくさん持つ」という名ですが、彖伝が挙げる理由は、一本の陰爻が第五位に就き、上下の陽爻がみな応じていること、ただそれだけです。
- 大有は離(火)の下に乾(天)が重なる卦で、六爻のうち六五だけが陰。錯卦の比は、同じ場所に陽爻が一本だけ立つ。
- 彖伝は二段で説く。位置(柔が尊位を得る・中にある・上下が応じる)が卦名を、徳(剛健で文明)が「元亨」を説明する。
- 大象の行いは「悪をおさえ善を広める」。六つの爻辞は順に、害に触れず・載せる・捧げる・見分ける・誠と威・天の助け。

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天の上に火:五本の陽爻が一本の陰爻を支える
大有は第十四卦で、下卦が乾(天)、上卦が離(火)です。六爻のうち陰爻は第五位の一本だけで、あとの五本は陽爻。卦名は字面では「たくさん持つ」ですが、彖伝は数を数えることから始めず、まずその一本の陰爻がどこに座っているかを見ます。
大有と錯卦の比:どちらも、一本だけ違う爻が第五位にある。
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まず三つの語
- 大有
- 字面は「たくさん持つ」。彖伝がこの名の理由に挙げるのは配置で、誰がどの位置にいて、誰が誰に応じるかである。
- 柔
- 陰爻のこと。大有では第五位の六五が唯一で、ほかの五本は剛(陽爻)。
- 尊位
- 爻の位の第五位。彖伝の「柔が尊位を得る」は、六五の陰爻がその位置に就くことをいう。
説卦伝は二つの三爻卦に一字ずつ与えています。乾は「健」、離は「麗(寄りそう)」で、離は「明るさ」でもあると言います。下に剛健、上に光明。重ねたものが、彖伝の後半の「剛健で文明的」です。
彖伝は「大有」をこう読み立てる:数でなく位置
彖伝は一文だけです。「大有は、柔らかい爻が尊い位を得て、大いに中の位にあり、上も下もこれに応じる。これを大有という。その徳は剛健で文明的、天に応じて時にかなって行われる。だから元亨(大いに通る)である。」前半が卦名の由来、後半が「元亨」の由来です。
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三つの歩みのどこにも数字は出てきません。第五位は尊い位で、六五は上卦のちょうど真ん中にもある。これが「大いに中」です。残る五本の陽爻は、上に一本、下に四本、すべてこれに応じます。こうして彖伝の中の「大有」は一つの関係になります。その位置にいる者に、あらゆる方向から応える者がいる、ということです。
卦辞は二字、大象の行いは三つ
大有の卦辞は「元亨」の二字だけです。乾の卦辞は「元亨」の後に「利貞」が続きますが、大有はここで終わります。彖伝の最後の「だから元亨」は、いま挙げた二つの徳を受けています。
火が天の上にある。これが大有。君子はこれにならい、悪をおさえて善を広め、天の美しい命に従う。
大象には決まった形があり、まず卦の象、次に君子(卦によっては先王・后・大人)の行いを言います(形は卦辞・彖伝・象伝で扱います)。ここでの行いは三つ。悪をおさえる、善を広める、天の美しい命に従う。「休命」の「休」は美しい・よいの意で、天が与えるよい使命と読むのが普通です。
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離は「明」を取り、高く掲げた火はすべてを照らします。見えてこそ、悪と善を分けられる。一方をおさえ、一方をあげる。これは象と行いをつなぐ読み方の一つで、本文が与えているのは前半と後半の二つだけです。
六つの爻辞:多くを手にして、各爻は何をしているか
六つの爻辞のどれも、数の多さを誇ってはいません。語っているのは、持っているものをどう扱うかです。それぞれの後ろに小象の一句が付きます。
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初九は一番下で、「害と交わることなく、咎ではない。難しいこととして構えれば、咎はない」。まだ害に触れていなくても、難しい状況として扱うのがよい、ということです。九二は「大きな車に荷を載せる。行くところがあり、咎はない」。小象は「荷が中に積まれていて崩れない」と言い、ふつうは、内に積まれたものが損なわれない、と読みます。九三は「公が天子に捧げ物をする。小人にはできない」。小象ははっきり「小人には害となる」。
九四は「…を誇示しない。咎はない」で、「誇示しない」にあたる字は写本によって二通りに書かれ、意味も諸説あります。小象は「はっきり見分ける」とだけ言うので、そこに寄せて読むのが安全です。六五は全卦でただ一つの陰爻で、「その誠は交わり通じ、威厳がある。吉」。小象は二言あり、「誠が志を引き出す」「威厳が吉であるのは、平易で構えがないからである」。上九は「天から助けられる。吉で、何事も有利である」。小象は卦名から始まります。「大有の上、吉。天から助けられるからである」。
同人・比・夬:大有の隣の卦と、その次の謙
大有を上下逆さにすると同人になり、唯一の陰爻は第五位から第二位へ落ちます。このような逆さの関係を綜卦といいます。
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大有の錯卦は比です。すべての爻の陰陽が入れ替わり、五本の陽爻は五本の陰爻に、一本の陰爻は一本の陽爻になって、位置は同じ第五位のまま。互卦は夬で、第二〜第四爻を下卦、第三〜第五爻を上卦にすると、下が乾、上が兌になります。三つの隣は、それぞれ違うやり方で大有とつながっています。上下を逆にする、すべての爻を入れ替える、中の四爻を取る、の三通りです。
序卦伝は、大有を同人の後に置く理由をこう言います。
人と同じくする者のところへは、物が必ず集まる。だから大有が続く。
人と同じ立場に立つ者のもとに物は集まる。それで次にこの卦が来ます。その先で序卦伝は、たくさん持つ者は満ちてはならないと言い、次の卦を謙とします。大有の六つの爻辞が慎重さを帯びているのと、口ぶりが合っています。
読んだあとの疑問
大有は最も豊かでうまくいく卦ですか。
本文はそう言っていません。初九は難しいこととして構えることを求め、九三は「小人にはできない」と言い、序卦伝も「大きなものを持つ者は満ちてはならない」と続けます。量より、多くを持つときの持ち方が問われています。
陰爻が一本しかないのに、なぜ「大いに持つ」と言えるのですか。
彖伝はまさにその配置から説明します。陰爻が第五位にあり、上卦の真ん中にもあって、五本の陽爻が応じる。卦名の根拠は爻の数ではなく、この並びです。
大有と同人はどんな関係ですか。
互いの綜卦です。一方を上下逆にするともう一方になり、唯一の陰爻が第五位から第二位へ移ります。序卦伝も同人を大有の前に置いています。
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