兌卦:悦びはどこから来るか
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兌は六十四卦の第五十八卦で、上下とも兌(沢)。彖伝の「剛が中にあり柔が外にある」、大象の「友と講じ習う」、そして六つの爻辞が三爻の卦の中の位置で三組になる様子から、悦びの来し方を読みます。
要点を先に約6分で読めます
兌は「悦ぶ」ことで、それを説明する「説」の字は「話す」にも通じます。同じ三爻の卦が二つ重なるので、六つの爻は二つずつ対になります。一番下の二つは和らぎと相談、真ん中の二つは信、一番上の二つは「来る」と「引く」です。
- 兌は兌(沢)を二つ重ねた卦。どちらの兌も、陽爻二本の上に陰爻一本。説卦伝は「兌は悦ぶこと」と言い、象には口も含まれる。
- 彖伝は「剛が中にあり、柔が外にある」と言う。九二・九五が中の陽爻、六三・上六が外の陰爻。大象は「友と講じ習う」で結ばれる。
- 三爻の卦の中の位置で見ると、三組になる。初九と九四は和らぎと相談、九二と九五は信、六三と上六は「来る」と「引く」。小象は位置に二度ふれる。

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沢の上に沢:陰爻は各三爻の卦の一番上
兌は、兌(沢)を二つ重ねた卦です。どちらの兌も、陽爻二本の上に陰爻が一本。下から陽・陽・陰、さらに陽・陽・陰。説卦伝は「兌は悦ぶこと」と言い、象は沢、そして少女で、口も数えます。方位を説くところでは、兌は「まさに秋」で、「万物が悦ぶところ」と言います。
兌と錯卦の艮:説卦伝は「艮は止め、兌は悦ばせる」と並べて書いています。
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読む前の三つの言葉
- 悦ぶ
- 「兌は悦ぶこと」。同じ字で、話すことも表す。説卦伝は兌の象に口を数えており、伝統的にはこの二つの意味を結びつけて読むことが多いが、説卦伝自身はそう説明していない。
- 沢
- 水がたまった窪地。説卦伝は兌に、沢・少女・口を当てる。
- 三爻の卦の中の位置
- 兌の上下の三爻の卦はまったく同じなので、どの爻にも同じ位置の相方がいる。初と四、二と五、三と上。
卦辞と彖伝:剛が中にあり、柔が外にある
兌の卦辞は三字だけ、「通る。正しさを守るのによい。」彖伝はまず卦名を「悦ぶこと」と説明し、続けて卦の形から、どんな悦びなのかを述べます。
兌とは悦ぶこと。剛が中にあって柔が外にあり、悦んで正しさを守るのでよく、そのため天に従い、人に応える。悦びを先に立てて民を導けば、民は労苦を忘れる。悦んで難に立ち向かえば、民は死を忘れる。悦びの働きの大きさよ、民は励まされるのだ。
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「剛が中にあり、柔が外にある」は、図を見ればすぐ分かります。陽爻の九二と九五は、それぞれの三爻の卦の真ん中の爻。陰爻の六三と上六は、それぞれの三爻の卦の一番上で、つまり一番外側です。そのあとの言葉は、悦びを人々の中に広げます。悦びが先に立てば民は労を忘れ、悦んで難に向かえば民は死を忘れる。最後の「悦びの働きの大きさよ」は、悦びが人を励ますことへの感嘆です。
大象:沢が連なる、友と講じ習う
兌の大象はこうです。
沢が連なる、これが兌。君子はこれにならい、友と講じ合い、習う。
「沢が連なる」とは、二つの沢が並んでいること。伝統的には、二つの水がつながって、互いにうるおす姿と読まれます。君子がここから得る行いが「友と講じ習う」。一緒に語り合い、一緒に復習すること。
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彖伝は卦名を「悦ぶ」と解きますが、大象はそれを「講じ習う」に落とします。ここでの悦びは、語り合い、学び合うことから来るもので、一人きりの喜びは書かれていません。
六つの爻:同じ三爻の卦が二つ、だから三組
兌は上卦と下卦がまったく同じなので、六つの爻を、それぞれの三爻の卦の中での位置で組にできます。一番下の初九と九四、真ん中の九二と九五、一番上の六三と上六です。
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一番下の組は、悦びの起こり方を書きます。初九は「和らいだ悦び、吉」。小象は「行いに疑いがない」と評します。九四は「悦びを相談する、まだ安らがない」。商は相談で、安らぎはまだ来ていません。続く「介疾有喜」は、伝統的には、小さな病を遠ざければ喜びがある、と読まれ、小象は「めでたいことがある」と言います。
真ん中の組には、どちらも「孚」、つまり信の字があります。九二は「信による悦び、吉。悔いは消える」、小象は「志が信じられる」。九五は「剥ぐものを信じる、危うい」。小象は位が正しく当たっていると言うので、問題は位置ではなく、信じる相手です。伝統的には、剥ぐものを陽を削る陰と読み、この卦では九五の真上が上六です。
一番上の組は、どちらも陰爻で、どちらも外側です。六三は「向こうから来る悦び、凶」。悦びが自分からやって来ること。小象は「位が当たっていない」と言い、陰爻が第三位(陽の位)にあります。上六はたった二字、「引く悦び」。悦びを引き込むことで、吉とも凶とも書かれず、小象は「まだ輝いていない」と評します。
三組を通して読むと、一番下は和らぎと相談、真ん中は信、一番上は来られ、引かれる姿です。説卦伝で兌は口。和らぎも、相談も、信も、人と人のあいだで交わされることです。
巽・艮・家人:兌の隣の卦と、巽のあとに置かれる理由
兌には近い卦が三つあります。錯卦は艮で、冒頭の図に描いてあります。上下を逆さにすると巽になり、これが綜卦。真ん中の四本(第二〜五爻)を組み直すと互卦の家人で、下が離(陽・陰・陽)、上が巽(陰・陽・陽)です。
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兌の陰爻は、上下どちらの三爻でも一番上に来ます。図をひっくり返すと、その二本は初と四に移り、巽になります。序卦伝での兌は、巽のあと、渙の前です。
入ってから悦ぶ。だから兌が続く。兌とは悦ぶこと。
まず入り、それから悦ぶ。もう一段先では、序卦伝は「悦んだ後に散る」と言って渙につなぎます。雑卦伝には、兌と巽を並べた一文もあります。
兌は現れ、巽は伏す。
兌は現れるほう、巽は伏すほう。説卦伝には、錯卦の艮と兌を対にした一句もあります。艮は止め、兌は悦ばせる。
読んだあとの疑問
兌卦の「悦ぶ」は、話すことでもあるのですか。
兌を説明する「説」の字は、悦ぶことと話すことの両方を表します。説卦伝は「兌は悦ぶこと」と言い、秋の「万物が悦ぶところ」とも言い、象に口も数えています。二つの意味を結びつけて読むのは伝統的な読み方で、原文がそう説明しているわけではありません。
九五は位が正しいのに、なぜ「危うい」なのですか。
小象は「位が正しく当たっている」と言うので、問題は位置ではありません。危ういのは「剥ぐものを信じる」こと。伝統的には、剥ぐものを陽を削る陰と読み、図の九五の真上には、まさに上六があります。
兌と巽はどういう関係ですか。
互いに綜卦です。兌を上下逆にすると巽になります。序卦伝は「入って、それから悦ぶ」とつなぎ、雑卦伝には別に一文があって、兌は現れ、巽は伏す、と言います。
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