蒙卦:一つの蒙、五つの向き合い方
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蒙は六十四卦の四番目で、下が坎、上が艮です。卦辞は問いと答えの決まりを立て、大象は「果行育徳」を言い、六つの爻辞のうち五つが「蒙」の字を、啓く・包む・困る・童・撃つの五通りで扱います。
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蒙卦の卦辞は問いと答えの決まりを立てます。尋ねる側が先に口を開き、最初の問いには答え、重ねて問えば答えない。六つの爻辞は、同じ一つの「蒙」の字の前に五つの異なる字を置きます。
- 蒙は坎(水)の上に艮(山)を重ね、陽爻は九二と上九だけ。『説卦伝』は「坎は陥」「艮は止」と言い、『彖伝』は「山の下に険があり、険があって止まる」とまとめる。
- 卦辞が定めるのは問い方の作法。問う側から求め、一度目には答えがあり、重ねれば答えはない。『彖伝』は蒙を、正しさを養うことに結びつける。
- 六つの爻辞のうち五つが「蒙」の扱い方を言う。啓く・包む・困る・童・撃つ。六三だけは「蒙」の字がなく、「この女を娶ってはならない」と言う。

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坎の上に艮:山の下に険があり、止まる
蒙は四番目の卦です。下卦が坎(水)、上卦が艮(山)。爻を下から数えると陰・陽・陰・陰・陰・陽で、陽爻は九二と上九の二本です。『説卦伝』は坎に「陥」、艮に「止」の一字を当て、『彖伝』はこれをつないで言います。「山の下に険があり、険があって止まる。これが蒙である。」険があり、その前で止まる、それが蒙です。
蒙と錯卦の革:錯卦は六本すべての陰陽を入れ替えたものです。
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一つ前の屯は、震(動)が下、坎(険)が上で、「険のなかで動く」でした。蒙は動を止に替え、艮が上、坎が下で、険の前に止まります。どちらにも坎があり、一方は険のなかで動き、他方は険の前で止まるので、二つの卦は並べて読めます。
『序卦伝』は蒙をこう説明します。「蒙とは蒙(覆われて暗いこと)、物の幼い状態である」。蒙の字はもともと覆う意味があり、幼くて暗いことも表します。この二つの意味が、本文全体で生きています。
卦辞:私が童蒙を求めるのではなく、童蒙が私を求める
蒙の卦辞は、問いと答えの決まりを述べています。
通じる。私が幼く暗い者を求めるのではなく、幼く暗い者が私を求める。はじめて占えば告げる。二度三度と重ねるのは煩わせることで、煩わせれば告げない。貞しくあるのがよい。
知る者が知らない者を探しに行くのではなく、知らない者が尋ねに来る。ここでいう「占う」は、蓍の茎を使って占問すること。最初の占問には告げ、重ねて問うのは煩わせることで、煩わせれば告げません。
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『彖伝』は一句ごとに答えています。「志が応じる」とは、尋ねる者と尋ねられる者が心を合わせること。「剛が中にあるから」の剛中は、剛の爻が中の位置にあること。蒙の二本の陽爻のうち、下卦の真ん中にあるのは九二です。「蒙を煩わす」とは、煩わされるのが蒙そのものだということ。最後に『彖伝』は「蒙によって正しさを養う、それが聖人の功」と結びます。
「占う」は占問ですから、これらの文は伝統的に二通りに読まれてきました。教えと学びの決まりとして、あるいは占いに問う決まりとして。本文はどちらにも通じ、上の説明はすべて字面と『彖伝』の言葉から来ています。
山の下の泉:大象
蒙の「象」は「山の下から泉が湧き出るのが蒙。君子はこれにならい、行いを果断にし、徳を育てる」です。山が上、その麓から水が湧き出ており、上卦の艮と下卦の坎に対応します。君子が得るのは「果行育徳」。果は果断、育は育てること。行いは果断に、徳は育てる、という意味です。
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並べると、屯の「経綸」は絡んだ糸を整えることで、蒙の「果行育徳」は半分が行い、半分が育てることです。「養う」「育てる」の言葉は三か所に出てきます。『彖伝』の「蒙によって正しさを養う」、大象の「徳を育てる」、そして『序卦伝』の、幼いものは「養わずにはおけない」という文です。
一つの「蒙」、五つの向き合い方:啓く・包む・困る・童・撃つ
六つの爻辞のうち五つに「蒙」の字があり、その前にそれぞれ違う字が付きます。啓く、包む、困る、童、撃つ。六三だけにはこの字がありません。
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初六は「蒙を啓く。人に刑を科すのがよい。かせを外すのがよい。そのまま進めば悔いがある」。啓くとは覆いを取ること。「刑人」「桎梏」は刑罰の言葉で、「説」は「脱」に通じ、桎梏を外すことです。小象は「法を正すこと」と評します。
九二は「蒙を包みこむ、吉。妻を迎える、吉。子が家をよく治める」。包むとは抱えて包みこむこと、妻を迎えるとは家に入れること、家を治めるとは一家を支えられること。小象は「剛と柔が接する」と言います。
六三は「この女を娶ってはならない。金のある男を見て、自分を保てない。利になることはない」。「取」は「娶」に通じます。「金夫」は金持ちの男、「自分を保てない」はそのまま自分を律せないことと一般に読まれます。小象は「行いが道理に沿わない」とだけ言います。
六四は「蒙に困り果てる、悔いがある」。小象は「ひとり実から遠い」と言います。「実」と「虚」は対で、陽爻は実の線、陰爻は切れた線です。位置の数え方は爻位の記事で確かめられます。蒙の陽爻は二番目と最上にあり、四本の陰爻のうち六四だけが上下とも陰爻で、ほかの陰爻はどれも陽爻に接しています。
六五は「幼い者の蒙、吉」。小象は「従順で、へりくだっているから」と評します。上九は「蒙を撃つ。賊となるのはよくない。賊を防ぐのがよい」。小象は「上も下も従い合う」と言います。
屯・蒙・需:前後につながる三つの卦
『序卦伝』は「生まれたものは必ず蒙(幼く暗い)になる」と言い、産声を上げたばかりのものは暗くて幼いとして、屯の次に蒙を置きます。蒙のあとはこうです。「幼いものは養わずにはおけない。だから需が来る。需とは飲食の道である。」幼いものは養わなければならないので、次は飲食を扱う需になります。(十翼の各篇の役割は十翼の読み方にあります。)
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蒙は屯の綜卦、つまり屯を上下逆さにした形です。蒙の上九は屯の初九が裏返ったもの、蒙の九二は屯の九五が裏返ったものにあたります。だから蒙の二本だけの陽爻は、屯の二本の陽爻の鏡像です。九二は「蒙を包む」、上九は「蒙を撃つ」。一方は包み、もう一方は撃ちます。
錯卦は革、互卦は復です。錯卦は六本の陰陽をすべて入れ替えたもの、互卦は真ん中の四本を組み直したものです。
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読んだあとの疑問
「はじめて占えば告げる、重ねるのは煩わせる」は、二度目は問えないという意味ですか。
字面は、最初の占いには告げ、重ねて問えば煩わせることになり、煩わせれば告げない、ということです。『彖伝』は煩わせることを「蒙を煩わせる」と説明するだけで、どう問い直すかには触れません。問い方についての原文の一言で、使い方まではそこに書かれていません。
「童蒙」は小さな子どものことですか。
二字は幼いことと暗いことを表し、合わせてまだ知らない者を指します。『序卦伝』が「物の幼い状態」と言い、範囲は生まれたばかりのものすべてに広がります。卦辞と六五の「童蒙、吉」は、同じ二字の句を使っています。
六三の「金のある男を見て、自分を保てない」は、どういう意味ですか。
「金夫」は金持ちの男、「自分を保てない」は自分を律せなくなることと読まれるのが一般的です。小象は「行いが道理に沿わない」と一言言うだけで、それ以上は述べません。したがって、これは伝統的な読みで、本文がはっきり定めた意味ではありません。
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