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HEX-029 / 共通の方法

坎卦:水の上に水、心だけが通じる

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坎:険しさの中で、心だけが通じる

坎は第二十九卦で、上下とも坎(水)、それぞれ陰・陽・陰です。卦辞は「孚あり、ただ心が亨る」。大象は水が次々に来る様子から教えを繰り返すことへ進み、六つの爻辞で「凶」はいちばん下と上にしかありません。

要点を先に約7分で読めます

坎の字面は穴、落ち込むこと。彖伝は卦名を「習坎」、険しさの上の険しさと呼びます。ところが卦辞は「孚あり、ただ心が亨る」と言い、彖伝は「心亨る」を、二つの陰に挟まれた剛中に結びつけます。

  • 坎は坎(水)を二つ重ね、各三爻の卦は陰・陽・陰。陽爻の九二と九五は、それぞれ真ん中に挟まれている。説卦伝は「坎は陥る」、彖伝は「習坎、険しさが重なる」と言う。
  • 卦辞「孚あり、ただ心が亨る。行けば尚ぶべきものがある」を、彖伝は信を失わないことと、剛が中にあることで説明し、最後は険しさから、険しさを設けて国を守ることへ話を転じる。
  • 大象の「習」は水が次々に来る様子であり、君子が繰り返すことでもある。徳と行いを常に保ち、教えのことを習う。六つの爻辞で「凶」を書くのは初六と上六だけ。
18秒で、陰・陽・陰が二度重なる卦の形を見て、四つの爻辞に現れる四つの境遇をたどり、坎を読む前の三つの問いを持ち帰ります。

先に読む

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗

水の上に水:二つの陰に一つの陽が挟まれる

坎は第二十九卦で、上卦も下卦も坎です。彖伝は書き出しでこれを「習坎」と呼びます。各三爻の卦は陰・陽・陰で、一本の陽爻が上下の二本の陰爻に挟まれています。説卦伝は「坎は陥ること」、また「坎は水」と言います。水は低い所へ流れ、窪みに落ち込むので、二つの意味が同じ卦の象に重なります。

坎とその錯卦の離を並べる:左は坎で、上下とも坎(水)、それぞれ陰・陽・陰で、一本の陽爻が二本の陰爻に挟まれている。右は離で、すべての爻の陰陽が入れ替わり、上下とも離(火)、それぞれ陽・陰・陽。線は下から数える。元の図を開いて拡大する

坎と錯卦の離:錯卦はすべての爻の陰陽を入れ替えたもので、「陰・陽・陰」が「陽・陰・陽」になる。

上卦:坎(水)陥る下卦:坎(水)陥る
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上卦:坎(水)陥る下卦:坎(水)陥る
坎は二層で、上も下も坎(水)。落ち込みの上に、もう一つ落ち込みが重なる。

坎を読む前の三語

習坎
彖伝は「習坎、険しさが重なること」と言います。ここでの「習」は重なること。坎の上に坎、険しさの上に険しさです。
坎窞
坎は穴で、窞は、その穴の底にさらに落ち込んだ小さな穴。初六と六三に、「坎窞に入る」がそれぞれ一度ずつ出ます。
孚
卦辞「孚あり」の字で、まこと、頼れること。彖伝はあとでこれを「信を失わない」と言い換えます。

坎が二つ重なっても、第三の種類の線はありません。各層に陽爻は一本ずつ、九二と九五です。あとで彖伝が言う「剛が中にある」は、この二本のことです。

卦辞と彖伝:険しさの中で、心だけが通じる

坎の卦辞は短く、「孚あり、ただ心が亨る。行けば尚ぶべきものがある」です。彖伝はまず険しさを言い、卦辞を一句ずつ受け、最後に天の険しさと地の険しさに話を移します。

習坎とは、険しさが重なること。水は流れて満ちず、険しさを行ってもその信を失わない。「ただ心が亨る」のは、剛が中にあるから。「行けば尚ぶべきものがある」とは、進んで功があること。天の険しさは登れず、地の険しさは山や川や丘であり、王や諸侯は険しさを設けて国を守る。坎の時と用は、まことに大きい。

彖伝・坎(訳)
卦辞を彖伝と並べる孚あり信を失わない心が亨る剛が中にある行けば尚ぶ進んで功あり結びの三つの険しさ天の険登れない地の険山川と丘設ける険王が国を守る
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卦辞を彖伝と並べる孚あり信を失わない心が亨る剛が中にある行けば尚ぶ進んで功あり結びの三つの険しさ天の険登れない地の険山川と丘設ける険王が国を守る
彖伝は前半で卦辞の三句を「信を失わない」「剛が中」「功」に結び、後半で険しさを天・地・人が設けるものに分ける。

「水は流れて満ちず」は、水の二つの動きです。ずっと流れ、しかも穴を満たしてしまわない。「険しさを行ってもその信を失わない」は、険しさの中でも確かさを守ることで、卦辞の「孚あり」にあたります。「ただ心が亨る、剛が中にあるから」の根拠は、卦の形に見えています。挟まれた二本の陽爻が「心」で、剛であり、中の位置にあります。

結びでは向きが変わります。それまで険しさは通り抜けるものでしたが、最後のいくつかの句は、険しさが役に立つとも言います。天の険しさは登れず、地の険しさは山川と丘で、王や諸侯は自分で険しさを作って国を守る。「習坎」の険しさは、ここで「時と用は大きい」になります。

大象:水が次々に来る、習坎と教えを習う

大象は「習」を、険しさから行いのほうへ引き寄せます。

水が次々に至るのが習坎。君子はこれにならい、徳と行いを常に保ち、教えのことを習う。

大象・坎(訳)
象:水が次々に至る水が波また波と来る坎の上に坎が重なる習:重なること君子は:二つのこと徳と行いを常に保つ教えのことを繰り返し習う
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象:水が次々に至る水が波また波と来る坎の上に坎が重なる習:重なること君子は:二つのこと徳と行いを常に保つ教えのことを繰り返し習う
坎の大象:水が何度も来て習坎になる。君子は、徳と行いを常に保ち、教えのことを繰り返し習う。

最初の動詞は、続けて至ることです。水は一度だけ押し寄せるのではなく、一度、また一度と来る。それが「習坎」。君子のすることも、続けて行うことです。「徳と行いを常に保つ」は振る舞いを安定させること、「教えのことを習う」は教えの事を何度も練習すること。同じ「習」の字が、象では水の重なりであり、君子のところでは繰り返しの練習になります。

六本の爻:「凶」は両端にしかない

六つの爻辞で「凶」の字が出るのは、いちばん下の初六と上六だけです。間の四つにはありません。

爻位爻辞小象初六坎が重なり、穴の底の穴に入る、凶道を失い凶九二坎に険しさ、小さな得を求めるまだ中を出ていない六三行くも来るも坎また坎、穴の底の穴に入る、用いるな結局、功なし六四酒の樽と器と土の缶、約を窓から、咎なし剛と柔が出会う九五坎は満ちない、すでに平ら、咎なし中はまだ大きくない上六縄で縛られ茨に置かれ、三年解けない、凶道を失い、凶は三年
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爻位爻辞小象初六坎が重なり、穴の底の穴に入る、凶道を失い凶九二坎に険しさ、小さな得を求めるまだ中を出ていない六三行くも来るも坎また坎、穴の底の穴に入る、用いるな結局、功なし六四酒の樽と器と土の缶、約を窓から、咎なし剛と柔が出会う九五坎は満ちない、すでに平ら、咎なし中はまだ大きくない上六縄で縛られ茨に置かれ、三年解けない、凶道を失い、凶は三年
坎の六つの爻辞と小象:「凶」は初六と上六だけに書かれ、二本の陽爻、九二と九五の小象には、どちらも留保が付く。

初六は「穴の底の穴に入る」で、小象は「道を失った」と言います。六三も「穴の底の穴に入る」で、その前に「行くも来るも坎また坎」があり、評は「用いるな」、小象は「結局、功なし」です。二つとも窞に落ちながら、一方は凶、もう一方は「用いるな」。

間の九二は「小さな得を求める」で、小象は「まだ中を出ていない」。九五は「坎は満ちない」で、小象は「中はまだ大きくない」。彖伝はこの二本を「剛が中にある」と讃えますが、小象はそれぞれ留保を足します。一つはまだ出ていない、もう一つはまだ大きくない。

六四がいちばん変わっています。「酒の樽、食の器、さらに土の缶」のあとに「約は窓から」(読み方は下で説明します)が続き、「最後には咎なし」。最上段の上六は縄で縛られ、茨の茂みに置かれ、三年(原文は「三歳」)のあいだ解かれません。

離と頤、序卦:険しさを次の卦へ渡す

坎の錯卦は離です。各爻の陰陽が逆になり、「陰・陽・陰」が「陽・陰・陽」に、水が火に替わります。坎は裏返しても同じ形で、綜卦はそれ自身です。互卦は頤です。真ん中の四本から三本ずつ重ねて二組を取ると、下に震(動く)、上に艮(止まる)ができ、合わせて頤になります。

坎123456坎・水坎・水互卦:頤123456艮・山震・雷
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坎123456坎・水坎・水互卦:頤123456艮・山震・雷
坎とその互卦の頤:坎の真ん中の四本から重なる二組の三本を取ると、下に震、上に艮ができる。

序卦伝は坎の前後に一句ずつ置きます。前は大過で、物は行き過ぎたままではいられず、だから坎に落ちる。後は離で、落ちたものは何かに付かずにはいられず、だから離が続き、離の字義が「付く」です。こう見ると、坎は「過ぎること」と「付くこと」の間にあり、落ちたものが寄る所を探す位置にあります。

読んだあとの疑問

坎は凶の卦ですか。

一概には言えません。卦辞は「孚あり、ただ心が亨る」、六つの爻辞で「凶」を書くのは初六と上六だけで、間の四つにはこの字がありません。彖伝は「坎の時と用は大きい」と結びます。坎は険しさの卦ですが、本文は険しさを悪いものとだけは見ていません。

「孚あり」の「孚」とは何ですか。

孚は、まこと、信頼できることと読まれ、多くの卦に出ます。ここでは彖伝が続けて「険しさを行っても、その信を失わない」と言い、「孚」を「信」に言い換えています。険しさの中でも守る確かさ、と受け取れます。

上六の「三歳」は、三年のことですか。

字面は「三歳」です。小象も「凶は三歳に及ぶ」と繰り返すだけで、この数が実数なのか、長い期間を表すのか、本文は述べていません。引用するときは書かれたとおりにし、現実の年に換算しないほうが堅実です。

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資料・出典

  1. 周易·坎(Wikisource 中文版:卦辞、爻辞、彖、象) ↗
  2. 说卦传(Wikisource 中文版):坎、陷也;坎为水 ↗
  3. 序卦传(Wikisource 中文版):坎者陷也 ↗

続けて読む

大過卦:たわむ棟と反る棟、二本の枯れ楊、そして頭まで沈む渡河 ↗

六十四卦:上下の卦の組み合わせと、卦名の調べ方 ↗

卦辞と爻辞:全体の言葉か、一本の線の言葉か ↗