漸卦:鴻が一歩ずつ進む
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漸は六十四卦の第五十三卦で、下が艮、上が巽、山の上に木があります。彖伝に三度出てくる「進む」、大象の「賢い徳に身を置き、風俗をよくする」、そして六つの爻辞が一羽の鴻を水辺から丘まで追う様子から、「漸」を読みます。
要点を先に約6分で読めます
漸卦の主役は一羽の鴻だけで、降りる場所が次々に変わります。水辺、大岩、陸、木、丘。原文はそれぞれの場所で、「進む」とは一歩ずつで、どの一歩も同じではないことを示します。
- 漸は艮(山)の上に巽(木)を重ねた卦。序卦伝は「漸は進むこと」と言い、彖伝には「進む」の字が三度出てくる。
- 大象は山の上の木を置き、君子に二つのことを与える。賢い徳に身を置くことと、風俗をよくすること。一つは内向き、一つは外向き。
- 六つの爻辞はみな「鴻が少しずつ進む」で始まり、場所は水辺、大岩、陸、木、丘、陸の順。九三と上九は同じ陸で、判断は吉凶が逆。

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山の上に木:下が艮、上が巽
漸は第五十三卦で、下卦が艮(山)、上卦が巽(木・風)です。序卦伝の説明は直接的で、「漸は進むこと」。卦辞はたった五字、「女が嫁ぐ、吉。正しさを守るのがよい」です。漸は現代中国語では第三十九卦の蹇と近い音(jiàn と jiǎn、声調が違う)ですが、字も卦の形も別です。
漸と帰妹:漸の錯卦と綜卦は同じ卦で、陰陽を全部入れ替えても帰妹、上下を逆さにしても帰妹になります。
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漸を読むときの四つの語
- 鴻
- 大きな雁。六つの爻辞すべての主語で、どれも「鴻が少しずつ……に進む」で始まる。
- 水辺・大岩・陸・丘
- 鴻が降りる場所。水のほとり、大きな岩、乾いた平地、そして丘。
- 木と枝
- 木と、伝統的には平らでまっすぐな枝と読む語。鴻はそんな枝を得られたときだけ降りられる。
- 女が嫁ぐ
- 卦辞と彖伝がともに使う語。爻辞には出てこず、九三と九五が書くのは「妻」。
卦辞と彖伝:女が嫁ぐ、そして三度の「進む」
卦辞は「女が嫁ぐ、吉。正しさを守るのがよい」で、それ以上は何もありません。彖伝はこれを五つの文に広げます。
漸が進むさまは、女が嫁ぐのが吉であるのに似る。進んで位を得て、行けば功がある。進むのに正しさをもってすれば、国を正すことができる。その位は剛で、中を得ている。止まって、しかも従うので、動きは尽きない。
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彖伝には「進む」の字が三度出てきます。一つ目は、漸の進みを「女が嫁ぐ」ことにたとえます。物事が順序よく運ぶことです。二つ目は、進んで居るべき位置に着くこと(位を得る)。三つ目は、正しい道を進むことです。
「位を得る」は爻に当てはめて確かめられます。第二から第五の爻のうち、二と四は陰の位にある陰爻、三と五は陽の位にある陽爻で、四本とも陰陽が位置に合っています。「その位は剛で、中を得ている」は九五のことで、第五位にある陽爻、上卦のちょうど真ん中です。最後の句は、下卦の艮は止まり、上卦の巽は従う、先に止まってから従って進むので、動きに終わりがない、という意味です。
大象:山の上に木、賢い徳と風俗
山の上に木がある、これが漸。君子はこれにならい、賢い徳に身を置き、風俗をよくする。
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伝統的には、漸の象をこう理解します。山の上の木は、年ごとに少しずつ高くなる、ゆっくりした成長です。君子のすることは二つで、一つは内向き、賢い徳に身を置くこと。もう一つは外向き、風俗をよくすることです。
こう読むこともできます。徳は少しずつ積み、風俗は少しずつ移り、どちらも一足飛びにはいかない。「漸」はこのゆっくりさに寄り添う字です。
六つの爻辞:一羽の鴻、六つの降り場
六つの爻辞は同じ書き出しを持ちます。「鴻が少しずつ……に進む」。一羽の鴻が降り場を一つずつ変え、各所のあとに続くのは、その場所の事柄です。
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初六は水辺です。「子どもが危うく、人の言葉もあるが、咎めなし」。小象は「道理からして咎めなし」と言います。六二は大岩の上。「飲み食いが和やかに楽しい、吉」。小象は「ただで食べているのではない」と添えます。
九三は陸で、卦全体で「凶」と書かれるのはこの爻だけです。「夫は出征して戻らず、妻は身ごもっても育てられず、凶。盗賊を防ぐのによい」。小象は三つの句で評します。「群れを離れたから」「道を失ったから」「従い合って守り合うから」。最後の句は「盗賊を防ぐのによい」に対応します。
六四は木の上。「平らな枝を得られるかもしれない、咎めなし」。小象は「従順でおだやかだから」と言い、上卦の名の巽の字をそのまま使います。六四はちょうど上卦巽の最初の爻です。
九五は丘です。「妻は三年身ごもらないが、最後にはこれに勝つものはない、吉」。小象は「望むものを得る」。九三と九五は、どちらも妻と身ごもることを言い、一方は凶、一方は吉です。上九で鴻はまた陸に降ります。書き出しは九三とまったく同じ「鴻が陸に進む」で、続くのは「その羽は儀の飾りに使える、吉」。小象は「乱してはならない」。伝統的には、「儀」は立ち居ふるまいや手本の意味に読むのが一般的です。
帰妹・未済:漸の隣の卦と、「進めば帰するところがある」
漸の錯卦と綜卦は同じ卦、帰妹です。漸の六爻の陰陽をすべて入れ替えると帰妹になり、漸を上下逆さにしても帰妹になります。互卦は未済です。漸の内側にある二組の三爻、第二〜第四爻(陰・陽・陰)が下卦の坎、第三〜第五爻(陽・陰・陽)が上卦の離になります。
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序卦伝が漸を艮の次に置くのは、物は止まったままではいられず、進むからです。漸の次は帰妹で、序卦伝の理由は「進めば帰するところがある」。雑卦伝の一句は、漸そのものについて言います。
漸は、女が嫁ぎ、男が動くのを待つこと。
漸の「女が嫁ぐ」は、男が動いてから行くもので、一歩が一歩のあとに続きます。対になる帰妹の卦辞は、「進めば凶、利するところなし」です。
読んだあとの疑問
漸の「漸」は、ただ「ゆっくり」という意味ですか。
序卦伝は「進むこと」と説明し、彖伝には「進む」が三度出てきます。重点は一歩ずつ進み、一歩ごとにその位置があることで、ただ遅いことではありません。
九三と上九はどちらも「鴻が陸に進む」なのに、なぜ一方は凶、一方は吉ですか。
原文が示すのは、それぞれの続きだけです。九三は「夫は出征して戻らず、妻は身ごもっても育てられず、凶」、上九は「その羽は儀の飾りに使える、吉」。同じ場所でも爻の位置が違い、続く事柄が違えば評も違います。二つの間に説明は足されていません。
漸と蹇は同じ字ですか。
いいえ。現代中国語では音が近い(声調は違う)ですが、字も卦の形も別です。漸は風山漸の第五十三卦、蹇は水山蹇の第三十九卦で、雑卦伝は蹇を「難」と言います。
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