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HEX-062 / 共通の方法

小過卦:過ぎると出会うの入れ替わり

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小過卦:少し越えてよい三つの小事

小過は六十四卦の第六十二卦で、上が震、下が艮、四本の陰爻が二本の陽爻を挟み、彖伝は飛ぶ鳥の象があると言います。卦辞の「下へ降りるのがよい」、大象の慎み・悲しみ・倹約、爻辞で「過」と「遇」が入れ替わる様子を読みます。

要点を先に約8分で読めます

小過の字面は「少し越える」です。原文は、越えてよい場所を三つ、向きを一つ示し、さらに爻辞のなかで「過」と「遇」の二字を入れ替えます。

  • 小過は震(雷)が上、艮(山)が下で、四本の陰爻が真ん中の二本の陽爻を挟む。彖伝はこれを「飛ぶ鳥の象」と言い、卦辞と爻辞に「飛ぶ鳥」は三回出てくる。
  • 卦辞の後半は二つの意味。小事はできるが大事はできない、鳥が声を残していくので、上はよくなく下がよい。彖伝は前者を「柔が中を得る」で、後者を「上は逆らい下は従う」で説明する。
  • 大象は越えてよい場所を三つに絞る。ふるまいの慎み、弔いの悲しみ、費えの倹約。爻辞では、九四の「過ぎずに出会う」と上六の「出会わずに通り過ぎる」が、同じ四字の入れ替えになっている。
18秒で、小過の四本の陰爻と二本の陽爻を数え、「過ぎずに出会う」と「出会わずに通り過ぎる」を並べて読み、三つの問いを持ち帰ります。

先に読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

山の上に雷:四本の陰爻が二本の陽爻を挟む

小過の上卦は震(雷)、下卦は艮(山)です。説卦伝では震が「動く」、艮が「止まる」。下が止まり、上が動く組み合わせになっています。下から数えると、陰・陰・陽・陽・陰・陰。二本の陽爻が真ん中に挟まれ、その上下に陰爻が二本ずつ並びます。

小過とその錯卦の中孚を並べる:左は小過で、真ん中に陽爻が二本、その上下に陰爻が二本ずつ、下卦は艮(山)、上卦は震(雷)。右は中孚で、真ん中に陰爻が二本、その上下に陽爻が二本ずつ、下卦は兌(沢)、上卦は巽(風)。線は下から数える。元の図を開いて拡大する

小過と錯卦の中孚:四本の陰爻が二本の陽爻を挟む形を陰陽入れ替えると、四本の陽爻が二本の陰爻を挟む中孚になります。

上卦:震陽一本が下、陰二本が上、雷、動く下卦:艮陽一本が上、陰二本が下、山、止まる
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上卦:震陽一本が下、陰二本が上、雷、動く下卦:艮陽一本が上、陰二本が下、山、止まる
小過は二層:上が震(雷)、下が艮(山)。二本の陽爻は、それぞれ別の三爻の卦に入っている。

彖伝は卦辞を説明して「飛ぶ鳥の象がある」と言います。伝統的には、真ん中の二本の陽爻を鳥の胴、両側に広がる陰爻を翼と見ます。この胴と翼の見方は後世の読みですが、「飛ぶ鳥」の語そのものは卦辞と爻辞に合わせて三回出てきます。卦辞に一回、初六に一回、上六に一回です。

読む前に押さえる三つの語

過
字面は越える、超える。この卦のなかで二通りに使われる。大象の「ふるまいでは慎みを行き過ぎる」はふだんの度合いを超えること、六二の「祖父を通り越す」はそばを通り過ぎること。
遇
字面は出会う。多くは「過」と対になって現れる。祖父を通り越して祖母に会う、過ぎずに出会う、出会わずに通り過ぎる。
上と下
卦辞は「上へ行くのはよくなく、下へ降りるのがよい」と言い、彖伝は「上は逆らい、下は従う」と説明する。

卦辞と彖伝:小事はよい、大事はだめ

小過の卦辞はこうです。

通る。正しさを守るのがよい。小さな事はできるが、大きな事はできない。飛ぶ鳥が声を残していく。上へ行くのはよくなく、下へ降りるのがよい。大いに吉。

卦辞・小過(訳)

最初の「通る。正しさを守るのがよい」は、ほかの多くの卦と同じ言い方です。そのあとが小過独自の言葉で、まず小事と大事の線引き、次に鳥が残す声、最後に向きが来ます。上は不適、下は適です。

彖伝は、最初の層を卦の形から説明します。

柔が中の位置を得ている。だから小さな事は吉である。剛が位を失って中にいない。だから大きな事はできない。

彖伝・小過(訳)

「柔が中を得る」とは、二本の陰爻がどちらも中の位置にいること。六二は下卦の真ん中、六五は上卦の真ん中です。「剛が位を失う」とは二本の陽爻のこと。九三と九四は真ん中に詰め込まれ、二と五の中の位置におらず、九四は陰の位に座っています。彖伝は「過ぎる」にも条件をつけています。正しさを守ることがよく、時とともに行く。越えてよいが、筋を通し、時機に合わせて、ということです。

小事はよい六二・六五陰が中の位置柔が中を得る彖伝の説明小事は吉小事ならよい大事はだめ九三・九四陽が詰まる位を失い中でない二・五の位でない大事は不可大きな事はだめ鳥の声声を残していく残るのは声上は不適逆らう下はよい従う
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小事はよい六二・六五陰が中の位置柔が中を得る彖伝の説明小事は吉小事ならよい大事はだめ九三・九四陽が詰まる位を失い中でない二・五の位でない大事は不可大きな事はだめ鳥の声声を残していく残るのは声上は不適逆らう下はよい従う
彖伝は卦辞の三つの文に一つずつ理由をつける。陰が中にいるから小事は吉、陽が中にいないから大事は不可、上は逆らい下は従うから下がよい。

最後の「飛ぶ鳥が声を残していく」について、卦辞は何も説明せず、彖伝も「上は逆らい、下は従う」と補うだけです。上は逆らい、下は従う。この層に残るのは、鳥が残した声です。

大象:慎み・悲しみ・倹約で少し越える

山の上に雷がある、これが小過。君子はこれにならい、ふるまいでは慎みを行き過ぎるほどにし、弔いでは悲しみを行き過ぎるほどにし、費えでは倹約を行き過ぎるほどにする。

象伝・小過(訳)

この一文の組み立ては整っています。「行き過ぎる」が三回、そのたびに前に事柄、後ろに態度が来ます。ふるまいには慎み、弔いには悲しみ、費えには倹約。慎みは身の処し方のへりくだり、悲しみは弔いの場での痛み、倹約はお金の使い方の節約です。

ふるまい・慎み人と接する身のこなし作法よりへりくだる弔い・悲しみ葬儀の場気持ち常より深く悲しむ費え・倹約出費支出常より切り詰める
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ふるまい・慎み人と接する身のこなし作法よりへりくだる弔い・悲しみ葬儀の場気持ち常より深く悲しむ費え・倹約出費支出常より切り詰める
大象の三つの「行き過ぎる」:ふるまいは慎みに、弔いは悲しみに、費えは倹約に。越えるのはどれも日常の小事。

三つには共通点があります。行き過ぎる向きが、いつも控えめなほうに偏っています。より謙虚に、より悲しく、より倹約に。より高慢に、より楽しく、より派手に、ではありません。これは卦辞の「下がよい」に重なります。三つとも個人の日常のふるまいで、大きな営みを扱うものはありません。「小事ならできる」とも合っています。

六つの爻辞:過ぎずに出会う、出会わずに過ぎる

六つの爻辞では、「過」と「遇」の二字が位置を替えながら現れます。まず原文を並べます。

爻位爻辞小象初六鳥が飛び、凶どうしようもない六二祖父を過ぎ、祖母に会う臣は越えられない九三過ぎず備える、凶凶はどれほどか九四咎なし、過ぎず出会う位がふさわしくない六五厚い雲、雨なしすでに上にある上六出会わず過ぎる、凶すでに高すぎる
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爻位爻辞小象初六鳥が飛び、凶どうしようもない六二祖父を過ぎ、祖母に会う臣は越えられない九三過ぎず備える、凶凶はどれほどか九四咎なし、過ぎず出会う位がふさわしくない六五厚い雲、雨なしすでに上にある上六出会わず過ぎる、凶すでに高すぎる
小過の六つの爻辞と小象:鳥は最下と最上の両端にいて、「過」と「遇」は間の四本で入れ替わる。

両端の初六と上六は、どちらも主語が飛ぶ鳥です。初六は「鳥が飛び、そのために凶」で、小象は「どうしようもない」。上六は「飛ぶ鳥がそれにかかる」で、小象は「すでに高すぎる」。「離」の字は、伝統的には「罹」と読み、出会う、はまることとされます。どちらも凶で、位置は一番下と一番上です。

六二の結果は咎めなしです。「祖父を通り越して祖母に会う。君主には届かず、その臣下に会う。咎めはない。」二組とも、先のほう(祖父、君主)は通り越すか届かず、あとのほう(祖母、臣下)が実際に出会う相手です。小象は後半だけを説明して、「臣は越えてはならない」とします。

九三の「過ぎずに備える」と九四の「過ぎずに出会う」は、どちらも「過ぎず」で始まります。この二本の陽爻が、彖伝のいう「大事はできない」にあたります。九三は凶。九四は「咎めはない」ものの、すぐ後に「進めば危うい、必ず戒めよ。長く続けてはならない」が来て、小象は「位がふさわしくない」「最後まで続けることはできない」と評します。

六五の「厚い雲が出ても雨は降らない。我が西の郊外から」は、小畜の卦辞の後半と同じ文です。続いて「公が矢に紐をつけて射て、穴にいるものを取る」。この卦で「取る」が出てくるのはここだけで、取ったものは穴の中、つまり低いところにいます。小象は短く「すでに上にある」。

「過」と「遇」の組み合わせを並べると、一つずつ確かめられる決まりが見えます。実際に出会う爻、六二と九四は、どちらも「咎めはない」の語がついています。出会わない爻、九三と上六(上六は「出会わず」と明記)は、どちらも凶で、上六にはさらに「これを災いという」がつきます。

六二過ぎ、出会う:咎なし九四過ぎず出会う:咎なし上六出会わず過ぎる:凶
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六二過ぎ、出会う:咎なし九四過ぎず出会う:咎なし上六出会わず過ぎる:凶
三つの爻での「過」と「遇」の組み合わせ:六二と九四は出会いがあり咎なし、上六は出会わずに過ぎて凶。

九四の「過ぎずに出会う」と上六の「出会わずに過ぎる」は、同じ四字のうち「過」と「遇」の二字だけを入れ替えたものです。それなのに、一方は咎めなし、もう一方は災いです。

隣の卦と序卦:中孚のあと、既済の前

小過は中孚の錯卦です。中孚は四本の陽爻が二本の陰爻を挟む形で、六本の線の陰陽を残らず反転させると、四本の陰爻が二本の陽爻を挟む小過になります(上の図)。序卦伝は二つを前後に並べ、小過については一文だけ置いています。

信を持つ者は、必ずそれを行う。だから小過が続く。

序卦伝(訳)

伝統的な読みでは、こうつなげます。心に信があれば行いに移す。行えば、ふだんの度合いを少し越えることもある。そこで小過が続く。

上下をひっくり返しても同じ形になるので、小過の綜卦は小過自身です。六十四卦のうち、このように上下対称で逆に読んでも同じ卦は八つだけで、一般的な話は陰爻と陽爻にあります。互卦は大過です。二から五の爻を取り、真ん中の三と四の爻を上下の卦で二回ずつ使うと、陽爻が真ん中に集まった大過になります。

互卦:大過123456次の卦:既済123456
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互卦:大過123456次の卦:既済123456
小過の互卦の大過と、その次の卦の既済を並べる。

読んだあとの疑問

小過は「小さな過ち」という意味ですか。

いいえ。彖伝は卦名を「小さなものが越えて、通る」と説明します。ここでの「過」は常の度合いを越えることで、大象の三つの「過ぎる」も、度を越えた過ちではなく節度のある行き過ぎです。

「飛ぶ鳥が声を残していく」とはどういう意味ですか。

字面では、飛んでいった鳥のあとに声だけが残るという意味です。卦辞は続けて上は不適、下は適と言い、彖伝は上は逆らい下は従うと補います。うまく進むことと進まないことの喩えとして読むのが一般的です。

小過と中孚はどんな関係ですか。

互いに錯卦で、中孚の六本の陰陽をすべて入れ替えると小過になります。序卦伝も二つを前後に並べ、中孚が先、小過があとです。

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資料・出典

  1. 周易·小過(Wikisource 中文版:卦辞、爻辞、彖、象) ↗
  2. 说卦传(Wikisource 中文版):震动、艮止 ↗
  3. 序卦传(Wikisource 中文版) ↗

続けて読む

中孚卦:外は実で中は空、「鳴く鶴」から「天に昇る声」まで ↗

既済卦:水が火の上、六爻がすべて位に収まったあと ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗