知識ライブラリー
HEX-008 / 共通の方法

比卦:誰に、どこから寄り添うか

コンテンツ版 · · 資料・出典

比卦:陰五本に陽一本、向きのある寄り添い

比は下が坤、上が坎で、六本の爻のうち陽爻は九五の一本だけ。卦辞「原筮、元永貞」、大象「地の上に水がある」、六つの爻辞が描く六通りの寄り添い方を、原文の層に沿って読みます。

要点を先に約6分で読めます

比卦の形がそのまま主題です。陰爻五本と、第五位の陽爻一本。六つの爻辞は、内なる誠から、ふさわしくない人に寄ること、そして首のない寄り添いまで、それぞれ別の寄り添い方を書きます。

  • 比は坤(地)の上に坎(水)を重ね、陽爻は第五爻だけ。彖伝は「比は助けること、下の者が従うこと」と解き、その一本の陽爻を「剛で中を得ている」と指す。
  • 卦辞には時間の順序がある。まず占いを重ね、「落ち着かない者がようやく来る」、そして最後に来た者には凶。
  • 六つの爻辞は、誠・内から・ふさわしくない人・外から・あらわに・首なし。小象は六三で嘆き、上六で終わるところのなさを言う。
18秒で、陰爻五本と陽爻一本を見て、寄り添いの四つの位置をたどり、比を読む三つの問いを持ち帰ります。

先に読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

陰五本に陽一本:比の形

比の下卦は坤(地)、上卦は坎(水)で、「坤下坎上」と読みます。下から見ると、初・二・三・四は切れた陰爻、第五は切れない陽爻、いちばん上はまた陰爻です。陽爻は九五の一本だけで、残りの五本はすべて陰爻。説卦伝は坤に「順(従順)」、坎に「陥(落ち込む)」の字を与えています。

比と錯卦の大有を並べた図:左は切れた陰爻五本のなかで、第五爻だけが切れない陽爻(下は坤、上は坎)。右は陽爻五本のなかで、第五爻だけが切れた陰爻。線は下から数える。元の図を開いて拡大する

比と錯卦の大有:陽が第五位にある形と、陰が第五位にある形は、互いの錯卦です。

上卦:坎水・陽爻は真ん中下卦:坤地・陰爻三本
図を拡大 · 横にスクロールして読む
上卦:坎水・陽爻は真ん中下卦:坤地・陰爻三本
比は二層:上に坎(水)、下に坤(地)。陽爻は第五爻だけ。

まず三つの語

比
卦名。彖伝は「助けること」と解き、「下の者が従う」と添える。下の側が上に寄り、支えるという向き。
九五
第五爻が陽爻なので九五と呼ぶ。上卦の真ん中にあり、卦のなかで唯一の陽爻。彖伝も小象も、この爻をめぐって語る。
剛中
彖伝が九五を指して言う語。剛は陽爻、中は上卦または下卦の真ん中の爻。比では、この二つの条件が同じ一本に重なる。

卦辞:吉、原筮、そして「後夫は凶」

比の卦辞は「吉」の一字で始まり、そのあとに条件が続きます。「吉。もう一度占い、根本・長続き・正しさがそろえば、咎めはない。落ち着かない者がようやく来る。遅れてきた者には凶」。彖伝は一句ずつ応じ、最初は卦名の説明です。

比は吉である。比とは助けること、下の者が従うことである。

彖伝・比(訳)
卦辞字面彖伝の応答吉結果が先に来る比は吉である原筮、元永貞第一・長続き・正しさ咎めなし、剛中ゆえ落ち着かない者ようやく来る上下が応じ合う後夫は凶遅れた者には凶その道は行き詰まる
図を拡大 · 横にスクロールして読む
卦辞字面彖伝の応答吉結果が先に来る比は吉である原筮、元永貞第一・長続き・正しさ咎めなし、剛中ゆえ落ち着かない者ようやく来る上下が応じ合う後夫は凶遅れた者には凶その道は行き詰まる
卦辞の四つの句と彖伝の応答:吉、剛中ゆえの咎めなし、上下が応じ合う落ち着かない者の来訪、道が行き詰まる後夫の凶。

「原筮」の二字には、よくある読み方が二つあります。「もう一度占う」と読む説と、「根本にさかのぼって占う」と読む説です。彖伝はこの二字を説明せず、一つのことにだけ答えます。なぜ咎めがないのか。「剛で中を得ているから」、つまり陽でありかつ真ん中にある九五があるからです。「落ち着かない者がようやく来る」は「上下が応じ合う」、後夫の凶は「その道が行き詰まる」と言います。

大象:地の上に水がある、主語は「先王」

比の大象は「地の上に水がある。これが比。先王はこれにならって多くの国を建て、諸侯と親しんだ」。前半は卦の象で、水(坎)が地(坤)の上にあります。後半は行いで、主語は乾の大象の「君子」ではなく「先王」。することは二つ、多くの封国を建てることと、諸侯と親しむことです。

象坎(水)が上卦坤(地)が下卦先王は多くの国を建て諸侯と親しむ
図を拡大 · 横にスクロールして読む
象坎(水)が上卦坤(地)が下卦先王は多くの国を建て諸侯と親しむ
比の大象:まず地の上の水、次に先王の二つの行い、多くの国を建てることと諸侯と親しむこと。

九五の爻辞にも「王」が出てきます(「王は三方から追う」)。大象の「先王」も同じ視点で、人々がどう集まり、どう置かれるかを中心の側から見ています。

六つの爻:寄り添いの六つの向き

比の爻辞は、どれも寄り添うことを書き、一つずつ角度を変えます。何によって寄るか、どこから寄るか、誰に寄るか、首と終わりがあるか。

初六誠あり六二内から六三人にあらず六四外から九五あらわに上六首なし
図を拡大 · 横にスクロールして読む
初六誠あり六二内から六三人にあらず六四外から九五あらわに上六首なし
六つの爻辞の六つの角度:誠あり、内から、人にあらず、外から、あらわに、首なし。

初六は「誠をもって寄り添えば、咎めはない。誠が甕いっぱいになれば、最後に思いがけず別の者も来て、吉」。まず誠が先に書かれます。小象は「別の者が来て吉」と評します。

六二は「内から寄り添う。正しさを守れば吉」で、小象は「自分を見失わない」。六四は「外に寄り添う。正しさを守れば吉」で、小象は「外の賢者に寄り添うのは、上に従うため」。二は内卦、四は外卦で、一方は内へ、一方は外へ向かいます。

二と四のあいだの六三は、原文でわずか四字。寄り添う相手がふさわしい人ではない、というのです。小象は六つの評のうち唯一の感嘆文を使います。「痛ましいではないか」。

上六は「寄り添うのに首がない。凶」。小象は「終わるところがない」。経文で「凶」が出るのは卦辞の「遅れてきた者には凶」とここの二か所だけで、一方の端は最後に来た者、もう一方の端は首のない寄り添いです。

比の隣の卦:大有・師・剥

比の錯卦は大有です。どの爻も反対の種類に変わり、陰五本に陽一本だったものが陽五本に陰一本になって、少数の爻は第五位に立ったまま、陽から陰に変わります。綜卦は師で、図を逆さにすると陽爻が第二位に下ります。互卦は剥で、中の四本を上下の卦に分け直すと、陽爻はいちばん上に移ります。

綜卦:師123456互卦:剥123456
図を拡大 · 横にスクロールして読む
綜卦:師123456互卦:剥123456
比の隣の卦を並べる:綜卦の師は陽爻が第二位、互卦の剥は陽爻がいちばん上にある。

序卦伝は比を師のあとに置きます。

人が大勢集まれば、必ず寄り添う先ができる。だから比が続く。比とは寄り添うことである。

序卦伝(訳)

師が何かは序卦伝が自分で言っています。「師とは、大勢のことである」。人が多くなれば、どこに寄るかが問題になるので、比が師のあとに来ます。雑卦伝はこの二つを四字で結びます。「比は楽しみ、師は憂い」。

読んだあとの疑問

比の「比」は、ただ仲が近いという意味ですか。

原文の説明は「助ける」と「下の者が従う」です。下の陰爻が上の陽爻に寄り、支えるという向きがあります。まずその向きをつかんでから、各爻辞がどんな寄り添い方を書くかを見ます。

卦辞の「後夫」とは誰のことですか。

卦辞は「遅れてきた者には凶」とだけ言い、彖伝が「その道は行き詰まる」と添えます。誰かの名は挙げていません。直前の句は落ち着かない者が次々に着く様子で、後夫はその中で遅れた一人です。

九五の爻辞に、なぜ急に狩りが出てくるのですか。

「あらわに寄り添う」のあと、王は三方から獲物を追い、前の獲物を逃がす、と続きます。小象はこれを「逆らうものは見逃し、従うものを取る」と解きます。狩りの場面は、堂々と寄り添うという抽象的なことを一枚の絵にしたものです。

この記事は役に立ちましたか?

資料・出典

  1. 周易·比(Wikisource 中文版:卦辞、爻辞、彖、象) ↗
  2. 序卦传(Wikisource 中文版) ↗
  3. 杂卦传(Wikisource 中文版) ↗

続けて読む

師卦:一本の陽爻が五本の陰爻を率いる、輿尸・長子帥師・大君の命 ↗

小畜卦:「厚い雲に雨なし」から「すでに雨ふる」まで ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗